11-02 これからの事

 私は、詩織を呼び出し、さっきの話しの 続きをした。


 アノンさんが言った。

「生き残ったウイルスが、を浴びた事によって、ヒト以外にもうつるウイルスに変異した確率を計算したのですが、無いとは言いきれない結果が出ました」


 詩織が言った。

「今からモニターシステムで、外のようすを確認しませんか」

 私は返した。

「しかし今は夜で、地上は真っ暗で……」

「赤外線モードで。夜行性の動物等、確認出来るかもしれません」

「わかった」


 私たち3人は、モニターシステムの所へ行って、カメラを起動させた。

 3人、張り付いて監視した。


 しかし、動物等の姿を見つける事が出来なかった。

 やがて、空が明るくなり始めた。

 しかし、空を飛ぶものはいない。


 この件、もう皆と共有しなければならないと思った。


 私は2人に提案した。

「これから皆を集めて、この件を話しましょう」

 2人は同意した。


・・・・・・


 そして私たちは、全員を集め、会議を開いた。

 私から、今回の件を説明した。

 しかしながら、まだ何の確証もなく、可能性の1つである事も付け加えた。


 それでもみんなは驚いていた。

 そう、もしもウイルスによって人が殺されているのであれば、今後が大きく変わってくる。


 私たちは、このシェルターで地上での放射線量が下がるのを待ちながら、救助に来てくれるのを待つ考えでいた。


 非常に乱暴な話しであるが、今回、日本に落とされた核は1つ。

 そこでは半径5kmが焼き尽くされ、仮に命を失った人が10万人としても、日本の人口1億2千万人に対して0.1%以下である。


 つまり、99.9%以上の人は、生存していると考えていた。


 しかし、事がウイルスであるとすれば、事態は大きく変わって来る。

 このあたり一帯、生きている人が居ないかもしれない。


 みんなで意見交換を行った。


 そもそも本当に、ウイルス兵器からの感染が拡大してるのか?

 この件については、憶測で結論は出せないとの事で保留とした。


 次に、そのウイルスが感染を拡大させたと仮定した上での意見交換が行われた。


 我々に感染する心配は無いのかという声があがった。

 それに対してアノンさんが答えてくれた。


 我々がこのシェルターへ来た時、アノンさんが携帯していたワクチンを接種した為、それが効いている可能性があるとの事。

 それでも感染しないよう、人や動物に遭遇しても、近づかないようにとの事だ。


 次に、地上での放射線量が下がって、シェルターから出られるようになったら、我々はどうするか。

 各自の判断で行動するか。


 それに対してC子さんが口を挟んだ。

「ちょっとぉ! この状況で各自別行動なんて、ありえない!」

 B子さんも発言した。

「みんなで一緒に行動しましょうよ」


 そこで決を取った。

「全員一緒の行動を望む人」

 それぞれ考えながら、手を上げた。


 しかし、アノンさんだけ、手をあげない。

 アノンさんは、まわりを見渡し、遠慮がちに手を上げた。

 私はアノンさんに訊いた。

「どうしたんですか?」

「いえ……私、皆さんの仲間に、入れて頂けるのか……と思いまして」

 C子さんが言った。

「なにを今さら」


 という事で、全員一緒に行動する事となった。


 では、どうするか。

 問題は食料である。


 このシェルターの外は白い砂の不毛の世界で、農作物を育てる事は出来そうにない。

 シェルターでの食料やエネルギーは4年分ある。

 救助に来てくれるのを待つつもりでいたが、救助に来てくれる人は、いないかもしれない。


 ここでの食料を食いつぶしてしまったら、あとは生きていけない。

 食料と体力のある内に、このシェルターから生活の拠点を移さなければいけない。


 では、この砂漠は何処まで広がっているのか?

 その先に何があるのか?

 それを知る必要がある。


 そこで、もう一度地上に出る。

 そしてドローンを飛ばして、このあたり一帯を上空からビデオを撮り、確認する事となった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 次回:上空写真

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