第2話 絶対正義に咲く花は
「炎華さん、立ち話も何です『美化部』の部室に行きませんか?」
輝夜さんは『校内美化活動部』の部員のようです。花壇の花に植木の手入れ、校内のゴミ拾い。美化部の活動内容はたきにわたり、きゃしゃな輝夜さんで大丈夫でしょうか。
「それよりも、白花は何故ここに居るのです?」
「あ、あ、近くの公園で課外授業」
この高校の近くには有名な公園があります。藤が名物なので、この季節は遠足にピッタリです。
「授業を抜け出すとは絶対正義に反します」
「そう言うと思った。このスマホケースが完成したのですけどね」
白花は『絶対正義』と書かれたスマホケースを取り出します。む、む、む……念願のスマホケースか、私の決意にピッタリな一品です。
「買収など無意味!『絶対正義』は揺るぎません」
「やれやれ、だ……」
白花は呆れた様子です。
そう、『絶対正義』と黒地に白く書かれたスマホケースは特注品です。それをここで出してくるとは流石、我が軍師です。
「放課後に受け取りに行きます」
「ここに居たら、ダメ?」
「ダメです、帰りなさい」
「ちぇ……」
つまらなさそうに、校内から白花は出ていきます。
さて、輝夜さんです。
「楽しい、妹さんですね」
「違います、白花は男子です、それに家の近所の子であって、血のつながりは無いです」
白花は一見、ボーイッシュな女子に見えますが心の底から男子です。私は輝夜さんに長々と説明します。
しかし、『絶対正義』と書かれたスマホケース……すぐにでも使いたい気分だ。そんな、事を話しながら部室棟の隅に向かいます。
美化部の部室に着くと、置いてある、その花の種の数に驚きます。
「ダメね、この子達は順番待ちなの、私はホームセンターに行くとついつい買ってしまうのです」
はー、私は絶対正義の鍛錬の為に召喚術にあけくれた人生です。花を育てるなど私の歴史に無い事です。
「今度、隣町のバラ園に行きませんか?」
「あ、ぁ、考えておく」
バラ園か……聞いただけで鼻がムズムズする。輝夜さんは、そんな私を見て嬉しそうに笑う。
「五芒星の一人の炎華さんでも花の育てるのは苦手みたいですね」
「そんな事はない、絶対正義は花に水をあげるのも全力です」
「では、今から、お花に水をあげましょう」
私達は花壇に向かうとお花に水をあげる。あーこんなスローライフもいいな。部室に戻り、私がお花に水をあげていた余韻に浸っていると。
「はい、美化部のバッチです」
私は花を模ったバッチを貰う。ホント、ムズムズするな。
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