集中運用。南雲機動艦隊からその戦略を探る

南雲艦隊とは、通称である。


第一航空艦隊(だいいちこうくうかんたい)は、

日本海軍の空母艦隊及び基地航空部隊。

1941年(昭和16年)4月10日に新編されたこの艦隊を中核に、

他の艦隊から臨時編入された艦艇を組み合わせ、

【世界初の空母機動部隊】として運用された。


海軍だけでなく、資産運用の世界においもて戦力(資産)の配置は

分散投資と集中投資の主に二つに分かれる。


筆者の場合は過去の成績で利益が常に黒字だったために、

安全策を重視し、分散投資をする。また勤務先の会社で短時間労働している

ため収入が低く、証券口座への入金力が弱いことも関係している。


過去に大きな損失が発生した人の場合、損失を取り戻すために、

グロース株へ集中運用し、大きな利益を狙うことは理にかなう。


スイスの投資哲学(貴金属投資の本場)では

「集中運用こそが最適。分散投資は時間の無駄であり、そもそも投資する

 お金のない若者がお金を増やすには分散投資は効率が悪すぎる」

 

バフェット氏も集中運用及び長期投資を提唱。彼はその手法で巨万の富を

得た。一方でレイ・ダリオ、シーゲル教授は分散投資を推奨する。


ピーター・リンチ氏は、アクティブ運用で世界一の実績を誇る銘柄選びの

達人だ。彼がファンドマネージャーだった時代のマゼランファンドは、

リスク低減のために1,400柄に分散投資しながらも「これは良い」

と思った銘柄にはかなりの資金を投じたらしい。


しかし1,400企業分の決算内容を四半期ごとに把握するのは

常人では不可能だ。リンチ氏は想像を絶する天才である。


リンチ氏いわく

「10銘柄買ったうちの、3銘柄のテンバガーを目指す。

 他の6銘柄が外れたとしても大きな利益が得られるから大丈夫だ」


しかし、これは天才のなせる業なので筆者のレベルでは

とても再現できないし、やろうとも思わない。



さて。太平洋戦争で活躍した南雲機動艦隊の話をしよう。

デビューさんに俺が提示したグロース株の集中運用戦略は、

旧日本海軍の空母戦術に通じるものがあるのだ。


知っての通り、俺は軍事学についても明るいのでその知識が

資産運用においても生かされている。

たぶん囲碁将棋が得意な人も資産運用が上手だと思う。


南雲艦隊は、提督である南雲中将を提督として組織された艦隊。


しかし南雲提督は水雷戦(魚雷を使う専門家)の

出身のため航空戦の知識に疎い。そこで実際に艦隊の指揮をしたのを

「源田実(げんだみのる)」参謀だったといわれている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E7%94%B0%E5%AE%9F


航空母艦とは、天井に大きな飛行甲板を乗せた船の事である。

空母 赤城https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%9F%8E_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)


移動式の航空基地と考えればいい。

人間で例えると大きな盾を背中に背負い、のんびり歩いてるのだ。


大きな航空基地がヨタヨタと海の上を移動しているのだから

敵に狙われやすく、飛行甲板に敵の爆撃機の爆弾を落とされたら

甲板に巨大な穴が開き、空母の中にいる飛行機は離発着できなくなる。


船底に敵の魚雷でも食らおうものなら即撃沈する。

そのため極めて防御力の弱い兵器として知られていた。


当時の米英海軍は、空母の有効な使い方が分からず、

あくまで戦艦部隊の補助程度にし考えていなかった。


日本海軍の誇る鬼才、源田実は、当時生まれたばかりの空母を

「集中的に運用する」ことを考案した。


空母の集中とは、真珠湾攻撃当時の序列でみるとこうなる。


第一航空戦隊 赤城 加賀 (大型空母)

第二航空戦隊 蒼龍 飛龍  (中型空母)

第五航空戦隊 翔鶴 瑞鶴  (大型空母)


