「はいあーん」

 喫茶店に着き店内に入って店員さんに案内されテーブル席に座った。

「意外と多いな」

「ねぇ」

 やっぱり昼時らしくてお客さんで混雑していて、女性客が少し多かった。

「それじゃあ士郎は何を食べる?」

「んーそうだな」

 メニュー表を開き一通り目を通す。奏おすすめカレーを見たけど、ホットドッグとかも美味しそうだった。

「ホットドックも美味そうだな……」

「このベーコンのカルボナーラも美味しそうだよ!」

 奏が見せてきたベーコンカルボナーラも写真を見るによだれが溢れて美味しそうだ。

 けど、今回はカレーを食べに来たからカレーにするべきかな。

「……まあ今日のところはカレーを食べよう。また二人で寄ろ」

「うんそうだね」

 奏が小さく頷きカレーのページの方をお互い見ていた。

「これなんていいんじゃないバターチキンカレー」

「これ?」

「私はこれが食べたいけど士郎はどうする?」

「俺もそれでいいかな」

「わかった。……んっ」

 すると奏がデザートの方ページを見ていた。

「この焼きプリン美味しそう……」

 物凄い目でキラキラとしていた。

 まあ、奏は甘いの好きだから仕方がない。

「士郎も頼む?」

「俺もか……チーズケーキかな」

「わかった。コーラは飲む?」

「飲むかな」

「はーい。すいません!」

 奏が店員さんに注文をして、カレーが来る間、先にきたコーラを飲み干しながらスマホをイジッていて時間を潰していた。

「お待たせしました~」

 チキンカレーが出されるとスパイスの香りがしてきて美味しそうだった。

「おぉ……」

「美味しそうだね!」

「そうだな」

 お互い手を合わせ「いただきます」と言った。

 スプーンを持って食べようとすると奏が先にカレーをすくってこっちの方に差し出してきた。

「なに?」

「んっ? とりももを一個あげようと思って皿をこっちに寄せて」

「奏も食べればいいんじゃない?」

「まぁまぁ可愛い弟にあげたいじゃない」

「……わかった。デザートのケーキ狙っているんだろ」

「あっバレた?」

「まあわかるよ。俺にもプリン一口頂戴」

「うん。いいよ」

 奏が頷きとりももを一個くれた。

 カレーを食べるとバターが濃く効いていて美味かった。

「うまっ!」

「んっ! 美味しいね!」

「なぁ……」

 けど優しい味で何度も口にいっぱいに頬張ってしまう。

「熱っ……」

 けど、まだカレーが熱く舌が火傷してしまった。


「……美味しかった」

「ねぇ……」

 あっという間にカレー食べてしまった。けど意外とバターが効いていて胃が重く感じる。 

「ケーキケーキ」

 喜んでいたけど奏はケーキじゃなくてプリンだし……。

「ケーキは俺のだって」

「えー」

 そして食後のケーキも持ってきてもらってテーブルの方に並べられた。

「おぉ……」

 こっちの方も美味しそうだった。

「じゃあ士郎食べさせて」

「えっ!?」

 奏での方を見ると口を大きく開けていた。

「なにをしてるの?」

「えっ? あーんして欲しいなって」

「……えっ」

 デートとかするけどこんなあーんとかは奏に対してしたことはない。

 なんであーんとかすることになっているんだ……。

「はやく食べさせて」

「えぇ……」

 戸惑いしかない。

 フォークで一口サイズに切り奏の口元に届けさせる。

「……んっ」

 正直な気持ち恥ずかしい気持ちだった。

「あーんっ!」

 奏がキャッチしモグモグと美味しそうに食べていた。

「どう?」

「美味しい……」

 物凄くうっとりとしていた。

「じゃあお返しに……」

 奏での方も自分のプリンから一口すくいこっちの方に持って来た。

「はいあーん」

「えっ?」

 心臓がバックンバックンと動いていた。

「ほら早くプリン落ちちゃうから食べちゃって」

「えっ……あっうん」

 プリンを食べると濃厚で美味しかった。

「どう?」

「美味しい……」

「おぉ、士郎が喜んでくれたなんて、選んでよかった」

 そして奏がプリンをすくいなんでも口の方に運んでいた……。

「……」

 俺はフォークの方をジッと眺めていた。

 少し思ってしまうのはこのままだと間接キスをすることになってしまう……。

 ……うん。恋人になった。恋人になったけど間接キスだぞ、好きな人と口を付けたのだと思ってしまうと浮ついてしまうじゃないですか。

 いや、嬉しいよ。嬉しいけれど……やっぱり関節キスだと思うと……躊躇してしまう。

「どうしたの?」

 奏が首を傾げていた。

「……いや、ちょっと」

「ん? ……あっ」

 俺がチラチラとフォークを見ていたのかなにかを悟ったようで自分が使っていたスプーンを眺めていた。

「士郎と口付けちゃったの食べちゃった……」

「――っ!」

 直接的に言われるとこっちの顔が赤くなっているのがわかった。

「私は嬉しいよ。こうして士郎と同じの食べれて……これも二人の思い出になっちゃったね」

 奏ではこっちの方をみてニコっと笑っていた。

「……そうだね」

 姉の風格である奏がこれほどまでに凄いと思ってしまった。

 俺はそのまま無言でケーキを食べていたがやっぱり意識してしまほどドキドキしていた。

 そしてケーキを食べ終わり家の方へさっきの続きのゲームをしに帰っていった。


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