リアリティの正体(有益度★★★★)
よく言うじゃないですか、小説のリアリティ云々。
人によって定義が違うし、小説を書く上で苦しめられるものの一つですよね。
現実生活が嫌だから創作で現実逃避したいのにそこでまでリアルとか言ってくんなよ。という意見もわかる。
リアリティがなさ過ぎて感情移入できない、嘘くさ過ぎる、ご都合主義。という意見もまぁわかる。
でも、スペースオペラにリアルを感じる人もいれば、現代日本が舞台の青春ラブストーリーにリアリティがないと思う人もいるわけじゃないですか?
結局リアリティってなんなの?
本当はそんなものは受け取る側にしかないんじゃないかとか思ってた時期もあるんですけど、これに対して私の中では一つの答えがありますね。
リアリティの正体見たり枯れ尾花。
これも貴志祐介先生のインタビュー記事で読んだものが自分にはしっくり来たから採用したんですけど、出典はちょっと自信ないんですよね。
多分、ユリイカの貴志祐介特集号……のはず。ちょっと探しても出てこないので「はず」としかいえない。
ひょっとしたら全て私の妄想かもしれない。別に妄想だとしても自分の中で引っかかっていたことが解決したなら妄想でもいいんですけど。
ただ、内容自体かなり詳細に覚えているし、紙面のどの辺だったかまで記憶にあるので妄想だったら逆にヤバい。
まぁ、それはともかく。
リアリティとはなんぞや、ですね。
作中の嘘に対する説得力ということだと思います。
貴志祐介先生がインタビュー記事で山田風太郎先生の『甲賀忍法帖』を例として挙げられていたんですが、この作品には風待将監っていう忍者が出てきて、粘着質の蜘蛛の糸のようなものを吐いて戦うんですね。
で、この術は体質的に唾液に含まれるムチンの濃度を高くできるからっていう理由付けがあるから、リアリティが感じられるのであると。
作中の論理で説得力があればどんなに荒唐無稽なことでもリアリティがあると感じるんですよっていうお話だったはず。
私はこのお話がしっくり来て、特殊設定とか出す際はそんなわけないなりに論理的に説明できるようにはしています。(別に作中で説明しなくても考えてるだけで何となくリアリティなるものが滲み出てくる気しますし)
たとえば主人公だけ魔法が使える、という設定オンリーは嘘くさい気はしますよね。ご都合主義かなぁと。主人公ってそういうもんだろ!とも思いますけど、でも脳にこういう器官が先天的にあって、それが実は空気中の魔力を蓄積する機能があったからとかそういうのが匂わせてあると違うのかなぁとか考えたりしますね。
と、ここまで書いてきましたが、受け売りも受け売りでガッツリ参考文献ありきですし、自分にしっくりきたというだけなので、皆さんも自分なりに納得のいくリアリティというものを考えてみるといいかもしれないですね。
ちなみに今回の有益度★★★★はなんでかというと、甲賀忍法帖が面白いよっていうことをお伝えできるからですね。
漫画とアニメ版のバジリスクも面白いのでチェックしてみてくださいね。
今日はめずらしくKADOKAWAの回し者っぽくないなと思いましたが、甲賀忍法帖は角川文庫版ありますね。
(自宅本棚に並ぶ講談社文庫版の忍法帖シリーズ全巻を眺めながら)
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