以上の6隻の大型空母と中型空母を密集させ、その周辺に

戦艦、巡洋艦、駆逐艦などの船が、空母の周りに輪を描くように囲む。

これを輪形陣と呼ぶ。40隻を超える大艦隊である。


将棋で例えると、碁盤の中心に「王」(空母)を置き、

その周辺を「金」「銀」(各戦艦)が護衛する。

大型空母にはおよそ80機以上の飛行機が搭載されている。


源田実は語る。

「空母を艦隊の補助ではなく、攻撃用の兵器として使用する」

「航空機による爆撃と雷撃によって敵の戦艦を沈める」


※爆撃 → 空中から爆弾を落とす。

 雷撃 → 海中に魚雷を落として敵にぶつける。


この戦術は、当時の世界の海軍常識を一新した。


源田は特に乗組員の練度を重視し「一航戦(いっこうせん)」

すなわち第一航空戦隊の赤城と加賀には、日本中から

選りすぐりのパイロットをかき集めて編成した。東大生で例えると、

東大の中でも成績上位100名を選定したようなものだ。


真珠湾奇襲攻撃当時に参加した南雲艦隊の艦載機は360機を超え、

この攻撃隊の猛攻によって真珠湾は一瞬で火の海に包まれ、

ハワイにいた米国太平洋艦隊は一日で壊滅し、

航空機400機が撃破され、米国兵3,000名が死亡した。


世界初の空母艦載機による敵基地攻撃である。


米国兵はこう述会する。

「日の丸のついた敵の飛行機は、基地上空の5メートルすれすれの状態を

 アクロバット飛行していた。あれは人間の技量じゃない」


「最初はドイツ兵が襲って来たのかと思ったが、日本人だったのか」

「エイリアンが襲って来た。おそらくあいつらは宇宙人に違いない」



この艦隊には致命的な欠点があると思われた、

それは、空母を密集させるので敵の飛行機部隊の接近を

許した場合、空母がまとめてやられる可能性があることだ。


それについて源田参謀はこう反論した。


「艦隊をまとめているので、空母だけでなく駆逐艦などの

 対空射撃の密度を最大にできる」

⇒蜂の巣のような弾幕を展開し、むしろ対空防御力が上がる


「飛行機の離発着を4隻同時に行えるので攻撃密度が高い」

⇒空母を飛び立った各航空隊は瞬時に空中で合流し編隊を組む。


「防御においても上空を旋回する零戦部隊をまとめて

 配置しておくことができる」

⇒各空母から10機ずつでも戦闘機である零戦を常に空母周辺に

 飛ばしておけば、各空母をまとめて防御することも可能。


空母はから飛び立った攻撃隊が敵艦隊に攻撃を加える一方、

防御専門の飛行機部隊がぐるぐると空母の周りを飛び続けて

敵の襲来に備えるのだ。また輪形陣を組んだ各空母が

敵に対して猛烈な対空機銃射撃をくわえることで防御力が増す。


この発想は今では当たり前となったが、源田実さんの完璧な理論は、

当時の海軍戦略を100年先まで推し進めたと言っていい。


アメリカ海軍の戦力ではこの艦隊に対して手の打ちようがなく、

特に零戦部隊の戦闘力の高さに犠牲者が増える一方だったので

「空中での零戦との戦闘禁止」命令が海軍から正式に発令され、

米国海軍のパイロットは零戦を見たら逃げ帰っていいことになった。

これは嘘や虚言ではなく、史実である。


アメリカに変わってこの艦隊に牙をむいたのが英国海軍だった。


当時の英国は極東アジア最大の要塞と自負していたシンガポール大要塞を

拠点に「英国東洋艦隊」を要していた。この艦隊は、インド洋からビルマ、

シンガポール周辺に至る広大な海域を支配していた

「大英英国による200年に及ぶアジア支配」の象徴だった。


南雲艦隊は、その英国艦隊に対してひるむことなく攻撃を加えるのだった。


海軍の攻撃に連動してまず陸軍部隊がマレー半島北部に上陸し、

半島一帯を南下し、最南端にあるシンガポール大要塞に攻撃を開始。


血で血を洗う攻防戦が始まった。

日本陸軍の重砲隊は、30万発を超える巨砲を惜しむことなく

大要塞に向けて発射する。

その後、歩兵隊は敵の機銃の猛烈な射撃にひるむことなく突撃した。


当時のビルマやタイ、マレー半島やインドに住む人々はこう噂していた。


