第44話 天賦の才能?


「ああ、先輩。今から部室すか?」


「お、明里。一緒に行くか。栞ちゃんは?」


「もう、帰ったすよ」


「相変わらず早いな。部室に来るのはもうちょい先かな」


「そろそろっぽいすけど……あっ、先輩、あれ見て」


「ん、あの男子? ずいぶん華奢な体のわりに大荷物だな。大丈夫かな」


「ふらふらしてますよ。あのまま階段登ったら危ないんじゃないすかね、って滑ってるし言わんこっちゃない。ヤバいっすよ!!」



『うわーっ!?……え?え?』


  ガシッ


「ふう、あっぶないな。下手すりゃ大怪我だったよ?」


『え? どーなった? なんだ、これ? 柔らかい……』

 

 


「流石先輩。あの距離でよくまあ咄嗟に受け止められたすね。ああ、制服の中だけスライムスーツ展開させたのかな?……ってか、あの男子、いつまで先輩の胸に顔埋めてるんすかね?」




「ちょっと、どこ触ってんのよ?」


『へ? こ、これ……おっぱい!? ご、ごめんなさいっごめんなさいっ!』


「まあ、怪我なくて良かったけどさ」


『き、君が助けてくれたんだね。ありがとう』


「うんまあ、そんな華奢な体で荷物持ち過ぎじゃない?」


『ひぃっ。ごめんなさいっごめんなさいっ!』


「いや、責めてないわ」


「先輩、顔が怖いっすから。わたしは慣れましたけどね」


「うるさい」


『あ、ありがとうございました。じゃ、僕行くので……』


「あっ、待って。荷物半分持つよ。どこまで行くの?」


『え、いや、女の子にそんな、荷物持ってもらうなんて……』


「良かったすね、先輩。女の子扱いされてますよ?」


「明里、お前も運ばせてやる。これ、持って」 


「ぐっ……わかったっす」 





  ◇



『ここなんで。ホントにありがとう』


「生徒会室? あんた、役員だったの?」


『うん、書記やってるんだけど。荷物貰うね。おっとと』


   ボスンっ


「ありゃ、またっすか」


「……ねえあんた、よろける度にアタシの胸に顔埋めるの、わざとやってる?」


『ご、ご、ご、ごめんなさい、ごめんなさい、わざとじゃないですっ!』






「ちょっとあなた達、生徒会室の前で何やってるの? あれ、西口君? と、あんた達……」


「げっ、会長ボス!?」


「ボスって言うな!」





「西口君って……なるほど、彼がラッキースケベの西口君なんすね」





   ◇




『あ、あの、良かったら中でお茶でも……会長、いいですよね?』


「えーっ、まあ、西口君が世話になったんなら……」


「めっちゃ嫌そーだなボス」

「そーすね」




  ◇




「あなた達、また何企んでるわけ?」


「企んでないわ。助けてやっただけですよ?」

「あの彼、先輩のおっぱいに顔埋めてたすけどね」


「はあ? いやらしい事してるじゃない」


「そりゃ偶然……」 



『お待たせしました。お茶が入り……うわっととっ』


「あぶねっ、よっと」


「おー、すごい先輩。見事にお茶死守したっすね」




「……お茶より彼を何とかして欲しかったわね?」


「ん? 西口くん、どーなった?」



「西口君なら会長のお尻に顔をジャストミートしてるっす。ラッキースケベ恐るべしっすね」

















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