第6話

白色のノートと青色の本


 黒いスーツケースに鍵などかかってはいなかった。開けたら何か財布とか身分証など、なんでもいいから人的情報が出て欲しかった。スーツケースなので当然、濡れた服がずっしり入っていた。服は男の物だ。服も黒色ばかりである。ひっくり返して中の物を全て確認した。しかし、財布や身分証などは出てこなかった。出て来たのは白いノートと青色の本一冊。ノートは日記帳なのか、何であるか読んでみないとわからない。自分が書いた物かもしれないし、他人の物であるかも。自分のであるとしたら、読んでいくうちに記憶が戻る可能性はある。雲から漏れている一筋の光みたいに微かな希望が心に宿った。




 

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