「勝ち」の継続性は? 「平均への回帰」
負ける投資家は、まず時間の使い方を間違っている。
チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」を参照にしつつ、
今日まで資産運用を続けてきた及び筆者の見識を述べる。
以下は、投資で資産を築くのに全く必要のない要素だ。
・日々の株価に一喜一憂する。
・日々のニュースに一喜一憂する。
・日々の経済指標に一喜一憂する。
上記によって投資判断(売りたい買いたい)がころころ変わる?
変わっていいはずがない。サイコロを振るのとはわけが違うのだ。
新NISA組はこれが最大の理由となってNTTやトヨタを損切りしてしまう。購入当初の思惑は完全に忘れてしまっている。
メンタルが弱い以前に、記憶力も弱い可能性がある。
まともな個人投資家なら事前に作成した運用計画があり、忘れぬようたまに確認し、その通りに実行するのだ。半年ごとに運用計画を見直し、時流に合わせて変化させる。日々莫大なお金が動くマーケットとは、我々の想像を絶する化け物である。俺はblackさんが相場の急激な変動に混乱せぬよう確固たる投資方針を作ってあげた。
時流の変化とは、最低でも数年先の経済状況を予想したものであり、
明日明後日の株価のことを指すわけではないし、昨日発表されたばかりの経済指標のことでもない。未来を予想し、ある一定の可能性にかける行為を指す。(脱炭素、DX、ロボット、EV、AIなどの需要は誰にもわかる。
単純に、これらの株は長期的に高いリターンを出す可能性が高い)
【時間の無駄は、投資リターンの低下につながる。
たとえ複利年率1%の差でも、長期投資の結果に大きな違いが出る】
【途中の下落相場も含めて、長期的に安定したリターンを出さないと意味がない。リターンが安定しないと10年後の資産の増加は望めない】
「トヨタの改善術」の本にこんな指摘がある。
期待の新人としてプロ野球に入団した若者が、最初の1年はうまくやったとしても、対戦相手に詳細なデータを取られてしまい2年目からは同じ戦法が通用しなくなる。3年目となると、まったく戦力にならずに2軍落ちになる。プロの世界では、3年間成績を残したものなら通用する選手となる。
甲子園では最高だったはずの選手が、プロ入団後に2軍止まりとなる。そして数年後も1軍に上がることができず戦力外通告へ。個人的には高校時代に優秀だった選手ほど通用しない場合が多いと思う。ここから分かることは、高校時代の野球の実績は、プロ入団後の実績を保証するものではないということだ。
バカ「俺は高校時代の優勝投手。優勝してマスコミにもちやほやされた。
俺のやり方は最高で、俺のやり方が間違ってるはずがない」
賢者「俺は高校時代に優勝できなかったが、プロになれたので頑張りたい。俺のやり方は通用しないだろうが、日々研究を重ねて努力をしよう」
前者は慢心、後者は謙虚である。
謙虚さを失う投資家もまた、継続的なリターンを出すことができない。
エリス先生によると、謙虚さを失った投資家は、今までの長期投資の哲学をすっかり忘れてしまい、いきなりハイレバレッジの投資に手を出しては全財産を失ったりするそうだ。
【平均への回帰】
投資の世界では、たとえばパチンコでのまぐれ当たりのように、1年目はラッキーでリターンが高かったとしても、2年目以降は平均への回帰によってマイナスのリターンとなり、累計リターンが結局はゼロになってしまうことがよくある。投資のリターンも、最低でも10年かけて累積リターンを積み上げていかないと意味がない。運用計画を策定した際に、今から10年後の未来に向けてPFを作成するのが最低条件となる。
ダウ掲示板を見てみればわかる。
彼らは空売りと呼ばれる「ラッキーパンチ」にかけて一発勝負を続けては相場の上昇時に乗り遅れてリターンを低下させているが、同じ失敗をおそらく数年以上も継続してやって今日まで負けてづけている。自らの失敗から学習する気配がまったく見えず、今もまた日々のニュースに一喜一憂してどうやって売買するかを決めている。計画性のかけらもないし、信念も哲学もない。典型的な空っぽ人間である。すでに相場から退場した人が多そうだ。
この小説の分類は「長期投資の哲学」となっている。哲学である。
哲学が、日々変わるのだろうか? 違う。そんなわけがない。
熟慮の末にこうであると決めた考えが哲学として昇華される。
