第7章
07-01 何処で過ごす?
詩織は、しばらくすると回復した。
私は詩織の手を握って言った。
「まずは、ゆっくりと休みなさい」
詩織は静かに頷いて、目を閉じた。
私は、112さんと311さんに提案した。
「詩織を、ゆっくりと休ませて欲しい。このまま続けていたら、詩織は壊れてしまう」
私の提案に311さんは同意してくれた。
しかし、112さんは、首を縦にふらない。
112さんが言った。
「しかし彼女には、人類80億人の未来がかかっている」
その時、127さんが言った。
「はい。だからこそ、彼女を大切に見守る必要があるのです。人類80億人の為に」
そして311さんは言った。
「何にしてもAMさん考案の電磁パルス砲のお陰で、当初の目的は達成できました。3番目の論文内容が活用出来なくても、これで核兵器廃絶の為の一歩を踏み出す事が出来ます」
311さんの話しを聞いて、112さんは複雑な表情を浮かべながらも、私の提案に同意してくれた。
・・・・・・
これからしばらくは、私が考案した電磁パルス砲の量産と制御調整を行うとの事だ。
この電磁パルス砲の製造に、もう私は必要ない。
そこで私と詩織は1ヵ月間、解放して頂ける事となった。
そして127さんから、詩織のケアーを頼まれた。
とにかく一旦、頭の中を空っぽにする事だ。
では、その1ヵ月間を何処で過ごすか?
127さんから伝えられた。
「世界中の何処でも良いです。過ごしたい所を申し出て下さい」
なんと素晴らしい。
これは、127さんによる計らいである。
オーストラリアの美しいビーチで詩織と一緒にくつろぐのも楽しそうだ。
ハワイでのホテルにゆっくりと滞在するのも良いだろう。
しかしながら、安全管理の為、数人のガードが同行との事。
これでは、気が休まらないではないか。
まあ、私と詩織がここから脱走しないよう、監視が目的なのだろう。
さて、この1ヵ月間を何処で過ごすか、詩織と相談したところ、詩織はあの施設でB子さん、C子さんと過ごしたいとの事だ。
詩織にとって、初めて出来た女性の仲間。
あの3人での女子会が、楽しかったようだ。
私は、悪くないと思った。
何にしても、あの施設であれば、ガードは必要ない。
詩織がくつろげる事が重要だ。
その事を127さんに伝えたら、了承してくれた。
私が考案した電磁パルス砲は、いささか巨大なシステムとなってしまったが、核ミサイルを撃ち落とす能力を十分持っている。
よって、詩織が取り組んでいる3番目の論文の理解は、近々の課題ではなくなったはずだ。
しかし、何故か3番目の論文に、彼らは注目している。
その時、私の脳裏に嫌な事が浮かんだ。
3番目の論文の内容が組み込めれば、電磁パルス砲の出力を驚異的に上げる事が出来る。
今の100基の電磁パルス砲が、1基で可能となる。
つまり、電磁パルス砲の小型化が実現出来る。
盾としての電磁パルス砲が小型化すれば、それを航空機に搭載して……矛としての活用を想定している?
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次回:星に願いを
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