第43話 モフモフななにか


『おい、お前ら。試着するからこっち見るでないぞ?』


「見ないよ」


『絶対見るなよ?』


「見ないってば」


『……ちょっとくらいなら見てもいいぞ?』


「どっちだよ? 遠慮しとく」


『そー言いつつ、見るんだろ?』


「あのなぁ? ロリっ子体型なんぞ、一ミリの興味もないわ」


 

「先輩にも手を出さない分野があったんすね」

《暴食の好きモノなのにねー》




『またえらい言われようだな、お前?』


「リロちゃんに言われたくないわ」







『うーんと、こんな感じか? おい、見てみ。どーだ?』


「へいへい……んー? これは何と言うか……」

《……Cカップくらいですかね? うーん》

「一応、Cカップ設定すけど。……正直、こんなにおっぱいが似合わない27歳って、いていいもんなんすかね?」


『うぐっ、そんなに変か?』


「うんまあ、違和感がね。例えるなら、まだ青いイチゴに砂糖ぶっかけて無理やり甘くしました、って感じ?」

「いや、イチゴって言うより、サクランボ的な何かすかね?」

《それなら、サクランボの種に砂糖ぶっかけたという方が……》



『ぐすんっ、ムチャクチャ言われとるがな』


「だいたい、AAAからいきなりCにするのに無理があるんだよ」


『AAAちゃうわっ』


「極めて垂直な壁すからね。やっぱりAがギリなんすよ」


『Aがえーんか?』


「変な関西弁止めろって。取り敢えず、Aで試してみたら?」





   ◇





『これでどーだ?』


「あー、ギリ違和感ない貧乳になったかな?」

「そーすね。この辺が妥当な貧乳っすかね」

《許せる貧乳ですね》

 


『ええぃ、貧乳貧乳うるさいわっ!』 


「いや、ぶっちゃけ、ロリ体型の胸がちょっと膨らもうがどーでもいいんだけど」


『なんだとーっ!』


「リロちゃんはやっぱり、まっ平らがいいんだよ」

「それが一番、自然っすよね」 

《ピカチ○ウにおっぱいがあったらおかしいのと一緒じゃないですか?》


『ポケ○ンちゃうわっ!』




 

   ◇



「で、結局、AAに落ち着いたか」


『あんまし変わっとらん気がするが』


「見た目もそれほど変わってないけど、それでいいんだよ。こういうのは気分の問題だろ? 0と1は全く違うじゃん?」

「リロちゃん先生っぽくていいっすね」

《可愛いです!》



『そうなのか? うむ、ひとまずこれで良しとするか、わははははっ』


「納得したなら早く服着ろよ」


『ん? 何かハプニング的なヤツはないのか?』


「なんだ、それ?」


『せっかく我がおパンツ一丁で無防備な姿を晒しておるのだ。普通、エロいなんか、あるだろ?』


「ないわ。その幼児体型にエロ需要はない」


『そういう分野の専門もいるだろーが?』


「そんな変態は潰す」


《趣味に合わないと容赦ないですね》


「あ、リロちゃん先生に合いそーなヤツが有るっすよ?」





  ◇




「うっ、なに? この超可愛い生き物?」


「けも耳+モフモフからだセットっす。リロちゃん先生にぴったりハマったっすね」


《キャーッ!! か、かわいいーっ! モフモフしたいっ!》



『……いや。こういう愛玩動物的なのは求めておらんのだが……』



「これ飼えん?」

《あーっ、いいですね! 私、飼育係やりたいです》



『……おい』



《餌とかどうします?》

「うん、とりあえず飴玉やっとこうか?」



『……おいっ!』



「はい、飴玉」


『わーい! って、おいっ!!!』



「こりゃ当分、おもちゃっすね」
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る