配当再投資戦術が「一過性のラッキーパンチ」ではなく、時に裏付けされた優良株式に対して実行することによって、累積リターンを得続けることができることは、多くの投資の専門書によって指摘されている。
筆者が最も参照したのはジェレミー・シーゲル教授の著書だ。
例えば大学の資金を拠出するために運用しているハーバード大学やイェール大学の財団基金の担当者の中で、信用買いや空売りを推奨している専門委員などひとりもいない。そんなもので累積リターンが増えないことを世界最高レベルの運用担当者たちは知っているからだ。
つまり、実績と信頼のある経済学の権威の人たち(デイビット・スウェンセン先生チャールズ・エリス先生)が、「そのやり方は失敗するからやめておけ」と繰り返し語っていることに逆らい、無謀なデイトレなどに手を出して失敗するのが頭の悪い人間ということになる。
【馬鹿は馬鹿ゆえに馬鹿である。馬鹿の資産は永遠に増えない。
負ける人間には、勝てる人間の話が耳に入らないようだ。
それは投資で永遠に勝てないことを意味している】
馬鹿ほど無駄にプライドが高く、俺が尊敬する諸先生方の語る統計学的、経済学的、社会学的な真実を認めようとせず、己の浅い知識と経験によって市場に勝てるなどと「妄想」している。妄想するのは自由だが、それでは一生資産を増やすことができないことを自覚するべきだ。
勝てる投資家がやってることは、日々の株価のチェックではない。
(ただし、不祥事の発生や業績下方修正などした株は見る必要がある)
・読書(専門書)
・世界情勢の把握(ニュース)
・企業分析(決算書)
以上の3点が重要となる。
【時間の使い方を間違っている投資は負ける。
1時間ごとのチャートを追うことは最大の時間の無駄使いである。
その時間でニュースサイトの記事がかなり読める】
・貯蓄する。
・長期投資をする。
・配当を再投資する。
以上の3点には、忍耐力と長期的な視点が必要になる。
まず計画的な貯蓄が社会人1年目の時からできてない人間は、
その時点で投資のスタートラインに立ってないと俺は判断する。
【コツコツと努力すること、コツコツと貯めることができないから、
株価の下落にじっと耐えて我慢することができない】
ある男がこう言った。
「俺はコツコツと地味にお金を稼ぐよりも、FXとかでかっこよく一発当てて、その後さっと引退して消えてしまうのが男のやり方だと思う」
実際はそうはならない。
万が一、FXで大金を稼いだとしても「FX戦士くるみちゃん」を読めば分かるように、短絡的な馬鹿は、その後も高いリターンを求めて全財産を平気で
高いリスクのある商品に対して投資し、「平均への回帰」によって財産を失う。ラッキーで得た利益は、最終的には統計によって否定されるのだ。
22年度のインフレ高金利相場。
花王の株価が下がる。俺はドラッグストアで花王製品をどんどん買う。
現在はセブンアイの株価が低迷中。セブンでお菓子やアイスをどんどん買う。スーパーに行く代わりにセブンで納豆や豆腐や牛乳も買う。
市役所の近くのセブンにネパール人と思われる肌の浅黒く堀の深い女性が勤務してるので英語で国籍を聞くと、やはりネパール人だった。これからは外国人が日本の雇用を支える時代になるので頑張ってくださいと伝える。
家の近くのファミマには、お局と思われる若くて怖い女の子がいて我々顧客に謎の威圧感を与え、アルバイトの若い頼りなさそうな男の子が一生懸命働いている。笑顔の素敵な中年の主婦もいる。日々の買い物の中にも株主にできることはある。企業の利益に貢献すると同時に、企業の価値を判定することだ。パソコンの前で株価を見てる暇があったら買い物に行くべきだ。
投資家がいて、投資先企業のお店(工場やオフィス)があり、そこで働く従業員がいて、商品があり、それを買う人がいる。需要があり供給がある。商品やサービスが世の中を循環して付加価値が生まれる。これが企業経営の本質である。セブンの駐車場に納品業者のトラックは、どこの企業のトラックだろうか? 彼のかぶる帽子やユニフォーム、トラックのタイヤなど、あらゆるところに我々が出資する企業の価値が生み出されているはずだ。
決算内容を吟味して、今の株価低迷は一時的だと判定し、いつか株価が上がることを信じながら配当を得て待ち続ける。地味な作業だが、確実だ。
企業の価値を疑いたくなったらその企業の製品やサービスを買うべきだ。
