「ありがとうねお姉ちゃんのために合わせてくれて」

 奏がものすごく笑顔だった。

「えへへ……士郎と恋人になれた」

 左右に体を揺らしながらゲームの続きをしていた。

「士郎はお姉ちゃんと恋人になれて嬉しい?」

 こっちに顔を向きながらニコっと笑っていた。

「それはな……ずっと好きで憧れだった人が恋人になれたんだから嬉しい……」

 これは紛れもなく俺の本心だ。姉としてとだけど好きな人として恋人になれた気持ちが大きい。

「……そっか」

 奏が嬉しそうに少し頬が赤くなっていた。

「それじゃあ恋人記念にお姉ちゃんとさっき言ってた喫茶店に行かない?」

「えっ?」

 奏の方を見ると頷きこっちの方を見ていた。

「せっかくデートの約束したから喫茶店だけでも食事に行かない? もうお昼だと思うけど」

「えっと……」

 スマホの画面で時計を見てみると12時13分と表示されていた。

「お昼だな」

「それじゃあ行かない? 弟とデートしたいな」

「……わかった着替えるから奏も動きやすい格好に着替えて」

「わかった!」

 奏ではセーブをゲームを終了した。

「それじゃあ待ってて!」

 自分の部屋の方に向かっていった。

「……元気だな」

 我ながら自分の姉ちゃんは凄い元気だなと思った。けど、こういった行動力は俺にはないから羨ましい限りだけど。

 俺も着替えるためクローゼットを開け。かかっているハンガーを手に取った。

「……ん?」

 一応デートなんだよな。

 そうデートだ。けどいつもの姉弟でデートとは違う。

 恋人としてのデート。

「……なにを着ればいいんだ」

 多分ジーパンとかその他良いのがあったはず……。

 持っていた服を戻して出来るだけ良い衣服を選ぼうと一段、一段探していた。

「士郎、着替え終わったよ! 食べに行こう!」

 するといつの間にか着替え終えた奏が登場していた。

「……ちょっと待って」

 桜の方を向くと茶色いカーディガンを着ていて黒のシャツ。紺色のロングなスカートを履いていていつもの服装だった。

「あれ? まだ着替えてなったの?」

 俺の方に近づいてきた。

「……ジーパンを探してるんだが」

「なんで?」

 奏が不思議そうに首を傾げてこっちをジッと見ていた。

「……少しでもカッコイイ男になろうと」

「おぉ……」

 奏が少し顔を赤くしながらこっちの方に近づいてきた。

「私は服装でカッコいいかどうかわからないけど、士郎のそばにいられるんだったら服装はなんでもいいよ。ありがとうねお姉ちゃんのために合わせてくれて」

「――っ! わかった」

 いつもの服装でいいのか。

 俺はまたハンガーに手に取り。黒い服を手に取りそれを羽織った。

「それじゃあ行こうか……」

「うん、行こう!」

 そのまま玄関の方に出た。

「じゃあ士郎。手、繋ぎながら行こう!」

「いいよ」

 いつもの姉弟でしている感じの手を握った。

「えへへ……私、この手の握ってるの好き」

 少し小さい手だが安心する姉の手だ。

「……俺も好きだな」

 そして恋人としての手だからいつもに増して温かい気持ちが溢れていた。

 やっぱり温かいな……。

「それじゃあ行こう士郎!」

「……そうだな姉ちゃん」

 そのまま奏と手を繋ぎながら喫茶店まで歩いていった。

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