第15話 雨のち晴れ
私は召喚術における対価の塊である『シャドーカード』を手にします。願えば、私の『絶対正義』における大切な人に会う事も出来るはずです。
……。
長い沈黙の後で、私は魔法陣を描きます。
『シャドーカード』を地面に置くと局所的に大地が揺れます。
そして、閃光の後に少女が現れます。
「佐奈!」
輝夜さんが叫びます。ふ~輝夜さんの妹さんの霊体だけの召喚は成功です。
「私がここに居ると言うことは、お姉ちゃんが死を受け入れたのですね」
「はい、本当の『絶対正義』が何であるか教えて貰いました。私は妹の佐奈と共に永遠の眠りにつく事にしました」
抱き合う二人は『シャドーカード』の消滅と共に、光の粒となり消えていきます。
陣さんが泣いています。そっとしておいてあげましょう。
すると雨が降ってきます。
「天も泣いているのか……」
白花が呟きます。私達はいつまでも空を眺めていました。
―――……。
私と白花はとある墓地に来ています。二人のお墓参りの為です。
うん?
先客がいました。50歳程の夫婦の様な二人が輝夜さんと妹さんのお墓に花をあげています。
「あら、輝夜さんのお友達?」
「はい」
「輝夜さんも喜ぶわ」
墓石に私達も祈りを捧げます。
「私達家族は家が狭いから姉妹の部屋は一つだったの、だから墓石くらいは別けてあげたの」
「一緒のお墓です。きっと、寂しい事は無いでしょう」
「そうね……不思議な話だけど姉の輝夜さんが彷徨っているみたいな感じを受けていたの。でも悲しい話です。そう、妹の佐奈さんを事故で亡くして追いかける様に輝夜さんも逝ってしまったから」
「そうですか……」
私と白花は墓地を後にすると。初夏の風が舞います。
日射しが強くなる季節です。それでも遠くで雨の様です。帰り道で虹に遭遇します。
雨のち晴れの気分です。
絶対正義 霜花 桔梗 @myosotis2
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