〖第三話 四天王はすごいのにゃ!〗



遂に戦士は20年の歳月を経て、最初の四天王が居ると噂される城に辿り着いた


「遂に…遂に…四天王か。ここまで長かったなぁ。泣けてくるよ」


戦士にはもう妻もいる、子供も二人いる

だから本来はこんな所を目指す必要は無いのだがまあ仕方ないだろう


彼は戦士なのだから


〖第三話 四天王はすごいのにゃ!〗


「くくく……よくぞこの炎の四天王"マックロイス"の城へ辿り着いた。褒めてやりたいところだが俺は葬式でしか人を褒めない主義だからな。すぐに褒めてやろう!」

「そうだ!せいぜいがんばれにゃ!」


戦士のイメージとは違って四天王は半裸であった。一応剣は手に持ってるみたいだが、なんか錆びてるっぽい


で、後ろの燭台みたいなのに茶色の毛並みをした猫がいる。あれは一体なんだ?


「怯えて声も出ないか?じゃあこっちから行くぞ!"バイカルドラスト"」


うぉ、危な!やっべ……手から出る炎がめっちゃすごい!後ろの扉まで届きそうだ


「どうした?もう一度行くぞ"バイカルドラスト"おりゃあ!」


やべ……って!あちぃ!左腕に炎掠った!

ふざけんなよ一発で死ぬじゃんかこんなん


「負けてられるか!喰らえ"ドリーミンフラッシュ!"」

「ふっ……」


み、右腕だけで消された!?嘘だろぉ俺が頑張って覚えたレーザー攻撃が?!


「この程度か。どうやら相手にならぬ様だな。帰りたまえお前に勝ち目は無い」

「そうにゃ!帰ってえんえん泣いてろにゃ!」


ぐっ……こんな所で情けをかけられてたまるかってんだ!!魔法がダメなら剣で!!


うぉおおっ!!


戦士は剣をとにかく振るった。しかし


「雑魚がっ!!!」

「うぉ?!」


突如、剣は粉々になってしまった


ひーむちゃくちゃだろ!剣を粉々にするなんてそんなんありかよ……でも剣が無くなったなら帰るしかないか


「"ドリーミンフラッシュ"」

「え?」


ぎゃあああああっ!!!嘘でしょお?!俺の技を四天王がぁあああ!!!めちゃくそ痛ぇじゃねぇかああっ………


バタッ(戦士が城の床に叩きつけられた音)


「ここまでか。今日はこの辺にしておくか」

「いやいや、ロイス様雑魚はもっと痛ぶらなきゃダメでしょうがにゃ!なんなら僕がやりましょうかにゃ?」

「う〜む……それもそうか」


くそっ……猫の癖に調子に乗りやがって。

猫……待てよあの猫はさっきから何もしてないよな。まさか


「それじゃクロス後は任せた」

「はいはいにゃー」


しめた、四天王が離れた今なら

猫を……捕まえられる!


「にゃ?!うにゃあああっ!」

「へへへ……つーかまえた!」


狙い通り、猫を捕まえてしまえば少しは


「な……クロスを離せ!ルール違反だぞ猫の攻撃は!」

「何を馬鹿な事言ってますの。戦いに……ルールなんか無いんですぜ」

「た、助けてにゃー!」


戦士は手のひらをぴったりと捕らえた猫にくっつけた


「四天王さん……マックロイスさんと言いましたっけ?負けを認め無いと猫ちゃんが酷い目に逢いますぜ?」

「ぎ、ぎにゃあああっ!!!」

「なんだと!ふざけるな!お前など消し炭にしてくれるわ!"クロス……」

「おぉっと?!」

「ひぎゃぁあああー冷たいにゃー!!!」

「ちぃ」


戦士は我ながら卑怯過ぎないか?とうすうす思い始めた。ていうか四天王が猫を見捨てたら俺……焼け死ぬよな

あは、あはは


「で、あの……さっさと負けを認めて……くれませんかねぇ…あはは」

「!?なんか急に態度がお前変わったぞ」

「にゃぁあ……」


「仕方ないこうなれば」

「お?!」

「にゃあ?!」


「"ミニファイヤ"」


四天王が攻撃を仕掛けてきたので思わず戦士は避けてしまった


「おまっ……猫が大事じゃないんか?!」

「にゃあっー!!ロイスさまぁー!」

「それは…」


「大事に決まってるだろ……だけど」


四天王の一人、マックロイスは急にぽろぽろと涙を流し始めた


「魔王様に……消されたくないし……だから

ちょっと火傷するぐらいの……攻撃で…」

「おまぇ……」


その涙に胸をうたれたのか戦士も涙を流した

思わず握っていた猫も解放されてしまった


「ごしゅじんさまぁ……にゃあ……」

「ご、ごめんよ……クロス……」


解放された猫はすぐさま涙を流しているご主人様であり四天王であるマックロイスの元へと飛び込む……


「が、これは戦いなんでな!喰らえ"マウマウジェラートスペシャル"」


「にゃああ?!」


筈だったが、胸に飛び込み寸前で猫は凍った


「お前……ざけんな!早く溶かせ!」

「へっ!生憎凍らせる魔法は得意だが、溶かすのは苦手でな!お得意の炎で溶かしたら?」

「言われなくたって……"ドニシングエルス"」


部屋がものすごい熱に包まれる。まるで真夏の暑さの中、焚き火にあたる様な感覚だった


が、猫は凍ったままだった


「う、嘘だろぉ?!おーい!手下共!全員

集まれ!!松明持ってこい!早く!」


これで俺の勝ちみたいなもんだな。さて

帰るか


「ど、どうしよぉクロス!クロスちゃーん!」


おわり



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