あんぶ!【スライム飼い慣らしたら学園内で無双が始まりました】

シロクマKun

第1話 プロローグ 先輩の秘密


 朝陽菜あさひな先輩はアサシンだと、わたし玉木明里たまき あかりは思う。


 まず、目が死んでる。怖い。水族館で見たサメの目があんな感じだった。

 あのでかい胸の谷間にはワルサーPKK辺りの小型拳銃が挟まってるに違いない。

 スカートを捲り上げたら、スラリとした形のいい太股に投げナイフが仕込まれてるんだ。

 そして最終ウエポンはあの妖艶な身体か。ドエロい女体を駆使して男を惑わし、ベットに誘い込み、絶頂の中で命を狩り取るのだ。

 

 彼女のアジトは旧校舎だ。

 立入禁止のはずの校舎に放課後一人で入っていき、そのまま2時間は出てこない。いつも外でわたしが時間を計ってるからこれは確かな情報だ。

 朝陽菜先輩は多分中で暗殺の訓練か、武器の手入れをしているに違いない。

 彼女の秘密を暴かねば。



「という訳でお邪魔します」


「いや、どういう訳? って何勝手に入ってきてんの?」


「あ、お構い無く」


「コッチが構うんだけどね? ってロッカー開けんなよ」


「うう、これは酷い。先輩、ちょっと整理した方がいいっすよ?」


「ほっとけよっ。勝手に人の部室で家捜ししてる奴に言われたくないわ」


「ここ部室だったんすか。何部なんです?」


「特に何部って事もない」


「つまり、生徒会に申請してないんすね? 無断使用って事じゃないすか」


「まあそう言えない事もないけど。って、さっきから何探してんの?」


「怪しい物を」


「怪しい物? 高齢者向けの低周波治療器とか?」


「それも怪しいけども、そーゆーのでなくて。死体とか。どっかにないすかね?」


「いや、眼鏡の少年探偵の行く先々じゃないんだから。そうそう死体は落ちてないと思うぞ?」


「あ、この冷蔵庫怪しい」


「聞けよっ。だから開けんなって。そこ開けたら後悔する事になるぞ?」


「それって『絶対押すなよ?』的なフリですか?」


「フリじゃないから。じゃあ開けていいよ……って本当に開けんのかよ」


「えーどっちなんすか?」


「どっちでも結局開けるつもりだろ? ってこいつ、マジで開けやがった」


「……先輩、冷蔵庫ってこんなに奥行きありましたっけ?」


「いやー最近の冷蔵庫は、見た目以上に奥行きあるんだな、これが」


「その奥が見えないんすけど? って、これもはや洞穴? 洞窟?」


「まあ洞穴ほらあなだか何だかわかんないけどね」


「で、結局なんなんすか? 教えて欲しいっす」


「うーん、見なかった事に」

 

「ガン見しちゃったんで無理っす」 


「はぁ、仕方ない。洞穴ほらあなってかね、多分……ダンジョンだね」


「ダンジョンって、あのモンスターとか出てくるヤツすか?」


「そーだね」


「所謂、迷宮?」


「そーだよ?」


「プロ野球で活躍した選手が入るところ?」


「それは名球会」


「うーん、ミステリーかと思ったらファンタジーだったとゆー、ホラーなオチ」


「いや、ホラーは関係なくない?」


「ありますよ。

 だって


 ほらあなだけに」
















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