工場や倉庫やトラックドライバー、店舗従業員として働くのもいい経験になる。無駄にパソコン画面を見てる時間があったら、日雇いバイトでもいいから食品倉庫にでも行ってみるべきだろう。多くのことが学べる。
トヨタの生産方式より
【良い研究者とは、よく足を使う研究者だ】
企業とは株券とともに表示される電子上の数字ではなく、実際にそこにある企業の価値であり、今俺がこの作文を書いてる最中も経済活動をしている。その企業の商品やサービスと実際に関わることで、企業との距離がぐっと近くなる。自分が利益を得ることだけを考えてるハゲタカ思考では投資家とは呼べないことを、俺はさわかみファンドの投資哲学から学んだ。
【真の投資にかっこよさなどない。かっこいい何かを目指してるのなら、
アイドルとか歌手でも目指すといい。投資の世界に派手さとか目立ちたいとか、そんな考え自体があることが不自然だし、結果的に投資のリターンを低下させる。真の投資家とは自分の成績など人に明かさない。
自分のコミュニティと関係ない一般人には自分の正体を隠すものだ】
筆者の場合は、会社(今は季節性の日雇いの職場だ)の人間に仮に株について聞かれたとしたらこう答えるつもりだ「株ですか? いやぁ、ああいうのは頭の良い人のやることなので俺にはよくわかりませんね。20代の時やったことがあるんですけど、30万くらい損したのでそれ以来やってません(笑)」
勝っていても負けると答えるのが基本となる。
「投資で100万儲かったから友達にご飯をおごってやるんだ(笑)」
こういう馬鹿も見たことがある。
その100万円をどうやって得たのかは知らないし重要でもないが、生活費や教育費、医療費として使う必要がないのなら再投資に回すべきである。
その100万年が資本収益である配当であれば問題ないかもしれないが、
仮に投機による利益だとしたら再現性はない。彼はそのお金を遊びに使ってしまった場合、二度とその利益を得ることはできない可能性が高い。
【儲けたら遊びに使ってしまう。その発想は最高に愚かだ。資本から得た利益は可能な限り直ちに再投資に回して複利効果を得るべきだ。長期投資のリターンのほとんどは、株価の上昇ではなく再投資によってもたらされている】
数学が得意な学者肌の人間、物理学者、公認会計士で投資で負けてる人間もいるそうだ。計算の得意な彼らには次の部分が欠落している。
【決算書とは、過去の利益や株価の推移とは、すでに終わった内容だ。
そこから将来の確実な予想などできない。終わった内容ではなく、将来の利益の変動を予想することが必要だが、数字に依存して生きてた人間ほど、投資に確実な答えを求めたがる。そんなものはない。不確実な要素に基づいた利益予想が正しくできる人間が、企業の価値を判定できる】
投資とは数学のペーパーテストとは違う。
【そこに決まった答えはなく、日々マーケットは狂ったように変動する。
企業の業績予想も中短期的には天気と同じように変化してしまう】
その意味では気象予報士の方が投資に向いてるかもしれない。
天気と日々の株価の推移は実はかなり似ていると思う。
俺の利益予想に数学的な計算など必要ない。俺ができるのは足し算と引き算と掛け算と割り算だ。俺の数学能力は、小学4年生の算数のレベルで止まっていることは過去に述べた通り。利益予想には「カン」が必要になる。
これを具体的に説明するのは難しいが、東南アジア、中東、アフリカ、欧州など、常に世界情勢を過不足なく頭に入れておくこと、企業の作り出す財の価値が判定できる。何かと何かが、頭の中でつながる瞬間がある。
この株は割安で放置されてるに違いないという「ひらめき」だ。
デビューさんもたまにこの感覚を俺に見せてくれる。
デビューさんの頭の中にも「ひらめき」があるのだろう。
これは投資家特有の才能であり訓練で生み出すことはできない。
高学歴エリートほどかえって投資下手、なんて話はざらにある。
現に米国の一流大学を卒業したファンドマネージャーの内、全体の3割程度しか市場平均を上回るリターンを得続けることはできないとされている。
エリス先生の分析結果によると
「アクティブファンドのファンドマネージャーは、頻繁に株を売買する傾向にある。1年以内に保有する銘柄を全て入れ替えて、そのたびに多額の税金が課税されるのだが、新たに買った株よりも、初めから持っていた株の方がリターン(株価上昇)が高かった場合が実に多い」
