第4話

夜明け


 身の周りが徐々に灰色に変わっていった。期待していた明るさではなかったが、それでも木や草、石ころや岩などが識別出来るように目がだんだん慣れていったので一安心することができた。もう少し周りが見えるまで明るくなったら、高い所に登った方が良さそうだ。もしかしたら、人や町が見つかるかもしれないし、ここの地形なども知っておいた方がいい。そうこう思っているうちに歩ける明るさまでになっていた。傾斜のあるところを見つけるとそこを無心に登っていた。息が上がってもお構いなしに足を動かした。どれほど登ったか分かる術はなかったけど、感覚としては1時間ほどは登ったようであった。周りの景色も少しずつ霧が覚めて元に戻りつつある。いよいよ傾斜を登り切ると空がまたなんとも言えない微妙な色で雲はこれから台風でも呼んきそうな表情であった。これでどうして昨夜があんなに漆黒であったか理解できた。上の景色はもう十分鑑賞したので下を見渡し見ると、海と地平線が無限に広がっていた。海の色もまた言い表せない神妙な色をしていた。

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