第9章

09-01 探索

 核兵器による核爆発は、原子力発電所の事故と大きく異なる。

 それは、扱っている放射性物質の量が、桁違いに少ないことだ。


 今回の核爆発からの放射能は、3ヵ月後には、地上に出る事が出来るレベルになると考えている。

 その頃になれば、何だかの組織が、我々を救助に来てくれるだろう。

 このシェルターも、120人が3ヵ月間として設計されている。


 なお、私たち7人で利用すれば、単純に計算して4年間、ここでの生活が可能だ。

 地上で受ける放射線量を測りながら、今後を判断していきたい。


 それと、兵器として使われたウイルスは、核爆発によって死滅したと考えているが、アノンさんはウイルスのワクチンを携帯されていた。

 万が一を考えて、アノンさんは私たちにワクチンを接種してくれた。


・・・・・・


 私と詩織は、このシェルターの図面をみながら、シェルター内を確認してまわった。


 このシェルターは、非常に広い。

 まるで、地下鉄の地下構内に造られたショッピングモールのようだ。

 シェルターの真ん中に中央ブロックと書かれたエリアがある。

 この中央ブロックは2つに別れていて、食堂と運動場と書かれている。


 食堂は、10台のテーブルと40脚の椅子が用意されている。

 120人を収容するシェルターである為、食堂での食事は時間に分けて3交代で行うよう作られたのだろう。

 そして食堂の一辺に調理場が作られており、冷蔵庫なども備わっている。


 次に運動場へ行くと、そこは何も無い空間だった。

 子供達を遊ばせる為の場所なのだろう。


 扉があり、それを開けると卓球台やトレーニングマシン等が格納されていた。

 健康維持の為に用意されたのだろう。


 この中央ブロックを囲むように、Aブロック、Bブロック、Cブロック、Nブロックと書かれたエリアがあり、AブロックからCブロックまでが居住ブロックと書かれている。


 各ブロックには、居住用の10部屋と、リザーブと書かれた部屋が2つある。

 居住用の部屋は、1部屋4人で生活するように造られているようだ。


 私たち7人は、Aブロックを利用し、1人1部屋専有する事にした。

 そして、BブロックとCブロックは、エネルギー節約の為、電源を落とした。


 私と詩織は、Nブロックと書かれたエリアへ行った。

 そこは、コントロールルームと、2つの倉庫だった。


 コントロールルームは、私たちがここへ来て最初に入った会議室のような部屋で、そこのパソコンからこのシェルターの図面を見つけ、印刷してこのシェルター内部を確認している。


 次に倉庫を確認した。

 1つめの倉庫は食料庫だった。


 真空パックされたものや、大量のレトルートパック。

 宇宙食のようなものまであった。


 次に、2つめの倉庫をまわった。

 さまざまな物が格納されている。

 私と詩織は、それを興味深く見てまわった。


 アウトドア用品。

 サバイバルキット。

 収納テント。


 ソーラーパネル。

 ノートパソコン。

 そして、これはドローン?

 モニターシステム?……なんだろう。


 これは、生き延びる為に用意された物のようだ。

 改めて1つ1つ確認する必要があると思った。


「レイさん」

 詩織が私を呼んだ。


 なんだろうと詩織の方を向くと、大きな棚の扉を開けて、その中を見ている。

 私もその棚の中を見ると、そこにあったのは沢山の拳銃だった。


 数にして20丁。

 マニュアルを見ると、麻酔銃との事だ。


 射程距離は、8mから10m。

 対象物に当たった玉は、中から霧状に麻酔薬が噴射し、それを吸い込む事で眠らせるとの事。


 このようなもの、使わなければならない事が、あるのだろうか。

 その棚の扉を閉めて、私と詩織はこの倉庫からでた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 次回:口を出してはいけない

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