「あのジャパンて国は、ついに英国にまで喧嘩を売ったのか」

「俺たちアジア人だ。アジア人が英国人に勝てるわけない」

「そうだ。俺達は奴隷だ。俺達は孫の代まで英国の奴隷になるんだ」

「勝てるなんて希望を持つんじゃない。どうせ最後は全滅するんだよ」


日本陸軍の猛攻により、シンガポール要塞はついに陥落し、

その名を昭南島と改められた。

英国人の捕虜は8万名に及び、英国史上最大の捕虜を出してしまう。

そもそも英国がアジアに敗北したことがなかった。


この信じられないニュースに、世界中の英国植民地国は、

天と地がひっくり返るほどの衝撃を受けた。


シンガポール要塞の陥落と時が少し前後するが、

日本海軍の航空機部隊と英国東洋艦隊の間で、マレー沖海戦が生起した。 


英国最新鋭の【戦艦プリンス・オブ・ウェールズ】と【巡洋戦艦レパルス】

が、日本海軍の陸上攻撃機の魚雷攻撃によって撃沈された。

これは基地航空隊によってなされたもので、南雲艦隊の成果ではない。

 

英国海軍首脳は、奇襲により実質無抵抗だった真珠湾の艦隊と違い、

戦闘行動中の新鋭戦艦ならば敵の航空機の攻撃で撃破されることは

ないと考えていたが、その認識は全くの誤りであり、

上の二艦の撃沈は、チャーチル首相が第二次大戦を通じて

最もショックを受けた出来事だったと自著に書き残している。


日本軍によって沈められ二隻は、本来、欧州でのドイツ大海軍との

戦いに投じるはずのものを、チャーチルの命令により

はるか英国本国から極東まで派遣した、とっておきの戦力だったのである。


「おい。あの英国の最強の戦艦が日本の航空機にやられたらしいぞ」

「あのドイツ海軍でも倒せなかった英国海軍が負けたのか」

「なんだそれ。嘘じゃないだろうな?」

「それがな。どうも本当らしいぞ」


この噂は特に、英国支配に苦しむインド人にとって

最高のニュースとして駆け巡ったそうだ。


英国東洋艦隊と日本の連合艦隊の間で、

インド洋の派遣を巡って【セイロン沖海戦】が生起した。


南雲機動艦隊を主力とした日本の連合艦隊に対し、

英国は空母三隻に戦艦五隻を主力とした大艦隊を展開。


今回は英国側に油断はない。

英国側にも航空戦力と虎の子の戦艦部隊が存在するのだ。


ロイヤルネイビーとは、その名前自体が世界の海洋の覇者を意味する。

歴史と伝統ある王室海軍に比べ、明治維新以降に近代海軍を組織し、

英国から見たら生まれたばかりの赤子に等しい日本海軍。


そもそも維新後に近代海軍の基礎を教えたのは英国であり、

日本の海軍士官は英国に留学して海軍の何たるかを学んでいた。


日本は1920年代に始めて自国製の戦艦、

比叡を建造するまで英国に造船を頼っていた。

日露戦争で勝利したのも英国製の高性能戦艦を使用したからだった。

これでは英国に舐められても仕方がない。


「東洋の猿共が。調子に乗るなよ。格の違いを思い知らせてやる」


その日本帝国海軍に対し、二度とインド洋の覇権を握ろうなどと

ふざけた妄想をさせないようにするため、戦闘ではなく

懲罰を食らわせる目的で、英国東洋艦隊が攻撃を開始した。


その結果、英国は致命的な敗北をした。

 

軽空母 ハーミーズ    沈没

重巡  コーンウォール  沈没

重巡  ドーセットシャー 沈没

駆逐艦 ヴァンパイア   沈没

駆逐艦 テネドス     沈没


タンカー2隻ほか、輸送船10隻以上沈没、損傷多数。


日本海軍及び南雲機動艦隊に沈没船はゼロである。


『北アイルランドを含む大ブリテン連合王国』は、


現在の王室(征服王ギヨーム)が生まれてから実に

600年間もの間、戦争で負けたことがない。


世界一強力な海軍が島国である英国を他国の侵略から守ってきたからだ。 

造船能力、艦隊の練度、海兵の志気、指揮官の質。

高度な頭脳と経験を必要とする職業(海軍)において

世界のトップであることを自称したのがロイヤル・ネイビーだった。


実際に欧州の海域において英国海軍は覇王として君臨していた。

 