彼らに共通するのは絶対に企業経営ができないと思われる点だ。
命がけで企業を経営している人間が、いきなり自分の持つ工場を他社に売ったり、株券を手放したりするだろうか? しないはずだ。
経営者意識を持ち、役員諸君らと気持ちを共にしない限り、
長期の個別株投資など一生できないと俺は断言したい。
デビューさんやblackさんは買いオンリーで株を一切売らないが、それが正しいのだ。筆者のように追加資金のない人間は、含み益のある株を売って仕方なくリバランスをしてるに過ぎない。ただし、筆者は複数枚持ってる株の一部を売ってるだけで、最低でも100株は残すようにしている。こうすることで、その株の上昇に乗り遅れることがないようにするのだ。
【俺の出した100万を超える売却益など、実は長期の資産形成では1円の価値もない。そうだとわかっていながらも、まだこれからも上がる株を売ってしまったのだ。それよりも2割の課税で消えてしまった含み益が惜しい。
言うまでもないことだが、俺の払った税金は自民党のお小遣いとして使われるだろう。ほぼ確実に。この20万円で俺は1年分の国民年金の大半が払えるのに】
筆者の「世界分散型」は今年前半のリターンがせいぜい+13%。日経平均を5%も下回るが、この程度のリターンでも毎年安定して出せるのなら問題ない。日本株が好調の陰で含み損が続く中国株、香港株、倉庫系リート、インフラファンドなどは日本株が停滞したタイミングで上昇することもあるのだから。
中国や香港ハンセンがやがて上昇するのは「平均への回帰」によって
説明できてしまう。短期的なリターンの低下に惑わされることはないのだ。
今年前半の「日本成長株式」は、四捨五入で+30%のリターン。すごい成績を上げたように錯覚するかもしれないが、これは昨年まで大幅に下落していたニデックの株価が反転したことによってもたらされたものであり、「平均への回帰」に過ぎない。昨年度の「成長」は-7%のリターンだったのだ。
「成長」の2年間の合計では平均+11.5%のリターンで、同じ時期の日経平均を大きく下回っている。ただし、2年間の累計でマイナスのリターンになってないことは素晴らしいことだ。累計でマイナスにならないことが最も重要となる。ここから23年度の「成長」のマイナスリターンに悲観してニデックを底値で売却してしまうのが、最も愚かな行為なのだとわかる。
ニデックの株価は、莫大な設備投資や企業買収による利益の増加分を考えると、現在の株価はニデックの将来価値に対してに割安で放置されてる可能性が高く、平均への回帰によって株価が大幅に回復することが大いにあり得る。
【市場平均を超える大勝ちを狙うか、それとも負けの少ない安定したリターンを積み上げるか。筆者なら後者を選ぶし、チャールズ・エリス先生やジェレミー・シーゲル先生もそうするべきだと述べている。負けない戦いをするのが勝者のゲーム。勝つ可能性の低い投機に手を出すのが敗者のゲームだ。敗者とは敗者になるべくしてなっているので、統計的に間違ってる選択をしてるのであって、彼らが破産するのに不思議はない】
チャールズ・エリス「敗者のゲーム」
この本は初心者に対して分かりやすく、読者全員にお勧めする。
長期投資の絶対的な真理が書いてある。
トマ・ピケティ「21世紀の資本論」
これを買うのはお勧めしない。筆者は400ページほど読み進めたのだが、現時点では、筆者の学力で読めるレベルの本ではないことが判明している。
筆者の頭脳が、あと100人分あったとしても、ピケティ先生及びこの本の執筆に関わった研究者には到底匹敵しないと言っておこう。
著書の中でピケティ先生も述べているが、俺自身も改めて思うのだ。
経済学は難解複雑でよく分からないと。分からないのだが、それを少しでも分かるようにするために、死ぬまで勉強を続けないといけない。もし勉強しないのなら、今年と同じリターンを10年後も出せる保証がないのだから。
経済学を一生懸命に学んで思うことは「自分は無知である」ことに尽きる。
この感覚を俺はおそらく80歳になるまで持ち続けることだろう。
だが無知でも投資で成績を出すことができることは証明されている。
読者諸兄らは、俺の投資哲学を信じていい。疑わなくていい。
俺が指示した内容には、そのまま従ってほしい。
ただし、俺は自分自身の能力を毎日疑う。
「俺は本当に正しいことをしているのか?
