追放罠師のダンジョン経営~「そんな罠かかるアホはいないw」と言ってた罠で破滅する気分はどうですか?w~経験値貯蓄トラップで無限レベル増殖した俺は高級罠で最難関ダンジョンを作り上げる。

月ノみんと@世界樹1巻発売中

第1話 追放されるという罠


「罠師のシン・ラトップめ! 貴様はこのパーティを追放だ! もうお前なんか必要ない。この薄汚いゴミクズめが! さっさと荷物をまとめて出て行きやがれってんだ! 俺は勇者に選ばれたからよぉ、もうお前のようなゴミはいらないんだわ」


 パーティリーダーで幼馴染のゴーヨック・ハツメルスが、そう言いながら俺に荷物を投げつける。

 俺こと罠師のシンは、今しがた追放を言い渡されてしまった。

 だが、いきなりパーティ追放だなんだと言われても、納得できるはずがない。

 俺はこれまでに、罠師としても、荷物持ちの雑用係としても、それなりにちゃんと貢献してきたはずだ。

 それを、自分が勇者に選ばれたとたん、追放だと……?

 勝手がすぎるだろう。


「ちょっと待て、待ってくれ。なんでいきなりそうなる? 俺がいったい、なにをしたっていうんだ? なんで俺が追放なんだ? そこまでイキって言うくらいなら、正当な理由があるんだろうな?」


 俺がそう言い返すと、ゴーヨックは激高して、さらに物を投げつけてくる。

 うわぁ……物に当たるとか最悪な大人だ。

 ゴーヨックは普段から違法薬物を常用してる、ヤバい奴だ。

 どうせ追放理由も、くだらないものだろう。

 端的に言って、こいつは頭が悪い。どうかしている。


「そんなこともわからねえのか! この無能雑魚め! なにかしたか? だと? お前はなにもしなかったから追放なんだよこの薄らとんちんかんめ!」

「はぁ……? 言ってることが支離滅裂だな……俺はいつも罠を仕掛けているじゃないか」


 まともに追放理由も言えないとは、あきれてしまう。

 もっと自分の中で理論をまとめてから、考えてしゃべってもらいたいものだな。

 こっちも、暇じゃないんだ。無駄な議論で、時間を失いたくはない。


「第一、オマエの罠はみえみえなんだよォ! そんなものを使うより、自分で倒したほうが早いってんだ。罠には金もかかるしよぉ! そんなみえみえの罠にかかるアホはいねえ! だからお前は追放だ!」

「はぁ……? なにを言っているんだ……? そもそも、俺に罠師のジョブを選ばせたのはお前だろう? それを今更……」


 こいつは自分で選ばせたことも忘れたのか?

 さすがに記憶力が弱すぎるんじゃないのか。

 さすがの俺も、あきれてしまう。やれやれ……バカの相手は辛いな。

 

「あのときはよぅ、俺も罠師が強いと勘違いしたんだわ。罠で勝手に相手が死ねば楽だろうと思ってな。だけどやっぱ罠師ゴミだったからよぉ。いらねんだわ。お前は自分で敵倒さないからぜんぜんレベルもあがらんし、雑魚のままだからなw」

「っく……勝手なことを言いやがる。たしかに罠師は最初はレベルが上がりにくい。だが、高級な罠……いや、普通に金を出してくれさえすれば、まともな罠で戦える。それもせずに、金をケチってばかりで、挙句の果てには追放だと? ふざけるな。意味不明だ」


 ゴーヨックはクエストの分け前を嘘の申告をして、自分だけ多くもらうなどしていた。

 それを俺が気づいていないとでも思っていたのか?

