06-02 エリア3
あの施設に連れて来られた時、私と詩織は外の景色が見えない状態で連れて来られた。
あの場所が特定されない為であろう。
しかし今は目隠しされる事もなく、私と詩織はヘリに乗って外の景色を見ている。
ただ、上空から見下ろす景色は、樹木が立ち並ぶ森林で、ここが何処なのか解らない。
しばらくすると、森林の中に開けた所があった。
このヘリは、そこへ着陸するようだ。
大きさは、東京ドームの4倍ぐらいだろうか。
いくつかのプレハブのような建物と、大砲のような筒。
ああ……やはり、ここは例の実験場だ。
・・・・・・
私たちの乗ったヘリはそこに着陸し、私と詩織はヘリから降りた。
私たちを連れて来た初老の男性が、私と詩織に向かって言った。
「アリーナのエリア
そう言って右手を出された。
「はい。よろしく」
そう返して、私と詩織は握手した。
どうやら、この非公式機関の名前は、アリーナと言うらしい。
そしてここは、エリア3。
つまり、他にもこのような基地があるのだろう。
127さんの127というコードネーム。
このアリーナという組織の中での1課、そして個人番号が27を意味するのか?
しかし、127さんにとって112さんは、格上に見えるが別組織のようにみえる。
つまり、第1部2課で個人番号が7?
そして112さんは、第1部1課で個人番号が2?
そんな事を考えていた。
その時、私たちの前に1人の男性が現れた。
政治職の感じがする112さんとは、少し違う感じを受けた。
私と詩織に、彼は挨拶をされた。
「私は、ここでは311と呼ばれています。科学技術の分野を担当しています。よろしく」
そう言って、右手を差し出された。
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
私と詩織は、311さんとも握手した。
そして311さん案内のもと、実際の電磁パルス砲を見せてもらった。
電界によって磁界は生まれる。
電界の向きを変える事で、磁界の向きも変わる。
磁界の向きが変わる事で、新たな電界が生まれる。
これが伝搬していくのが電磁波である。
通常、電界の向きの変化は、正弦波で行う。
それに対して、この電磁パルス砲は矩形波でおこなっている。
一通り、電磁パルス砲の実験設備を見学させて頂いたのち、私と詩織は打ち合わせ室のような部屋に案内された。
私と詩織、そして127さん、112さん、311さんの5人は、大きなテーブルを囲って着席した。
詩織にノートパソコンが渡された。
そして、311さんは話された。
「そのパソコンには、浅野博士のパソコンからサルベージした2つのファイルと隠されていた3番目のファイルが入っています。そして、博士から送られたビデオレターが入っていますので、まずはそのビデオを見て下さい」
詩織は、そのビデオレターを再生した。
私は詩織の横から、そのビデオを一緒に見た。
先生の顔が映り、先生の話しが始まった。
『詩織、このビデオメールを見ている時、私はある国の研究機関で電磁パルス砲の開発に取り組んでいる。
この電磁パルス理論は、私が導いた余剰次元物理学によるものだ。
詩織には、私の余剰次元物理学を教えて来た。
詩織なら、理解出来ると思う。
核弾頭ミサイルの矛に対して、盾としての電磁パルス砲を、日本でも完成させて欲しい。
核兵器を無力化する事で、この世界から核兵器廃絶の流れをつくっていきたい』
ビデオメールは、ここで終わった。
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次回:矛と盾
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