本当に自分の運用方針は間違っていないのか?
実は決算の分析も間違っているのではないか?」
そして……
「どうしたら投資が上手くなれるのか」
俺の人生で永遠に解けない謎はこれである。
歴史の話である。
日露戦争開戦直前、山本権兵衛が、海軍のトップとして日露戦をどのように
進められるのか、どのような見通しなのか伊藤博文に訊かれた際の答え。
「まず、日本海軍の艦艇の半分は沈めます。さらに残りの半分も沈めます。
ただし、それをもってロシア海軍の戦力も全滅させます」
俺も全く同じ気持ちであり、特に19年に母親の口座を姉から引き継いだ際は、熟慮の末に買った日本株はそれでも十分ではなく、常に全滅覚悟で戦っている。全滅とは、株価半値以下から上場廃止となる状態を指す。
俺はブリジストンやホンダでさえ、2040年にはアジアの新興メーカーに敗れ、最後は上場廃止になるリスクさえ考慮しながら四半期ごとの決算報告に目を通している。
再び歴史の話。
同じく日露戦争開戦直前、陸軍の満州軍総司令部、総参謀長の児玉源太郎にも伊藤は同じ質問をした。我が陸軍は、どこまで巨大なロシア帝国軍とやりあえるのかと。児玉閣下はこう答えた。
「ロシア側のシベリア鉄道による兵員と物資の輸送が十分でない今の段階なら、日本側との戦力差はなく互角で戦える。敵の輸送が完了する前に満州の平野で一大決戦を行う。戦力が5分5分でも、我が方の作戦によってそれを6分4分にして勝つつもりだ。どちらにせよ、この戦(いくさ)に完全勝利というものはない。政府には時期を見て講和を考えていただきたい」
俺の投資成績も、主力ファンド「日本外需株」は、日本を代表する各ファンドにギリギリ勝つことはできても、市場平均に勝つことはすでにできなくなっている。歴史的にみてもわかるように、市場平均にアクティブ運用で勝ち続けることはできないのだ。だが、勝てなくても、せめて作戦(企業分析、PF作成術、市場や経済の研究)によって毎年一定のリターンを生み出せれば、それで十分だと思ってる。
なお、日露の戦役では、1年余り続いた戦争全期間を通じて、
日本の陸海軍は最終的に連戦連勝してロシア帝国を講和に追い込んだ。
特に最も戦争に悲観的だった日本海軍は、日本海海戦で完勝した。
その一方、1942年。当時世界最強と称された南雲空母艦隊のパイロットたちは、米国海軍を過小評価し、ミッドウェイの海域で4隻の空母が撃破されてしまう。この艦隊の練度を考えたら、1日で5千機分の航空機を失ったに等しい大損害となった。油断と慢心の恐ろしさを俺は歴史から痛いほど学んでいる。だから俺は、熟慮の末に選択した株式が、いつ上場廃止になったとしても、その覚悟はすでにできいる。だから日々のマーケットに一喜一憂しない。
【株券を買った以上、その企業の経営者と共に死ぬくらいの覚悟で保持継続する。覚悟があれば、動揺などない。狼狽などない。含み損を数年抱えるくらいの苦痛など、命をかけて前線で戦った兵に比べたら何でもないのだ。
今年前半で得た440万の利益が、後半は逆に失われる覚悟もできている。俺はただ運が良いだけで実力ではない可能性もあるのだから】
素直に、謙虚に、油断せず、経済学の権威と呼ばれる先生方の本を読んで日々勉強しながら、2030年までに来るであろう市場の大暴落に備えて守りの姿勢をしっかりと固めたいと思っている。
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