※図鑑ページ

1.錬金の竜、フルミーネ

土を喰い、金の鱗を纏う。金鉱の山間に夜だけ姿を現す。

特殊な臓器は食べた土類を金に変換する能力があり、それにより巨体を隈なく覆うほどの金の鱗を生成する。

硬質な金属の鱗を逆立てて岩盤を堀る。昼間は地中に暮らし、陽が落ちたあとに地上に這い出て食餌を行う。



2.渦の竜、デルアリア

東の比較的暖かい海に棲む竜。2対の大きく薄い翼と、8本の触手を足部に持つ。

海流の動きを翼膜で受け、流れに乗って移動する。水流のわずかな乱れを察知する機能に長けている代わりか、目はごく小さい。

海上からの奇襲を防ぐためか水に擬態しており、輪郭のぼやけた状態として見える。海中では目を凝らすことで、詳細な観察も可能。



3.雷喰いかづちくいの竜、フォルヴェント

ジパングの上空を中心に比較的広域にみられる竜。半透明で、紫色の薄く大きな羽を左右3枚の計6枚持つ、黒い竜。

入道雲や夕立の雲を好み、潜り込んでは雷を羽に蓄え、食餌する。体表面は炭素質の鱗に緻密に覆われ、雷が体の表面を流れると6枚の羽に集まってマナに変換される。凄まじく飛行速度が速く、羽の後方に凝集した水が雲となって2対の「フォルヴェントの雲」を形成する。



4.塩鍾の竜、シィユマ

メガラニカのサンゴ礁地帯に見られる(現在は移動が確認されている)竜。人間2~3人ほどの全長であり、半分以上はしっぽである。首元に長いたてがみがあり、腕や足は無い。

極めて好戦的で、塩を凝集させ刃状の角を成し、食餌とは無関係に縄張り付近で獲物を狩る。水中にも拘わらず溶けない塩の角は非常に高度が高く、岩を容易く砕く。膂力も高く、自身の全長の数倍の長さの角を難なく振りかざす。



5.翡翠と毒灰の竜、ハーグリャ

メガラニカの山脈の麓に広がる広大な森林地帯で見られた竜。以前は陸棲の竜で、植物を材料に作った球体に、猫の胴体ほどの直系の穴が開いた構造物を球巣としていた。全身を体毛または針状の組織で覆っており、毒を持っていた。

しかし上記の球巣と知られていた構造物は、実際は「繭」に近い可能性があり、ハーグリャは変化が可能な竜である。

変化を遂げた後のハーグリャははねを持ち、6本足の飛竜である。口部は長い管状であり、蠕動運動によって伸縮する。歯は鋭く、竜の肉体を噛みちぎることができる。

飛行中に毒を持った粉末(鱗粉と推定される)を舞い散らす。ハーグリャの毒に罹ると、2~7日間にわたって高熱、首から腰に掛けての関節痛、呼吸難、喉元の異物感・痛み、目の渇きなどの症状がほぼ全て併発し、症状が治まったあとも関節・筋肉の凝りなどの軽い後遺症が残る場合がある。現在は解毒剤があり、2~4日以内に快復が可能。

*所感:ラアヴァ(後述)によって体表を焼かれ、現在は鱗粉を焼失している。要経過観察。

*ルカヱル、ミィココによる共著。



6.紅蓮あるいは蒼の竜、ラアヴァ

火口に棲み、強烈な熱を伴う光を発する竜。その光は火口から柱状になって空に伸び、付近のものをマナ諸共焼き払い、蒸発させるほどの熱量を誇る。一方で放出される莫大な熱量に反し収束性も兼ね備えており、現在のところ、一定以上に離れた地域には影響が及んでいない。

もっぱら火口の底で休眠状態にある。「紅蓮の竜」としての口頭伝承が知られるが、実際の体色は異なり、光を放つ寸前の状態のラアヴァは空色あるいは水色である。

今後起こりうるラアヴァの移動に際しては、森林地帯を焦土と化すほどの超自然災害級の影響が予測されるため、火山方面から光が見えた場合は、可能な限り離れること。


(以下、資料の提出後に書き足された記述)

 担当者各位

 ラアヴァの絵図は、ミィココ様作です。

              ディエソ



X.波紋の竜、インクレス

深海に潜むと予想されている竜。海面に生じる波紋と海流に関連する竜。

伝承はジパングだけでなく、他の地でも聞かれる。マナの影響の規模が極めて大きく、莫大なマナを保有すると予想される。

未遭遇につき、詳細不明。



X2. 鉱牙の竜(詳細不明)

※伝承において知られていないため、判明した情報の共有のためのルカヱルの備忘録。

メガラニカのグラ砂漠と周辺地域の地下洞窟で発見された。

マナが結晶化した光る牙を持つ。容易に抜け落ち、抜けた後でも当該竜のマナと共振する性質を持つ。岩盤を砕くために利用していたと推察される。

潮の匂いを纏っていたことから、海と地下洞窟とを、海底洞窟を介して行き来している可能性あり。




※『図鑑』は新しい竜が記録されたら都度更新します。  

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