第55話 栞ちゃん、変身


「で、栞ちゃんのスライムスーツなんすけど」


「…………」


「先輩、いい加減、機嫌直してくださいよ」

《ごめんなさい部長、笑い過ぎました。反省してますから》


「どーせアタシは悪人顔だもーん」


「可愛く拗ねるのも似合わないっすよ?」


「おまえ、ほんと鬼だな?」 


「で、栞ちゃんのスライムスーツなんすけどね?」


「ああ、強引に進めちゃう訳ね」


「予め栞ちゃんに渡してあるんすけど」


「下着タイプのヤツだろ? 栞ちゃん、もう着けてんの?」


《はい、パジャマの下に》


「じゃあ、変身出来るんだ? なんかワクワクするな」


「栞ちゃん、準備はいいすか?」


《はい。じゃあ、いきますよ? ……変身》




 ♪〜♬〜♫〜♬〜♪〜




「まさかの変身音つき!?」


「いや、PCで適当に音鳴らしてるだけっす」


「だよなー。変身も一瞬だしな。そんで栞ちゃんは全身白スーツか。うん、カッコいいじゃん?」


《ホントですか? 嬉しいですっ》 


「栞ちゃんのイメージで白にしてみたっす」


「じゃあ、アタシは黒いイメージって事か?」


「真っ黒っすね」


「…………」


《でも、黒と白でホントに初代プ○キュアみたいですねー》


「だとしたら変身が一瞬過ぎないか? あれ、一人変身するのに5分くらい掛けるんじゃないの?」


「それだと5人変身してたら番組終わっちゃうじゃないすか。流石に1分ちょいすよ?」


「そーなん? なんかあれこれチラチラさせながら変身すんだろ?」


《良い子はそーゆーとこ見ないですよー? 大きいお友達は注目でしょーけど》


「では、ここにいる大きいお友達のために、さっきの栞ちゃん変身シーンをスローで見てみますか」


「誰が大きいお友達だよ?」


「じゃあ見ないんすか?」


「見るよ?」


《……部長》





    ◇




「せっかくだからBGMつけて再生するっすね」


「あっ、ちょいストップ」


「なんすか?」


「いや、パジャマ姿もじっくり見たいなと。いいよね〜、ピンクのパジャマ」


《……はずかしいです》


「いきなり止めてたらキリないっすよ? つぎ行くっす」



  〜♫〜♪〜



「ほう、スローで見るとこうなってるのか。触手が服脱がしたり、ズボン下ろしたりしてる訳だな」

「そーっす」


《ちょっ、あんまり見ないでください〜、あっ、なに巻き戻してるんですかっ!》


「うん、参考までにね」

「なんの参考すかね」 

「あっ、もっかい脱がすとこから」



《う〜、何回巻き戻してるんですかっ!》



「あっ、ここ! バカ、すぐ止めろよ? へそ出しだぞ?」

「えーと、この辺すね」

「そうそう。パジャマがめくれてスーツがまだ展開してないこの瞬間、へそが見えるんだよな」

「へーそーすか」



《…………》






    ◇



「いやー、堪能したな」


「ほとんど主旨変わってたすけどね」



《……ねぇ、明里ちゃん。当然、部長の変身シーンもあるわよね?》


「ギクッ」


「ああ、あるっすよ?」


《じゃあ今度は部長の変身シーンを堪能だねフフ》


「うっ、栞ちゃん、こえー」





















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