数でも質でも他国を圧倒する英国海軍に歯向かうことは。

自国海軍の滅亡につながると欧州列強国は認識していた。

その認識は正しかった。


その英国海軍首脳部は、セイロン沖海戦の結果、

「日本海軍に海戦で勝つことは不可能」と判断した。


その後はアフリカ東海岸まで東洋艦隊を撤退させ、

実に二年近くも戦力を温存する方針を取ったのだ。


英国海軍の長い歴史を紐解いても、

このような事態に陥るのは初めての事だった。


日本の同盟国のヒトラーでさえ、白人国家最強の海軍が、彼の哲学では

世界の二等人種と定める日本人の艦隊に敗れたことに口惜しさを隠せなかった。


次に南雲艦隊が攻撃を加えたのは、豪州だった。  


百を優に超える飛行機の大編隊が、オーストラリアの上空に現れる。

当時を生きた方々は飛行機の翼に塗られた赤い日の丸を

今でも恐怖の象徴として覚えているそうだ。


オーストラリア本土の港が次々に南雲機動艦隊の艦載機による

大空襲を受け、壊滅的な打撃を受けた。

オーストラリアには、抵抗する手段がなかった。

英国でも勝てない相手に、ブリテン王国の弟分にあたる豪州に、

日本最強の空母艦隊に勝てるわけがないのだ。


これより前にオランダ海軍もインドネシアを巡る戦いで

日本海軍と戦い壊滅している。オランダ領インドネシアは日本に降伏した。


オーストラリアは連日の大空襲を受けた後、次の日の新聞に、

自らの国の地図に巨大な日の丸が描かれたイラストを掲載した。


これは、まもなく祖国が上陸してくる日本軍によって征服されることを

暗示していた。豪州国民の日本に対する恐怖は最高潮に達していた。


米国陸軍司令官のマッカーサーは、オーストラリアに日本軍が

上陸するのは間違いないとして、米国陸軍兵20万を上陸させて

豪州陸軍と連携。地上で長期戦を展開するつもりでいた。


「日本軍め。来るなら来やがれ。海で負けたとしても地上では負けねえぞ」


しかし日本から遠く離れた豪州に陸軍兵力を送り込むほどの国力は当時の

日本にないため、そんな計画は初めから存在しなかった。

マッカーサー元帥ですら日本軍の力を過大に見積もっていたことが分かる。

 

1942年。

日本のミッドウェイ作戦の暗号をハワイの諜報部(特殊作戦部隊)が

解読した時、現場ではニミッツ提督の指揮の元、

ミッドウェイ島に空母艦隊を配置し、南雲艦隊を迎撃するつもりでいた。


ワシントンの司令部はそれは敵の偽電文だとして信用しなかった。

ワシントンが出した結論は、南雲艦隊はハワイを超えて西海岸(本土)を

空襲してくるというものだった。

当時の米国本土では日本の空襲を恐れて灯火管制が敷かれていた。


ある日、米国西海岸の上空の飛ぶ飛行機が、実は味方だったのだが

現場の米兵が日の丸(敵)だと誤認し、地上部隊が迎撃戦を展開し、

その戦いの様子をラジオ中継してしまった珍事も存在する。


市民は固唾を飲み(実は友軍同士の)迎撃戦を見守っていた。

ラジオが「やりました。敵の飛行機に対空砲火が当たったようで黒煙を

あげながら墜落していきます!!」


民衆は「やったぞ~~」「ざまあみろ、クソジャップめ!!

「もっと弾を当ててやれ!!」と盛り上がる。


実際は味方の陸軍飛行機部隊が、たまたま夜間に別の基地へ移動するために

その付近を通りかかったのだった。

米パイロットは「頼むから撃たないでくれ!! 俺は味方だ!!」と

言っても当時パニックに陥っていた味方の耳には届かなかった。


米国もまた、日本に対する恐怖でパニックだったことが分かる。

 

すでに真珠湾(ハワイも米国本土)は奇襲された。

西海岸もいつ空襲されるか分からない。

きっと明日にでも日本の飛行機が爆弾を落としにやってくる。

これが、当時の米国民が日本に抱いた恐怖だった。


米国は、ドイツとの戦争で苦しむソ連のために、ベーリング海(北太平洋)

