第5話 人生の息抜き(強制)







季節は秋、紅葉を迎え山々が綺麗に色ずくこの頃とある少年は怒りに震えていた。


「マッジであの野郎共…隠れてやがるな?」

よぉ法越君です。同窓会には行けません()。

現在私は昨日の恨みを晴らすべく住宅地をパトロールしています。


人を嵌めておいて謝りにも来ないガキ共がいたんですよォー

なぁァァァにィ!!!やっちまったなぁ!!

クソガキャ共は黙って!

謝りに来い!

クソガキャ共は黙って!!!!

謝りに来いぃぃぃぃ!!!!!


失礼、発作が


「公園にも居ねぇし、アイツらの家も知らねぇし……チッもう夕方かよ」


ん?そういや流れが弱いからって最近子供が遊べるようになった川があったな

もしかしたら居るかもしれないし、居なくても気分転換になるか……



「おっ見えてきた見えてきた」


パッと見、人が居ないようだ。

ゆったり川のせせらぎに耳を澄ますとしますか


ハッ!石に座って瞑想してる人を発見!あれは〜夏音ちゃんだっけ。いつもクラスの中心にいる明るく快活な少女だったと記憶しておるぞ。


普通に話しかけるのはなんかな…ヨシ


「ねぇ!!!何してるの???」

後ろからパパスタイルで話しかけてみることにした。

『うわぁぁぁ!!』

飛び上がって振り返る

『だ、誰!?……えっと法越君だったっけ?急に大きな声で話しかけない方がいいよ?』

最初は怒気を孕んだ声質だったが俺が誰かを認識すると、困ったように笑って優しく注意をした。


お、だっ!!!

どっかのママ(笑)よりもよっぽど大人な香りがするぞ!!


