09-03 ふみふみ
このシェルターに潜ってから、2ヵ月が過ぎた。
水耕栽培により、キュウリ、ナス、トマト等の野菜が順調に育ち、今ではここで、新鮮な生野菜を食べる事が出来る。
まさに女性達のおかげである。
そこで私も何か作って、皆さんに喜んでもらいたいと思った。
では、何を作るか。
私としては、やはりお酒だ。
……と考えるのだが、BMさんもCMさんも、あまりお酒は飲まれない。
よって、協力してもらうのは難しい。
さて、私1人でお酒を造るとして、思いついたのは、ぶどう酒だ。
現在ぶどう酒は、ぶどうの実を巨大な容器に入れ、それを機械で押し潰し、ぶどう果汁を絞り出す。
ぶどう果汁に含まれる酵母の働きによって、ぶどう果汁は発酵し、ぶどう酒となる。
しかし、中世のヨーロッパでは、そのような押し潰す機械など無かった為、ぶどう農家の娘が素足でぶどうを踏みつぶし、ぶどう果実を絞り出していた。
しかしその製法は、ぶどう果汁に含まれる酵母(菌)に、娘の素足からの菌が加わる事で、発酵そのものに影響を与え、ぶどう酒の味わいに変化をもたらす。
当然、かわいい娘が踏んで出来たぶどう酒には人気があつまった。
これはもう、ぶどう酒本来の美味しさからは、逸脱した話しである。
さて、話しを戻すと、ここにはぶどうを押し潰す機械など無い。
では、私が踏み潰してぶどう酒をつくるか?
しかし、私が踏み潰して出来たぶどう酒を、飲みたい人が、いるだろうか?
私だって飲みたくない。 〔← バカ〕
やはり、私にとって、ぶどう酒をつくるのは、無理だ。
しかし……水の妖精である詩織が素足で踏み踏みして出来たぶどう酒なら……ちょっと、飲んで、みたい気もする。 〔← ヘンタイ〕
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次回:(第10章1話)地上への道
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