方面からソ連に物資を海上輸送しようと提案。しかしスターリンは

「けっこうだ。日本を刺激したら困る!!」と言って断る。


たとえ輸送船とはいえ、ベーリング海経由での輸送は日本近海を

通ることになってしまう。仮にそのせいで日本を怒らせてしまえば、

ソ連領のウラジオストクやカムチャッカ半島の海軍基地が火の海に

されると当時のソ連外務省は考えていた。


真珠攻撃の衝撃はソ連にも広がっていたのだ。

当時のソ連海軍では日本に対して全く対抗できる状態になかった。

そもそも彼は日論戦争で海軍戦力の7割を日本に撃沈されているのだ。

これで勝てると思う方がどうかしているといえる。


ミッドウェイの奇跡が起きるまでの半年間、

米国海軍は戦闘で一度も日本海軍に勝利したことがなかった。


ミッドウェイ作戦の前に、空母艦隊の司令官のハルゼーが

皮膚病のために入院することになる。

代理としてスプルーアンス提督が任命される。


スプルーアンスは自分が指揮したところで南雲提督の艦隊に

勝てるわけがないと断るが、上官の命令なので逆らえず

空母艦隊の指揮官に正式に任命される。


太平洋艦隊の最高司令官ニミッツも、空母三隻を主体とする

米空母艦隊が、南雲の艦隊を撃破できるとは初めから思っておらず、

ミッドウェイ海域で南雲艦隊の足止め目的で戦闘はするが、

状況不利と見たら艦隊のハワイまでの撤退を考えていた。

 

このニミッツという男は興味深い言葉をいくつも残している。

幼い頃から東郷平八郎提督(日露戦争の英雄)に

憧れていたこともあるのだろうが、敵側の提督である山本五十六を指して、


「指揮官としての素養で完全に自分よりも格が上だ。経験といい、

 頭脳といい、度胸といい。我々がミッドウェイで勝てたのは

 あるいは運なのかもしれないな」と認めていた。

以上は米国海軍全面協力で制作した映画「ミッドウェイ」のセリフである。


勝利者である連合国軍の海軍提督からこのような評価をされている以上、

国内はどうであれ世界的に山本五十六の評価が下がることは今後もまずないだろう。



米空母艦隊のパイロットは、空中合流が未熟だった。

各空母から順番に飛び立った航空機が、空中をぐるぐる回りながら

一か所に集まり、編成を終えた航空隊から敵艦隊に向けて突撃をする。

これらの動作をするために、まず空中で合流しないといけないのだ。


南雲艦隊の場合は、100を超える飛行機の群れが4隻の空母から一斉に

飛び立ち、15分以内に編隊を組んでしまう。


一糸乱れぬV字編隊の飛行機部隊が

ミッドウェイ上空に現れた時、地上防御についていた米国兵は

「あれが日本海軍の空母艦載機か……」とただ震えた。


しかし技量の未熟な米パイロットは、空中合流に時間が掛かるだけでなく、

途中で道に迷ったり、味方の一部が雲の中に入ってしまい、その後行方不明に

なってしまったりと問題が多かった。結果的に各空母から飛び立ったはずの

攻撃隊が、南雲艦隊に向けて時間差でバラバラに突撃してしまった。


ばらばらに攻めてくるものだから、空母上空で待ち構えていた

制空隊の零戦にとってカモとなってしまう。


およそ150機以上の米飛行機が南雲艦隊の上空で撃墜された。

第一航空戦隊の赤城や加賀の制空隊の零戦にとって、米艦載機を倒すなど

「赤子の手をひねるようなもの」と称するほど楽な仕事だったとされている。


この150機を超える敵の撃破にもかかわらず、南雲機動艦隊の

艦載機の損失はゼロだったと、戦闘中に源田参謀が南雲提督に報告する

シーンが映画で描かれている。もはや戦闘ではなく一方的な虐殺だった。


この艦隊の頭脳である源田実の戦術は、あまりにも完璧すぎたのだった。

源田参謀はこう残している。


「艦隊の作戦会議では、何を言っても俺の意見が採用されてしまう。

 これではまるで張り合いがない」


英国艦隊さえ壊滅させた彼の作戦術は、艦隊内では航空戦の神様に等しく、

南雲提督でさえ源田の言いなりとなっていたのが実情だった。

そのため「源田艦隊」だと海軍内で揶揄されていた。


この時点でも米英海軍は空母部隊の効果的な運用方法が

分からず、パイロットの技量さえ未熟なままだった。

世界中の海軍を探しても源田ほどの頭脳を持った男は一人もいなかったのだ。

「勝ちすぎた」ことが、のちの艦隊内の油断と慢心へとつながるのだ。


その時、奇跡が起きる。途中で道にはぐれた米爆撃機の群れ10数機が、

巨大な雲の中に入り込み、行く当てもなくさまよっていた。

爆撃機部隊の指揮官がふと雲の隙間から下を見ると、

なんと南雲艦隊の空母4隻を発見。飛行甲板に巨大な日の丸が描かれている。


南雲艦隊の真上につけたのは全くの偶然であり、

しかも敵の零戦は超低空を旋回飛行しており、高空(しかも雲に隠れてる)

