第11話『戻って来た俺』
「ふぅ……」
「ん?もう戻って来たの?」
「あ、恋歌さん。えぇまぁ……」
叔母さんがここにいるって事は、もうちょっとで三時間って所か……。楽しいゲームではあったが、時間は守らんとな。三人はもうしばらくやると言っていたけど。
「買い出しにでも行く?」
「じゃあ行きますか恋歌さん」
悪いな三人!買い出しに行ってくるぜ!まぁもうしばらく目覚めないだろう。そんな遠いところに行く訳じゃないし。……メモくらいは書いておくか。
「これでよし。じゃあ今度こそ行きますか!」
歩いて五分でスーパーがあります。近くて助かるね。それはそうと、こうして叔母さんと買い物に行くのも何度目だろうか。まぁ俺が高校に入ってからすぐ居候したから……。分かんないや。
「ねぇ」
「なんです?」
「あの子たちの事、好きなの?」
「……はい。恥ずかしながら」
「それで恥ずかしがる事ある?……。良いことじゃない、青春!って感じで」
……。それはまぁ。そうなんですけど……。まだ直接好きって言ったわけじゃないしなぁ……。
「恋歌さんは恋人が三人いても文句言わないですか?」
「別に当人が気にしてないならいいんじゃない?いやだって言われたら別だけど」
「……そうですか」
とりあえず今日帰ったら言うか。……告白。しかしいいのかなぁ。俺なんかが誰かを好きになって。良いところなんか欠片もないような男が……。
「色々考えているっぽいけどね、その自分を卑下する癖、悪癖だよ?もっと前向きに考えなさいな。あんたはいい男だよ」
そう思う?叔母さん。どうも自己肯定感が低いんだよね、俺って。正直仕方がないところもあるとは思うけど。
「そう?」
「そうだよ」
「なら、帰ったら告白するよ」
「いや、それはいきなりすぎないかい!?」
「だってもうやる事はやっちゃったし……」
「まぁそれは……。やったの?」
「うん」
まぁされるがままって感じだったが……。流石に裸で投げ飛ばしたら怪我する場所ではどうにかできない。
「大丈夫?子供とか出来ない?」
「……だ、大丈夫だよね、叔母さん……」
「……。ま、まぁ。流石にそんな事をする時ってのは、時期を見てやるだろうし……。ねぇ?」
大丈夫かな?だ、大丈夫だよな?その事も聞かなきゃ……。
「あ、荷物持ちますよ」
「ありがとね。……ホント、あんたはあんたの幸せを願っていいんだよ」
「そりゃ願ってますよ。……それ以上に、自分以外の幸せの方が重要ってだけで」
まぁ、とにかく帰ったら絶対に告白するとだけは決めておこう。
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