11-04 生き延びる為に

 改めて、今後についての会議を行った。

 この中で、一番年配のCMさんに、会議を仕切って頂く事となった。


 全員で、上空写真を見ながら意見交換を行った。

 地上での放射線量が下がれば、ここを出て、この不毛地帯を超えて、森林地帯に生活の拠点を移す事に全員が同意した。


 では、この不毛地帯を抜けた先に、私たちが生活出来る環境が、あるのだろうか。

 問題は、そこで食料が自給出来なければならない。


 そして、私たちの移動手段は、徒歩でしかない。

 人間が、1日に歩ける距離は、だいたい20km。


 まず上空写真から、生活出来そうな所を見つけ、そこへ食料を持って向かう。

 そして現地を確認し、自給出来ないと判断した場合は、1日野宿して、再びシェルターへ戻る。

 それを繰り返し、生活出来そうな所を探していかなければならない。


 その時、上空写真を見ていた詩織が言った。

「これ、山小屋じゃないでしょうか」

 全員が、詩織の指すポイントに着目した。


 ここから北北東に、約9kmのポイント。

 小さくてよく解らない。

 その部分の画像データを拡大した。

 はっきりとは分からないが、いくつかの山小屋らしきものにも見える。


 CMさんが提案した。

「もう一度地上に出て、そのポイントの近くまでドローンを飛ばしてビデオを撮って来るというのは可能ですか」


 それに対してBMさんが答えた。

「いえ、ドローンの航続距離は、およそ300mですので、片道として150m先までしか行けません。9km先の目標に対して150mだけ近づいても、あまり有力な情報は得られないと思います」


 私も答えた。

「はい、私も同じ考えです。それと、私もBMさんもドローンの操作に慣れていません。今回は、真上に飛ばすだけでしたから、なんとかなりましたが、目標に向かって飛ばすとなりますと、もしもドローンが戻って来れなかった場合、ドローンを失う事になります。そのリスクを冒してまで行う事ではないと考えます」

「なるほど、了解しました」と、CMさんも納得された。


 私にとって、

 CMさんは、Captainキャプテン

 BMさんは、Buddyバディ

 そんな感じだ。


 上空写真から、他にも何かないか、みんなで探した。

 しかし、他には見つからない。


 CMさんが提案した。

「では、地上での放射線量が下がるのを待って、その後、A子さんが見つけたポイントを、まずは目指すというのは、いかがでしょう」

 全員が賛成した。


「では、その日に向けて、今から準備して行きましょう。野宿する為のテントや、携帯食料とか……そして今後も、このような会議を開いて、得た情報を共有しましょう」

 全員が了解した。


 そう、これからやらなければならない事は、沢山ある。

 私たち全員が、生き延びる為に。


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 次回:(第11章 最終話)出発

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