第7話 アレって食えるの?


「朝陽菜先輩、ダンジョンの何処まで行ったんすか?」


「入口から10m辺りまでかな」


「全然先っぽだけじゃないすか。ヘタレっすね」


「いや、素人なんだから。チート能力とかないとムリだろ?」


「チートすか。ウチのお兄ちゃんニートなんすけど、ダメですかね?」


「あー、惜しいけどダメだね。転生したら本気出しそうだけどね」


「やっぱ無理すか。魔物の素材売ってボロ儲けしたかったんすけど」


「だいたい、現実世界だと冒険者ギルドとかないからね」


「学校の購買部とかで引き取ってくれませんかね?」


「購買部がドラゴンの鱗とか引き取ったってどーしよーもないしね」


「オークの肉ならどーすかね? アイツら豚だし」


「いや、二足歩行の豚はちょっとキツくない? お前、猪八戒喰えるの?って話」


「すんません、猪八戒が良くわかんないっす」


「え、西遊記知らない?」


「西遊記も猪八戒も知ってますよ。ブタの妖怪でしょ? ただ、具体的な画が思い浮かばないんでイメージしにくいって事っす」


「じゃ調べてみなよ。西遊記は何回かドラマ化されてるハズだし」


「えーっと、西遊記、猪八戒、俳優と。あ、出ました。うーん、これはなかなかのメンツっすね」


「で、食えそう?」


「絶対ムリすね。食えない俳優さんばっかですもん」



 ◇


「ところで先輩、お腹すきません?」


「この流れでよく腹減るな? まあアタシも小腹がすいたけど」


「先輩、こんにゃくゼリーとか好きすか?」  


「あー、いいね。太らないしね」


「わらび餅とか」


「うん、和菓子もいいね」


「グミとか」


「おまえ、まさかとは思うけど、スライム食おうとしてない?」


「何事も挑戦あるのみっすよ?」


「ないわーっ。今までスライムにいろんなモン食わしてきただけに、コッチが食おうって発想ないわーっ」


「そう言うと思って、ジャーン! プレーンなスライムを用意しております」


「ヨーグルトみたいに言うなよ。確かにぷるぷる透明で新鮮そーだけど」


「スライムミルクティーとかバズりそうじゃないすか?」


「本家すらもう需要ないのに、なんでバッタもんがバズるんだよ?」


「ところで、トコロテンなら何掛けます?」


「いや、聞けよっ。何気に韻踏んでるのがまたムカつくな。だいたい、押し出す木型とかないぞ?」


「それは問題ないっす。ほら、触手を細目に出してもらってチョキンと切れば。スライムの踊り食い風トコロテンの出来上がり」


「キモっ。それに可哀想だし。おまえ、そんな事してよく心が痛まないな?」


「いやー、わたしの心は図太いんで。


心太トコロテンだけに」


「うっ、掛けたのはそっちか」











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