第56話 それはマゴじゃなくてエゴです


「話が随分ズレたな」


《おもいっきりズラしたの、どこの誰です?》


「うっ、栞ちゃんの突っ込みが明里みたくなってきた」


「頼もしいっすね、栞ちゃん」


「と、とにかく、栞ちゃん、スーツのままだし、解除したら?」


《ええ、脱ぎますよ?》


「ありゃ、画面外に出ちゃったか」

「なに期待してたんすか。そりゃ解除したらモロ下着姿になるんだから、当然画面からズレるっすよ」

「残念」

「あんた、本当に節操ないっすね」



《部長、もう少し仲良くなったら……個人的に見せるかもです》


「あー、うん。楽しみにしてるわ」



「こうして幼気いたいけな少女がまた痛い系の変態の毒牙に……」


「誰が痛い系の変態だ?コラ」





   ◇





「そんで栞ちゃんスーツの性能はどんな感じなんだ?」


「先輩のと一緒すよ。ただ、中の人の能力に比例するんで、もともと運動が出来る先輩と引き篭もりの栞ちゃんとは、だいぶ差がでるでしょうね」


《私も、多分使いこなせないと思いますー》


「それも慣れじゃないかな。徐々に使えるようになったらいいよ」


《そうですねー。でも、一つ疑問なんですけどー》


「ん、なに?」


《私達、ナニと戦うんですかね?》


「…………」


「…………」


《あっ、なんか聞いちゃいけない事、聞いちゃいました?》


「多分、そのうち宇宙人とか、異世界人が攻めてくるんだよ、きっと」


「フラグ立ててる気すらしないっすね」




    ◇



「戦隊になったらやっぱり合体メカが欲しいっすよね」


「敵もいないのにか?」


「それはそれ、これはこれっす」


《ロボットは流石に無理じゃないかなー?》


「ダンジョンでゴーレム取ってくるってのはどうっす?」


「ダンジョンか。そーいや、そんな設定あったな」


「設定とか言わないで欲しいっすね。あんたがそれ言ったら終わりっすよ?」


《ダンジョンって前チラッと聞いたけど、ホントにあるんだねー?》


「栞ちゃんは部室すら来たことないからねえ。まあ、アタシらだって殆ど入ってないよ。たまにスライム取ってくるぐらいで」


「まさに宝の持ち腐れっすね。ダンジョン攻略の動画でも上げてバズりますか?」


《最近、流行ってるヤツだねー》


「何それ?」


「ラノベっすよ。以前は異世界モノが多かったんすけど、最近は現代が舞台で、ダンジョン攻略動画でバズるってのが流行りなんす」


「ふーん。でもダンジョンで電波通るのか?」


「それは追求したらダメなんじゃないすか? でっかいブーメランが返ってきそーすよ」


《だねー。ギャグだったら何でもやっていいのかって話しだよねー》



「…………」



「…………」



《あっ、私またなんか言っちゃいけない事、言っちゃいました?》



「マゴマゴしてたら明里ちゃんに毒舌キャラの位置とられそーすね」


「演者のエゴってか」


















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