 まあ、面倒はごめんだから、しばらく泳がせていたんだがな……。

 俺には金をろくによこさないくせに、それで罠がへぼいとか言われてもな。知らんし。


「ま、悔しかったらソロでレベルでも上げて見返してみるんだな、クソがよ。俺はお前の顔とかもう二度と見たくないね。クソ低能のゴミカス人間がよ。とっとと野垂れ死にな」

「ふん……そのセリフ、そのまま返すぜ」

「ということでお前は追放だ。さっさと消えろカスゴミ虫がよ」

「本当にいいのか? 俺がいなくなると、いろいろと困ることになるぞ?」


 俺は一応、念押しして確認しておく。

 俺が消えたあと、また文句を言われても困るからな。

 このパーティは、俺がいないと立ち行かないだろうに……。まったく。

 夜、野宿するとき、俺は周りに罠を仕掛けたりして、みんなが襲われないように守っていた。

 俺が抜けて罠がなくなれば、夜野宿することさえままならないだろうに。


 それに、戦闘中もそうだ。

 俺は戦闘中に周りに罠をしかけて、敵の数を減らしていた。

 死角からの攻撃を防げているのは、俺の罠があるおかげだ。


 普段の雑用なんかも、大体俺がやっていた。

 モンスターの肉をとってきて料理をしたり、地図をマッピングしたり。

 ギルドの受付でクエストを受けたり、アイテムボックスでアイテムや金を管理しているのも、全部俺だ。

 それだというのに、俺が役に立っていないだと……?

 こいつの目は節穴か……?


「はぁ? てめぇが消えてもこっちは一ミリたりとも困りゃしねえよ! どんだけ自己評価高いんだ? お前が役に立ったことなんか過去一度もないだろゴミ。記憶喪失か? 脳みそ足りてねえのかよこの低能が」

「いいんだな? 本当に。わかった、そういうことなら俺も出て行こう」

「おう、さっさと出ていけウジ虫野郎が。フンコロガシより無価値な低能カス」


 というわけで、俺はゴーヨックのパーティを抜けることになった。

 ゴーヨックの後ろでは、他のパーティメンバーたちが俺を嘲笑っている。

 女魔術師のアカネと、女回復術師のマーリーだ。

 二人は俺のほうを見ると、唾を吐いて罵ってきた。


「マジで罠師とか姑息でキモイし消えてくれるかな? いつもこっち見てきてキモいんだけど。童貞が。ほんと、マジで邪魔でしかないし、ゴミだから、死んでくれるかな?」


 と、アカネが俺をゴキブリでも見るかのような目でみてきやがる。

 このアバズレめが……。クソビッチのくせに、腹が立つ。


「自分では何もしないくせに、文句だけは言うんだね。見損なったよ、シン。ゴーヨックを少しは見習ったら? 男のくせに、自分でモンスターひとつも倒せないなんてね、情けな。身長も低いし、死んだほうがいいよ。誰もアンタみたいな弱い男には抱かれたくないからさ。一生童貞だね。かわいそ……」


 マーリーがめちゃくちゃに俺を煽ってくる。

 頭の悪いクソビッチのくせに、無駄に口は動くんだな。

 まあいい、こんな低能どもに付き合っていた俺が馬鹿だった。

 さっさとおさらばするか。


「じゃあな、俺もお前らとは二度と会いたくないよ。こちらこそ、願い下げだ」


 俺はそう言って、パーティから去っていく。


「ふん、死にな。ゴミ」


 アカネがまだ捨て台詞を吐いてくるが、無視だ。

 もうこんな奴らと、会話するだけ無駄だ。

 バカがうつるから、とっととどこかに行ってしまおう。

 俺は当てもなく西へ向かった。




=================

名前 シン・ラトップ

職業 罠師(サポート)

男 16歳


レベル  5

体力   152

魔力   78

攻撃力  22

防御力  27

魔法攻撃 34

魔法耐性 24

敏捷   36

運    39


スキル一覧

・針山トラップ

・トラバサミトラップ

=================





【あとがき】


もし少しでも――


「面白い」

「続きが気になる!」


と思っていただけたら。

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