アクティブ運用。ボトムアップとトップダウン

                    ※印刷推奨

投資のプロが使う技。

アクティブ運用には主に2種類の運用方法がある。


トップダウン・アプローチ (上から見下ろす)

→ マクロ経済の状況に応じて機動的に資産やその配分を入れ替える。

  全世界の債券、為替、商品を網羅する知識と経験が必要。

  例:ヘッジファンド、年金、銀行、保険会社など。


ボトムアップ ・アプローチ (下から見上げる)

→ マクロ経済に関係なく、優良と判断した個別銘柄を保持継続する。

  株式市場、企業決算の分析ができれば誰でも可能。

 例:さわかみファンド、アァク イノベイション(キャシー・ウッドさん)など


筆者の例。

トップダウン →「世界分散型」「リスク低減型ETF」


両PFは、マルチアセット運用で機動的に銘柄を入れ替え

資産高の増加よりも資産減少を防ぐことで安定運用している。


これは、筆者の企業での労働収入が少ないため、緊急時にいつでも

資産を売却して生活費の補填をできることを前提にしている。


ボトムアップ → 「日本外需株」「日本成長株式」


これらは、長期保有に最適と判断した個別銘柄、Jリート、野村の日経ETFを

超長期に保有することで資産額の増加を狙っている。途中で換金して生活費として

おろすことは考えてない。母の口座「外需」については本人に確認済みだ。


ちなみに、なぜ「外需」で決算ごとに銘柄を入れ替えているのかというと、

決算ごとに暴落銘柄が発生してその銘柄が新規に欲しくなるが、追加の投資資金が不足しているため、やむを得なく複数枚保持してる銘柄の一部を売却して資金を捻出している。もし現金があるなら株を売却する必要がない。

しかし、基本的に「外需」の運用がボトムアップであることに変わりはない。



blackさんの運用では以下のようになっている。


トップダウン→「世界覇権国ETF」

ボトムアップ→「日本優良株式」「優良株式保管庫」「安定配当」


「覇権」は、外国籍ETF、各国リート、インフラファンドを使うマルチアセット運用だ。戦争や災害を含む世界の経済状況に応じて、資産の配分を適宜変更する。

年度ごとに運用方針が変わるであろう。


「優良」「保管」を筆頭に、特に「安定」は、新NISAを最大限に利用し、

買った銘柄はそもそも経済状況の変化を受けにくいベータヘッジの銘柄に

厳選し、可能な限り保持継続することで非課税配当を得続けることを目的とする。


「保管」は、ニデックを筆頭に強力なグロース株の保管倉庫となっている。

こちらも経済の好不況、デフレインフレに関係なく、株価が上昇するまで

5年でも10年でも待ち続ける覚悟で保持継続をする。

さわかみファンドの近い運用方法である。



トップダウンとボトムアップのメリット・デメリットの違いについて説明しよう。


トップダウン。

・機動的に銘柄を入れ替えるので毎年のリターンが安定する。

・債券や金地金を含めることが多いので大幅な下落相場に強い。

・防御重視の戦術のためリターンは比較的少ない。

・日々の経済情勢を分析、調査するため専業投資家でないと難しい。


ボトムアップ

・銘柄をほとんど入れ替えないので下落相場でマイナスリターンになる。

・上昇相場が訪れた時は、大幅に株価が上がる。

・攻撃重視の戦術。下落相場でも売らずに堪える精神力が必要。

・日々の経済情勢を見る必要がなく、四半期決算だけ見ればいい。


キャシーウッドさんは、ボトムアップの達人である。

彼女曰く「小型グロース株を買ったら最低5年は保持する。

5年間での総合利益で、年平均15%以上の利益を狙う」


ボトムアップのリターン例(年度末ごとに資産額の当落を示している)

