第47話 ゲーム対決



「先輩、誰か来たみたいすよ? 追い返します?」


「ん? どんな奴?」


「オタクっぽいのが3人すね」


「ふーん、立ち入り禁止区域にわざわざ来たんだし、面白そうだから通していいよ」




    ◇




『ちょっと失礼するよ。あんこ研究部ってここかな?』


「そーだけど?」



『うっ、なんかこ、怖そーな人がっ』

『やべぇな、アレ、何か言ったら殴られそーだぞ?』

『ど、どーする? 帰る?』



「先輩、なんかめちゃくちゃ怖がられてるっすよ?」


「何でだよ。まだ何にもしてないだろーが?」


「あんた、そもそも顔が怖いっす」


「うっせーわ」



『ひいっ、ごめんなさいっ』


「怯えんなよ。で、何しに来たの?」



『お、俺ら、ゲーム研究会の者だけど、あ、あんたらのせいで部費が削られる事になりそうなんで、ひ、一言文句言いに……』

『な、何なんだよ、このアンコ研究の部って? ど、どーせ饅頭とか食ってるだけじゃないの?』

『そ、そうだそうだ。そんなのの為に何で俺らの部費が削られるんだよ?』


「あーん? あんたらだってゲームしてるだけなんじゃないの?」


『そ、それは……』

『俺らは伝統ある部だし……』


「eスポーツの大会出るとかしてるんすか?」


『いや……ないけど……』


「だったらアタシらに文句言えないんじゃない?」


『と、とにかく俺らの方が部として長いんだし。な、納得はできないよ』


「なら、どうしたら納得するわけ?」


『お、俺らと勝負して、あんた等が勝ったら文句は言わない』


「ほう、アタシらにケンカ売ってくるなら喜んで買うよ?」

「ふっふっふっ。随分、命知らずな人たちっすねぇ」


『ちょっ、待ってまって、喧嘩じゃなくて、ゲームで勝負を……』


「はぁ? あんた等の得意分野でって事? そんなのこっちが不利じゃん?」


『も、勿論、ハンデは付けるから』



「……どうします、先輩?」


「勝負を挑まれちゃ、引き下がれないな。わかった。受けてやるよ」


「えー、大丈夫なんすかねえ?」




    ◇




「……てな訳で、栞ちゃんにもお願いしたいんだけど、大丈夫かな?」


《はい。通信対戦でお家からやらせてもらえるなら大丈夫です。ゲーム機も持ってますし》


「OK。ゲームの種類はこっちで決めていいって言ってたから、それでいこう」


「先輩はゲーム大丈夫なんすか?」


「うん、まあ、最近のゲームは知らないけどさ、ちょい昔の格闘ゲームならそれなりにやり込んだし。明里はどうなんだよ?」


「わたしもちょっと昔のレースゲームなら、そこそこやれるっす」


「よし、じゃあ決まりだな。明日は勝つぞ。部費の為に」


「オーっす」

《お〜》



    ◇




『それじゃあ、一回戦目、こっちは山田が出る。そっちは?』


「はい、わたしっす。ゲームはSUPERノリオカート2で」


『うっ、随分とまた古いゲームを』

『仕方ない、ハンデだからな。山田、頼んだぞ!』

『ああ』



  ゲームスタート!



『よし、行けっ、順調だぞ。ああっ、アイツ、アイテムで妨害してきやがった』

『大丈夫だ、まだ行ける。うっ、くそーっ、進路ブロックしてやがる。いやらしいヤツだな!』




「おー、明里のヤツ、頑張ってるな。戦い方がイヤらしいけど。いかにもアイツらしいわ」


《ですねー》


「これもう決まるんじゃないか?」






   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る