第13話 ダンジョンコア制御トラップ


 自動経験値トラップタワーのおかげで、俺は無限の経験値を手にした。

 とりあえず、俺はレベルを50まで上げておいた。

 レベル50で、一応はカンストだ。

 レベル50以上まで上げるには、一度マルダ神殿に行き、上級ジョブをもらう必要がある。

 そのうちマルダ神殿にもいきたいな。

 だが、とりあえずはこれでいいか……。


 それよりもだ。

 レベル50まで一気に上げたことで、俺には気になるスキルがあった。

 まあ、レベル50まで来たから、いろいろと開放できるスキルが増えたわけだが。

 その中でも、特に気になるスキルがあったのだ。

 スキルツリーを眺めていると、こんなものがあった。



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ダンジョンコア制御トラップ 50SPスキルポイント

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「ダンジョンコア制御トラップぅ……?」


 ダンジョンコア制御トラップというのも、ソロ専用のスキルツリーの中にあった。どうやらこれもソロ専用のスキルのようだ。

 ダンジョンコアっていうのは、ダンジョンの最奥にある、コアのことだ。

 スポーンコアに似ているけど、ちょっと違う。

 ダンジョンコアはダンジョンのすべてを管理しているコアだ。

 そんなダンジョンコアを、制御できるだって……!?

 それって、めちゃくちゃ楽しそうじゃないか……!


 通常、ダンジョンコアっていうのは、そんなに使い道がない。

 スポーンコアとは違って、人間が操作できるものじゃないからだ。

 魔王や魔族は、ダンジョンコアを制御してダンジョンを運営したりするみたいだが、あいにく人間にそんな技術はない。

 だから、ダンジョンに潜ってダンジョンコアを見つけても、破壊してダンジョンの機能を停止させるか、持って帰って破壊し、鉱石を取り出すか、そのくらいしかできないのだ。

 だが、このトラップをつかえば、それを制御できる……。


「ダンジョンコアを制御できるってことは、それってつまり、ダンジョンマスターになれるってことか……!?」


 ダンジョン運営なんて、なんだか楽しそうだ。

 俺は、いくらレベルを上げても、罠師だ。

 罠師は攻撃用のスキルを覚えない。

 だから、自分で能動的に戦ったりが苦手だ。

 だけど、ダンジョン運営なら――?


 ダンジョン運営なら、待っているだけで、冒険者たちがやってくる。

 冒険者たちをダンジョンにおびきよせ、それで彼らの装備品なんかを奪えば……?

 これなら、俺でも簡単にソロで稼いだりできるぞ……!

 それに、ダンジョン運営は面白そうだ。


 今更自分で冒険者として、ソロで活躍するのも面倒だからな。

 転職するにしても、またレベル上げしなきゃだし、転職したら自動経験値トラップも使えないしな。

 ダンジョン運営して、俺はダラダラ寝転んで暮らしたい。

 ダンジョン運営なら、働かずにこの先一生暮らせるんじゃないのか……!?

 ということで、俺はこのトラップを使って、ダンジョン運営をすることにした。


「そうと決まれば、さっそくダンジョンコアを確保しなきゃだな……!」


 潜るダンジョンは、簡単なダンジョンを選んだ。

 ダンジョンコアさえ手に入れば、それでいいからな。

 俺の故郷の村の周辺は、簡単なダンジョンがたくさんあった。

 俺は故郷の村付近のダンジョンを適当に選び、その中に潜ることにした。

 

 俺は、スポーンコアを確保したのと同じ要領で、ダンジョンに潜る。

 ダミートラップで敵を惹きつけ、壁トラップで死角を作り、ステルスで中に潜り込む。

 難なく順調に進んで、俺はダンジョンコアを確保することに成功した!


「これが……ダンジョンコア……!」


 俺はさっそく、そこにダンジョンコア制御トラップを設置する。

 そして、起動!


「おお……!?」


 すると、ダンジョンコア制御トラップに、文字列が表示された。


『Welcome to Dungeon!』


「ダンジョンに……ようこそ……?」


 ダンジョンコア制御トラップには、文字列を表示するインターフェースがついていた。

 どうやらこれを使って、ダンジョンを運営するみたいだな。

 俺はさっそく、ダンジョン運営のためのインターフェースを開いてみることにする。



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DLダンジョンレベル 10

DPダンジョンポイント1000

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 どうやらこのダンジョンの現在のレベルは10らしい。

 そしてすでに最初からDPが1000も溜まっている。


「よし、このDPを使って、さっそくなにか出してみるか」


 このDPというのを消費して、ダンジョンの運営をしていくシステムみたいだ。

 俺はインターフェースから、【運営】の項目をタップした。

 すると、次に【召喚】の項目が選べた。他にも、【設置】などの項目がある。

 ふむふむ、この召喚というのを選べば、モンスターなんかを召喚できるわけか。

 今現在召喚できるのは、これらのモンスターのようだ。



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【召喚可能モンスター】


ダンジョンサポーター 1000

スライム 10

ゴブリン 100

インプ  300

オーク  500

サイクロプス 1000

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「このダンジョンサポーターってのはなんだ……?」


 名前からして、きっとダンジョンのことをいろいろとサポートしてくれるのだろう。

 ダンジョン運営については、正直わからないことだらけだ。

 ここは、ポイントを全部使ってでも、このダンジョンサポーターを召喚してみよう。


「えい! ダンジョンサポーター、召喚!」


 俺はDP1000を消費して、ダンジョンサポーターを召喚することにした。

 すると――。

 まばゆい光とともに、ダンジョンコアからモンスターが召喚された。


「お初にお目にかかります。マスター」

「おお……!?」


 俺にそう挨拶したのは、なんとも可愛い美少女だった。

 モンスターというよりも、これは……美少女にしか見えない。

 俺の見間違いでなければだが――。

 そこには真っ白な肌に真っ白な髪、神々しいまでに清楚な女の子がいた。


 胸はそこそこ控えめだが、スタイルがこの世のものとは思えないくらいに整っている。

 顔もそうだ……どの人種とも似つかないが、間違いなく今までに見たどの女性よりも整っている。

 ただ整っているだけじゃなく、どこか幼げで庇護欲を掻き立てられる。そんな顔だ。

 しかも身に着けている衣装は、下着なんじゃないかというくらいに薄い生地でできていた。

 白銀のドレスとも下着ともわからないそれは、レースの飾りで彼女をさらに美しく見せている。

 それにしても肌の露出が多すぎて、見てもいいのか不安になる。後で大金を請求されたりしないのだろうか?


 なんて、一瞬のうちに思考が加速するほど、彼女の見た目は筆舌に尽くしがたく……。

 俺はあっけにとられ、見とれてしまった。


「き、君は……?」

「はい、イストワーリアとお呼びください。種族は知龍。マスターのため、ダンジョン運営について、様々なことをサポートさせていただきます」


 俺に、頼もしい最初の味方ができた――。




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名前 シン・ラトップ

職業 罠師(サポート)

男 16歳


レベル  50

体力   3615

魔力   1925

攻撃力  2442

防御力  2354

魔法攻撃 2598

魔法耐性 2513

敏捷   2522

運    2673


スキル一覧

・針山トラップ

・トラバサミトラップ

・経験値貯蓄トラップ

・掘削トラップ

・トラップドア

・毒餌トラップ

・スライム床 

・ダミートラップ

・壁トラップ

・ダンジョンコア制御トラップ

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