束
とある国に、とんでもない悪人がいた。
自らの権力を利用して、好き放題に行動していた。
自分は豪華な宮殿に住み、民衆は貧しい暮らしを強いられた。
民衆は大激怒した。もはや、我慢の限界だった。
民衆を束ねる指導者が、煽り立てるように宣言した。
「皆で協力して、アイツをやっつけよう!俺たちが束になれば、倒せないものはない。さあ、すすもう!」
民衆は手を取り合い、叫びながら突き進んだ。
正義は我らにある。負けるはずがない。そう信じて疑わなかった。
悪人は仲間たちに札束を渡して、こう告げた。
「これを2階のバルコニーから、行進する群衆に投げなさい。ヤツラは大人しくなるだろう。あとは指導者を捕まえればよい。なあに、すぐに終わる」
その通りになった。民衆は札束に夢中となり、暴動は自然消滅した。指導者は逃げ延びるのに失敗し、逮捕された。
とても不可思議なことではあるが、起こり得そうなことではある。
正義が束になって襲い掛かろうとも、紙の束にはかなわない。
民衆は札束を見れば、狼から羊に変身してしもうもの。
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