1年目 -10%

2年目  0%

3年目  5%

4年目  25%

5年目  30%


上の例。初年度は22年度暴落相場のように、どうにもならない相場だったとしても、最終リターンは5年間で合計50%のプラスである。


初年度のマイナスリターンは痛いが、

4年度の25%、5年目の30%の増加が大きかった。

運用期間が5年間。差し引き合計で50%のリターン。

年平均で割ってみると、【毎年10%の利益】を出していたことになる。


キャシーさんの場合は年平均で15%も叩き出す達人クラスである。

彼女のような優れた運用担当者なら、初年度がたとえ20%暴落

しようが関係なく、経済環境が変わるときまで保持継続する。


ボトムアップの達人集団のアァクイノベイションは、たとえ

今その株を買うのが経済状況からして望ましくないとしても、

それに関係なく勇猛加算に大量に買い付ける。そしてひたすら待つ。


しかも2050年の未来を見据えた、まだ無名の生まれたばかりの赤ん坊の

米国新興企業をである。世界でも類を見ない狩人集団である。

彼女の投資スタイルは、例えるならニデックを上場した初日に買い付けるくらいの

ものである。


永守重信さん「うちで勤めてるパートさんがな、上場初日にニデックの株を

1000株、10万くらいで買ったとしよう。その株が今は3億になってる。

ただし、その人が売らなかったらの話だがな!!」


キャシーさんの投資能力が100だとすると、筆者はせいぜい20である。


俺の師匠、ピーター・リンチさんやシーゲルさんもボトムアップ・アプローチを使う。リンチさんはテンバガーとなった株は保有期間数年で売り抜けているが、

シーゲルさんの理論では50年以上の長期保有の例を著書で何度も示している。

50年となれば、もはやあらゆる経済環境や戦争災害を経ているので

日々の値動きなど完全に無視している。


ただし、シーゲル教授の理論はあまりにも保有期間を長く見積もりすぎなので

一般的な投資家にとっては一生お金を引き出さない王族理論だとしてネットで

非難の対象にもなっている。

しかし長期の配当再投資の効果を確認するうえで彼の理論は大変に参考になる。



筆者の「リスク低減型」が目指す、トップダウンの安定リターンの例。


1年目  5%

2年目  5%

3年目 5%

4年目 5%

5年目  5%


合計25%。年平均5%。

前述、ボトムアップの合計50%、年平均10%のリターンに比べたら低い。

ただし、もし3年目に「やばい。急病になりお金が必要になった!!」

(保険会社なら大規模災害などでの顧客への保険料の支払い)

となった時に、利益が安定してるので含み益の試算を引き出すことができる。


ボトムアップでは、マイナスリターンの年にお金を引き出すのが難しいので

超長期投資が前提。トップダウンでは、短期的に資産が下がりにくいので

緊急時換金性に優れる利点がある。どちらも一長一短である。



デビューさんも、blackさんも

今後もアクティブ運用を続けていくのならボトムアップを中心に考えることだ。


blackさんは俺の信託の範囲化にいるなら深く考える必要はないが、

デビューさんは仕事(フリマ含む)や家庭で忙しいのならボトムアップで

経済状況に関係なく永続保持を継続することをお勧めする。


基本的に君たちに買ってもらった株は、俺が現段階で判断した限り

2050年まで保有できる見込みが高い。ただし、未来のことは誰に分からないので毎回の決算シーズンで緊張してほしい。楽観は危険だ。


インフレヘッジ資産である海運やインペックス、総合商社にしても、

数年後に来るであろうデフレの時期でも関係なく株安(含み益なら最高だが)

に耐え、そのまま持ち続ける覚悟があるなら、最終的に配当分だけでも

資産は増え続ける。いずれまたインフレが来るのだから。



君たちが、絶対にやってはいけないことがある。


それは自己判断でトップダウン・アプローチの運用をすること。

経済状況に応じて頻繁に売買することだ。


まさにテレワのごとしだ。

他の掲示板の奴らも「米金利が下がってきたから」「日本のGDP統計が~」

「この決算じゃだめだな」「社長、責任取って役員も全員首だな!!」

などと判断して銘柄の入れ替えを得意げにしているが、俺からみれば高値で買って

底値で売ることを繰り返してるだけだ。判断力が欠如しているのは素人に多い。


判断力の弱さは以下が影響している。

・計画性のなさ  (何も考えてない)

・意志の弱さ   (責任転嫁。役員は悪くない)

・経済の知識のなさ(勉強は嫌い。でもお金が得たい)


テレワは経験だけはあるが、主に上の要素が影響して負け続けている。

奴は数年は保持すると決めたはずの株をなぜか3か月以内に売っている。


逆に筆者の場合は年度ごとに運用計画書を作っており、

しかもただ作るだけでなく、計画内容を状況に応じて細かく変更していく。

【杓子定規のように、計画通りにしか動けない頭でっかちも馬鹿だ】


囲碁将棋と同じで相手の出方次第でこちらの攻め方も変わる。

状況は日々変わる。自分の頭も3時間ごとに俺は更新している。


昨日の俺の姉の話のように、煮物をするのに醤油のボトルを半分も

鍋に投入してその時点で気づくべきことがある。

「このレシピ本は間違ってるのではないか?」

「家族4人向けなのに、しょうゆをこんなに使って大丈夫か?」


家計と体の健康の2重の意味で、おかしいと途中で気づけない人間は

間違いなく阿呆である。というか常識がない。

実は企業分析をせずにメルカリを買ってる人間も上と同レベルだ。



逆に、数年の時間をかけてもいいから、君たちに学んでほしいことがある。

それは、ボトムアップの基本である「企業分析だ」

四半期決算ごとに「売るべき銘柄」を見分けることだ。


買うべき銘柄はすでに俺の勧めで買ってもらっている。

問題は8月の決算で明らかになった「住友化学」だ。

これと同等の投資不適格な銘柄を保持継続してはならない。


住友化学は、俺が22年度の2月に分析した限りでは投資適格株で

投資期間を20年以上と見積もった。しかし、23年8月にその見方が一変した。

東レもそうだ。22年の2月の決算で、過去10年にわたる主力事業である

繊維の品質検査の不正が公表され、東レ株を全部損切りするに至った。


俺は、証券アナリストとしての能力を持っているが、

日々の仕事や家事で忙しい個人投資家がこのレベルに達することは難しい。


しかしだ(^_-)


買うべき銘柄を新規に発掘すること、日々変動する株価で割安銘柄を

見つけることは難しいにしても、「あ、この株はもうだめだ」と

真に判断できる力を君たちが身に着けることができれば、


仮に筆者が明日交通事故で半身不随になり、以前のような頭脳が

使えなくなった最悪の中の最悪の状況(しかも音信不能で掲示板でも

スマホでも永遠に連絡できない)が発生したとしても、

この過酷な株式市場で生き延びることができる。


投資も仕事だ。仕事は理屈ではなく、経験で覚えるのが一番だ。

まず俺が住友化学をダメだといったこと、メルカリは買う前から

ダメだといった理由、それらを体感としてこれからも知ってほしい。

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