第5話 スライム活用方法


「朝陽菜先輩、なんかムライさんスライム、めっちゃ増えてません?」


「そりゃ便利だからって、お前がどんどん節操なく連れてくるからだろ?」


「えー、実際便利じゃないすか。なんでも食べるからゴミ箱代わりになるし、汚れだけ取ってくれるから水道代わりになるし。なんならシャワーの代わりもいけますよ?」


「うーん、シャワーの代わりはさすがに……」


「オプションとして触手も出ますから、違う意味でもイケます」


「イかなくていいから」


「ゆくゆくはトイレとしても……」


「それは止めてあげて?」


「そうっすねぇ。さすがにわたしも大きい方は躊躇しましたし」


「まさかとは思うけど、小さい方は躊躇しなかったと?」 


「ここって、女子トイレから離れてるじゃないすか」


「マジか。お前、それは人としての尊厳的にどーなん?」


「漏らす方が尊厳的にヤバくないすか?」


「ここ来る前にいっとけって話だよ」


「触手で?」


「うん、もう触手でも何でもいいわ」

 

「あ、先輩。ツッコミほったらかして何処行くんすか?」


「んな話してるからアタシも行きたくなっちゃったじゃん……お花を摘みに」


「お花摘み? 先輩、そんな少女趣味が?」


「うっさいな。隠語だよ」 


「淫語すか」


「文字にしないとわからないよーなボケするなよ」


「いや、先輩ならわかってくれるかと。ってか、早く行かないと人としての尊厳が危ないすよ?」


「知ってて引き留めやがった、コイツ」





  ◇



「先輩、スッキリしましたか?」


「ストレートに聞くなよ」


ムライさんスライムで済ませたらいいのに」


「ホントにそれ止めろよ? お前が済ませたムライさんで手とか洗っちゃったらどーすんだ? どれも区別つかないのに」


「あ、その事でちょっと閃いたんすけどね」


「どうせロクな事じゃないと思うけど聞こうか」


「最初透明だったムライさんスライムが最近、グレーっぽくなってきたと思いませんか?」


「そーいや、そーだね」


「それって多分、ゴミとか汚れとか取り込んでるからじゃないすかね?」


「なるほど、取り込んだ物によって色が変わると?」


「おそらくは」


「じゃあ、あの隅っこにいるヤツがちょっと薄いレモン色っぽいのは……」


「そーゆー事っす」


「お前、すでにどんだけ済ましてるんだよ?」


「まあとにかく、赤のムライさんスライムとかも作れる可能性がある訳っす」


「赤か。綺麗そうだけど、赤色で捨てる物とかそうそう無くない?」


「大丈夫っす。アタシ今ちょうど月」


「止めなさい!」





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る