にいるこちらに気づいた様子はない。


「さあ、行くぞ!!」その爆撃機の群れは、南雲艦隊の直上へ突然現れ、

この迷子の部隊に最後まで気づかなかった南雲艦隊は

不意を突かれてしまい、赤城、加賀、蒼龍が敵に爆弾を落とされてしまう。


その際、おのおの発艦準備を始めていた【魚雷を搭載した雷撃機の群れ】が

飛行甲板に集まっており、そこに敵の爆弾を落とされたものだから

魚雷が誘爆を起こし【火柱が50メートル登った】とされている。


米国兵は「ラッキーだ」「なんでこんなについてるんだ!!」

とはしゃぎ、爆弾を落としてから自軍の空母に帰っていく。

たった5分の攻撃によって主力3空母が撃破されてしまう。

これは運命の5分間と呼ばれている。たったの5分だ。


唯一生き残った空母の飛龍が、敵3隻に向けて決死の航空攻撃をするものの、

多勢に無勢。なんとか敵の中型空母「ヨークタウン」を

撃破することに成功するが、敵艦載機の反撃を食らって撃沈した。


こうして世界最強の艦隊は歴史から姿を消した。


結果的にミッドウェイで南雲艦隊の空母は4隻がまとめて

撃破されてしまう。敗因はいくつもあるが、要約すると以下の通りになる。


・兵の疲労。インド洋、豪州、ハワイと地球の半分を半年にわたり攻撃した。

・兵の慢心。自らが世界最強であると自負しすぎた。

・米兵の未熟さが、むしろ奇跡を起こしてしまった。

・空母を一か所にまとめていた。一方で米国は3隻を分散して配置したので

 飛龍の攻撃隊に決死の反撃をされた際に全滅せずに済んだ。


いっそ「運が悪かった」で済ませてもいい。

源田実作戦が間違っていたとは俺は全く思わない。


こうして歴史を学ぶことで、戦力の集中運用の強さと恐ろしさを

理解できるようになる。海軍の歴史を学ぶことが株式と何の

関係があるのかと思うかもしれないが、とんでもない。


もっとも我々の保有する株式においては、敵の航空攻撃に晒されることはないし、

飛行甲板を背負ってるわけではないので安心だ。常に株価が大幅に下落する

リスクは存在するが、そうなったとしても気にせずホールドすればいい。


デビューさんには、グロース4銘柄による集中投資をすすめたが、

これは南雲艦隊の主力4空母の編成を意識している。

世界最強空母と誉れ高い赤城が、ニデックに相当するだろうか。


blackさん向けに俺が組成した「覇権」は、

インド、中国、米国の主要3各国のETFである

ニフティ50、CSI300、SP500、ナスダックの4指数へ

資金を集中させ、分配利回りを考慮せず含み益の増大に特化した運用となっている。


「覇権」の分配利回りの低さと株価下落のリスクをヘッジするために、

ブラジルやタイの新興国株式への国際分散、

Jリートやインフラファンドを加えることでの安定分配を意識。

これは、主力空母4隻の周囲を囲う無数の巡洋艦や駆逐艦のイメージだ。


「覇権」は、含み益が50万超えと、

投資元本に対して10%を超えるリターンとなっている。

今年中にリートをたくさん集めたので来年以降は分配金にも期待したい。


筆者の場合は、ニデック200株(なんと投資元本が300万。

超高値でつかんだので)の集中運用を実施している。

好きでこうなったのではないが、高値掴みをしたのが原因だ。

仮にニデックに成長見込みがないのなら昨年の時点で損切りして

日立やソニーに入れ替えているが、ニデックの場合は例外だ。


俺の「世界分散型」は、ニデックのみを主力空母とし、

リート、インフラ、βヘッジの日本株(医療、タバコ、アルコール、

海運、商社、原油)、インド中国ハンセンのETFで周囲を囲っているイメージだ。

最悪、ニデック以外の株価が上昇しなくても構わないレベルの守りだ。


筆者の考えるPFの資産配分は海軍戦術を参考にしているのだ。

日本中の投資家を広く探してたとしても、

このような構想力を持ってる人はまずいないと自負している。

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