12-04 畑作り

 山道沿いにある北の畑は、そこそこ大きな畑である。

 だが、ここから2km離れている。

 管理していた人は、車を利用していたのだろう。

 しかし、私たちの移動手段は徒歩でしかない。

 2km先の畑を管理するのは、大変である。


 そこで、この近くに畑を造る事にした。

 私たち7人が食べていくだけの畑である。

 大きな畑である必要は無い。

 まずは、何処に畑を造るか、みんなで相談した。


 条件として、畑に撒く水の問題がある。

 畑は、土の保水力によって、それほど水を撒く必要は無い。

 水のやりすぎは、かえって作物を枯らせてしまう。

 基本、雨水で育てる。

 だが、雨の降らない日が続いた場合は、小川から水を汲み、じょうろで撒く必要がある。

 大変な作業になる為、小川から近い所が望ましい。


 その他、日当たりが良い事。

 畑として、まとまった面積である事。

 その土地の土質。

 などを考慮して、畑にする場所を選んだ。


 それから、畑造りが始まった。


 まずは、この土地を整えなければならない。

 アノンさんが見つけた倉庫から、草刈の道具とシャベルとクワを持ち出した。


 全員で、一帯の草を刈った。

 続いて畑にする土地を水平にする為、高い所、盛り上がっている所の土をシャベルで掘り、低い所へ持って行く。

 それと並行して、クワで耕す。


 小石等がゴロゴロ出て来る。

 それを取り除きながら、耕していく。

 土が固まっていると、作物は育ちにくい。

 だが、ただの地面だった土地を耕すのは、大変な労力である。


 一通り耕した所で、次に畝を作る。

 等間隔に細長く直線状に土を盛り上る。

 クワで土を掘り上げ、両側から盛って行く。


 そして、なんとか畑らしいものが出来上がった。

 シェルターから持ってきた、にんじん、ダイコンの種、それと、北の畑で収穫したじゃがいもを種芋として植えた。


 収穫まで、3ヵ月かかる。

 それまで、シェルターとの間を往復し、シェルターの食料を運ぶ計画である。


 だが、小川で川魚が獲れる事。

 ここへ来る途中で見つけたアケビ、山栗、等がなってる木。

 近くに生えている山菜。

 これらを食料にする事で、収穫まで食いつなぐ事は出来ないだろうか……といった意見が出た。


 倉庫にあった網を使えば、沢山の川魚を捕まえる事が出来る。

 山菜も、どのへんに沢山生えているか解って来た。


 そこで、収穫まで食いつなぐ事が可能か、試してみる事になった。

 そう、無理だと判断した時点で、シェルターへ戻れば良い。


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 次回:林の中で

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