第4話 この道に我あり

 登校中の事です。空に闇が広がっています。誰かが、危ない霊獣を召喚したようです。私は絶対正義の名の下に広がる闇に近づきます。


「グルルル」


 そこに居たのは、冥界の門番、ケルベロスです。そう、ケルベロスは炎属性で有名な霊獣です。三つの頭の鋭い牙の奥から黒い炎を吐き出します。


 これは絶対正義の出番です。私は炎のムチを召喚します。


「犬は首輪をつけないとね」


 私の炎のムチでの攻撃は簡単に避けられ、三つの口から黒い炎が私を襲います。ギリギリのところでかわすと。ムチではダメか、だからと言って安易な接近戦はあの牙が危険だ。


『ファイア・スコール』


 ここは全体攻撃の炎であの素早い起動力を奪うことにしました。降り注ぐ、炎の粒がケルベロスを襲います。フィールド属性が光の炎に変わり。そこで、一番攻撃力の高い『剛力の剣』召喚します。それは、誰よりも強くて速い、剣による攻撃でした。ケルベロスを半分に切り裂くと、ケルベロスは闇に帰り、空にあった黒い雲も晴れます。


「『絶対正義』の勝利です」


 いつの間に集まっていたギャラリーから拍手があがります。私がギャラリーに手を振っていると、今が登校途中であったことを思い出します。


 あああ、遅刻だ!ここはダッシュです。


 私は急いで高校に向かいます。


 遅れた、遅れた。私はダシュで高校の正門に入ろうとすると。背の高い女子生徒が竹刀を持って仁王立ちをしている。胸には『北斗』のバッチが光っていた。


 あちゃ~待ち伏せだ。


「私の名前は『前野 氷河』知っての通り『シャドーカード』を狙っている。君は有名人だからこうして挨拶に来た」


 どうやら、私が五芒星である事を知っていての事らしい。


「分かりやすく言えば決闘だ」


 ま、一限をふける理由にはなるな。


「氷河さんでしたね、校舎裏の空き地でどうだ?」

「慌てるな、君は五芒星に入る炎術使い、今日は挨拶だけだ」


 氷河は竹刀を振り上げていかくしてくる。私が炎術召喚を武器にしている事がバレているなかで、いきなりの決闘は不利。


しかし、『北斗』の氷河で噂を探せば相手の攻守が解るはず。


「いいのか?私に時間を与えて」

「大丈夫だ、私は強い」

「なら、話は終わりだ私は一限に出席する為に急いている」

「ふ、『絶対正義』は噂通りだ」

「勘違いするな、私は強くなりたい、一限の授業と『絶対正義』は関係ない」


 氷河は竹刀を降ろすと校内に入って行く。


 去りぎわに。


「コツコツと強くなりたい……それも見方を変えれば『絶対正義』だ。私のライバルに合格だ。五芒星の力は凄い、何度でも挑戦してやる」


 氷河は昇降口とは違う方向に歩いて行く。この前の『北斗』の男子とは格が違う。これが本当の『北斗』の威厳か……。


 おっと!


 私は一限に間に合うように走りだすのであった。

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