09-02 口を出してはいけない

 このシェルターへ来てから、女子会はアノンさんを含めて4人で行うようになった。

 女性4人、すっかり仲良しになってる。

 詩織は女性達のあいだで「Aちゃん」と呼ばれ、みんなから好かれている。

 とても良い感じだ。


 しばらくは、ここ(核シェルター)で過ごさなければならない。

 であれば、やはり快適さを求めたい。


 食堂に用意された10台のテーブルと40脚の椅子。

 この食堂を私たち7人で利用する為、4台のテーブルと7脚の椅子を残し、後は全て食堂の端に移動させ、端の照明を落としてエネルギーの節約を行う。


 そして女性達は、この食堂をリビングに改造し、装飾を始めた。

 私としては、シンプルな感じが好みなのだが、まあ、こういった事は、女性がやろうとしている事に、口を出してはいけない。


 広々としたリビングルーム。

 なんと贅沢な生活空間だろう。


 女性4人が集まって、何やら打ち合わせをしている。


 彼女達は、空室の部屋からプラスチックの衣類収納ケースと敷布団を持ってきた。

 次に、食堂の端に移動したテーブルを縦に並べ、その上に収納ケースを並べている。


 次に、敷布団を分解し、ポリエステルの中材を出している。

 敷布団は新品である。

 何を始めるつもりなのだろう。


 敷布団から取り出した中材を収納ケース底の大きさに切断し、収納ケースの底に敷いている。

 我々男性3人は、優雅にコーヒーを飲みながら、何が始まったんだと、興味深く見ていた。


 彼女達は、大きなボールに、お米と水を入れて、といでいる。

 そのとぎ汁をボトルに入れ、それに牛乳を少量加えて栓をした。

 次に、先ほどの衣装ケースに水を入れて、何かを撒いて蓋をした。


 彼女達が何をしようとしているのかが解った。

 水耕栽培だ。

 さっきのとぎ汁は、水耕栽培の培養液。

 牛乳を加える事で発酵させ、水が腐るのを防ぐ。


 ここで生野菜を作る計画らしい。

 これは素晴らしい、そしてありがたい。

 この水耕栽培がうまくいって、いずれこの部屋が家庭菜園になる事を、私は期待した。


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 次回:(第9章 最終話)ふみふみ

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