第2話 ダンジョンへGO


 冷蔵庫の中はダンジョンだった。


「ずいぶん斬新な冷蔵庫すね」


「いや、冷蔵庫の機能としてダンジョンが付いてるわけじゃないからな?」


「当たり前じゃないすか。冷えない冷蔵庫はただの箱すよ」


「どっかの豚みたいに言うなよ。ってか、冷える冷えないの問題じゃないと思うんだが」


「やっぱり、モンスターとかいるんですかね?」


「いるよ」


「朝陽菜先輩、中入ったんすか?」


「まあ浅く、ちょっとだけ」


「『先っぽだけ』みたいな感じですか」


「下ネタ風に言うなよ」


「わたしもちょっと体、入れちゃっていいすかね?」


「いいけど、あんまし奥まで入れんなよ?」


「入口狭いっすね。これ入るかな? あ、入った。先輩、ずっぽり入りました」


「うん、ずっぽりとか報告しなくていいから」


「うっ、先輩。いきなり何か出そーです」


「早いな、って何がだよ? ステーキとか?」


「先輩、ふざけてる場合じゃないっす。おっぱいです、おっぱい。先輩の胸みたいな奴がプルンと」


「なんだ、スライムか。安心しろ、そいつ無害だから」


「殺っちゃっていいスカ?」


「だから無害だって言ってるだろ。可哀想だから攻撃すんなよ?」


「えー、モンスター倒さないとレベルアップしないじゃないすか」


「ゲームじゃないんだから。そんなシステムはない」


「えーっ。……すてーたすおーぷん!!」


「だから叫んでも画面なんか出ないって」


「あー本当に出ないっすね。ってか、それ知ってるって事は先輩も叫んでみたわけですね?」


「叫んでないわ。……ぼそっと呟いただけだわ」 


「で、このおっぱい、殺っちゃっていいスカ?」


「スルーすんなよ。そこは「意外と可愛いいんですね」、とか突っ込むポイントだろーが。つか、スライムは倒せないぞ? 打撃が効かないからな。試しに殴ってみな?」


「本当だ、跳ね返される。って事は先輩の胸も殴り放題っすか?」


「いや、普通に痛いから絶対やるなよ?」


「それは殴ってくれという……」


「フリじゃないから」


「あっ、閃きました。スライムの倒し方」


「どーせロクでもないと思うけど、とりあえず聞こう」


「まず、おんなじ色のやつを四つ繋げて……」


「却下」


「はやっ」


「馬鹿言ってないでそろそろ出てこいよ」


「はーい。うーんやっぱり狭いなぁ。うんしょっと」


「あーっ、おまえ何、スライム持ってきちゃってんの?」


「抱き心地が気に入ったんで」


「って、しれっとその上に座ってんなよ」


「先輩もどーすか?」


「……ならちょっとだけ……おおぅ……いいな……」


「あ~先輩、寝ないで下さいよ。いい加減返してくれません? ん、え、なんすか?」


「……もう1匹取って来て」










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