「ごめん、パパがあまり話した事の無い人には元気よく大きな声で話しなさいって言ってたから」

『いいよ!でも後ろからは話しかけない方がいいと思うな!』

「うん、次からはそうする」

『よろしい!』ワシワシと俺の頭を撫でる

『あっごめん何時も弟にやってる癖があって』

突然の事で驚いたが頭を撫でられるとは存外嬉しいものである。

「いいや!嬉しかったよ!」

『そう?ならいいんだけど』


「弟さんいたんだ?」

『うん!可愛いの!何時も着いてきて姉さん!姉さん!って』

「弟さんが大好きなんだね」

『うん!食べちゃいたいくらい』

「ハハッ!夏音ちゃんがお姉ちゃんだったら毎日楽しいだろうな!」

『そう思ってくれる?』

「勿論!」

『そうだといいなぁー』

「そうだとって事はそうじゃないの?」

『うん…最近喧嘩しちゃって』

「あーうん」


しばらくの間沈黙が続く


『あのさ!』

沈黙に耐え切れなかったのか夏音が口を開く


「何?」

『イタズラって楽しいの?』

「もう楽しくてたまらないね!」

『いいなー私も1度やってみたい』

「それなら何時でも俺達に言ってくれたら良かったのに」

『ふふっそうだね〜いつか頼むかも』

「 ? いつか………と言いますと?」

『うーん、まぁ色々とね』


また少しの時間沈黙が続く


『どうして1人なの?いつもの友達は?』

「うーんとねちょっと1人で散歩がしたくなって(大嘘)」

『そうなんだ…私と似たようなものかな?』

「そうなの?」

夏音は少し寂しそうに身を屈める、

「…何かあったの?」

『………………聞いてくれる?』

「もちろん」


深呼吸をして此方をみて川に向き直る


『実は、…家が厳しくてね?何時も家庭教師と勉強ばっかりしてるんだ』

「うわ、大変そうだね」

『少し辛いの』

「ママとかパパに言ってみたの?」

『いや?でもね、私は優秀じゃなきゃいけないの』

「どうしてそうじゃなきゃいけないのかは聞かないけど、ちょっと無理してるんじゃない?」

『うん、そうかも、でね本当は今の時間お琴のお稽古の時間なの』

「抜け出して来ちゃったの?」

『うん、こんな事ダメだよね、我儘な子だよね』

より一層顔が曇る

「そんな事は『こんな所にいたんですか!』」

声の方を見ると和服のおばさんがいた。

『見つかっちゃったか』

おそらく本来ならば誰も聴き取れなかったであろうその呟きを近くにいる俺だけは聞き取ることが出来た。


『ごめん、また幼稚園でね』


気付けば、寂しそうにおばさんの方へ向かおうとする夏音ちゃんの手を掴んでいた。


『え?』困惑する夏音ちゃん


『あのね坊や、その子は今からお琴のお稽古があるの手を話してもらえるかしら?』

言葉自体は優しいが少し怒ったようなおばさんの声が聞こえる。


「ちょっと我儘してみようよ、今此処で」

『え?』『は?』

夏音ちゃんを此方に引き寄せる


「法越ブレンド目くらましシリーズパート7 」

下に3つの玉を叩きつける

「胡椒・花粉玉!」

『グァァァァ!!まさか私が花粉症なのを一瞬で見破って?!?ブアックショイ!ゴホッゴホッ』

おばさん…花粉症だったんか、まぁ僥倖。

『ねぇ!大丈夫なの?!』

「大丈夫だってちょっと二〜三分苦しむだけさ」

心配そうな夏音ちゃんにそう返す。

「イタズラしてみたいんだったよね!」

『え!?うん、でもそれで気分悪くなる人がいるなら嫌だな。』

「OK!みんな幸せになれば良いんだね!」

車椅子新機能ON!右の肘掛にレバーが出てくるそれを倒すと勢いよく前に進み始める。

「着いてきて!」

手を引っ張ってその場を離脱する。













『今頃法越の奴何やってっかなー?』

『もう家に帰って諦めてテレビでも見てるんじゃない?』

『有り得るな』

「有り得ないな」

『そうか?お前結構飽き性だろ?法越?』

「そうだな、でも今回は全然飽きなかったぞ」

『執念深すぎじゃないかしら!』

『死んでも化けて出てきそうな勢いだな』

「ホントに化けて出てやろうか?」

『ちょw貴方がそれ言ったら本当に出てきそうじゃない!!』


「『『『HA☆HA☆HA☆HA☆』』』」



此処で3人はようやく今、自分達が誰と話してて誰に生殺与奪を握られているという事を理解した。

「なんか言う事あるな?」

『本当に』『本当に』『本当に』

『『『申し訳ございませんでしたァ!』』』

「そうよなァ!…本来なら此処であの世送りにしてやるとこだが今回はチャンスをやる」

『ほ、本当でございますかァ!』

「あぁ!本当だとも、おい!酒屋ジュースバーのママ(笑)!耳かせ」

『は、はい!』

ゴニョゴニョゴニョニョ

『りょ、了解しましたァ!直ぐに取り掛からせて頂きます!』すっ飛んで行く酒屋

「ツギィ!白髪ゥ!」

『はい!!!!』

ゴニョリゴリョリゴニョリニョリ

『わっかりましたぁ!』すっ飛んで行く白髪

「最後ォ!1番地味な髪色のやつゥ!!」

『はいぃぃぃぃ!!(泣)』

「おめぇは俺とこい」

『了解しましたァァァ!!!』










1時間後…もう日は沈みきり俺達を探す大人が増えてきたのを高い坂の頂上にある開けた広場から見下ろして確認する、そろそろ頃合だな。

『ね、ねぇ、ホントに大丈夫かな?みんな聞いてくれるかな?』

心配そうに聞いてくる夏音ちゃん

「大丈夫、ドーンと構えてな、何を思ってるのか、何を考えているのか、今日きっと伝わるハズだ、何を背負ってるのかは知らないけど夏音ちゃんの人生は夏音ちゃんだけの物なんだから少しくらい我儘言ってもいいんだよ」

『法越くん…』

「いやーポエムチックになったな!気取りすぎかな?」

その時後ろから3人が駆けてくる

『そろそろ時間だぜ!』

「ヨシ!始めるとするか!はい、台本」

俺はそこで初めて女子組に台本を渡した。

『『えっいやいや!ちょっとま』』

俺たちはそれぞれ凸の形の台に登って後ろから強力なライト複数で照らした。


そうすると大人達の注目が一気にこっちに集まったのがわかった。


『な、何をやってるのかね君達!』


「フッ愚問だなだがッ!!!」

『なんだかんだと聞かれたら!』

『答えてあげるが世の情け!』

『俺らの気持ちを満たすため!』

「少女の気持ちを話すため!」

『愛と勇気のイタズラを貫く!』

『ラブリー幼稚園児な敵役!』

「法越!」『優馬!』『酔贅!』

『『「銀河を掛けるイタズラ三大将には』』」

『『「スーパー拳骨、白い星々が待ってるぜ!」』』

『にゃ、にゃーんてにゃ///』

『ソーダッタンデスカ?!?』

はいかわいい

もう片方は可愛くない


パチン


俺が指を鳴らすと一斉にこの坂に生えている木がライトアップされた。


紅葉真っ只中ということもあり、皆 其方に目を取られている

これですぐさま飛んできて下ろされる事は無さそうだぞ。

「さ、あとはゆっくり自分の言いたいことを言うんだ」

『うん!』


俺達3人組は壇を降りて、代わりに夏音ちゃんが壇上に上がる


『『夏音!!なんでお前がそんなところに!!』』

『パパ!ママ!聞いて欲しいことがあるの!私…私ね!今日楽しかったよ!生まれて初めてイタズラをして!物心着いて初めて休日を遊びだけに使ったの!そして、そしてね!』

頬に雫が流れる

『初めて幼稚園以外でと遊んだの!四人とも何も聞かずに一緒に遊んでくれて!一緒にこのライトアップをセットしてくれて!…………今まで、さっきまでね!私怖かったの!!!お稽古が嫌だって言ったらの名前に泥を塗ることになるんじゃないかなって!でも、さっき法越くんが私の人生は私の物だって、少しくらい我儘言ってもいいんだって言ってくれて勇気が湧いてきたの!!だから、だからね、?』

雫は留まるとこを知らず流れ続け、声が震える

『もっどあ"ぞばぜでぐだざい"』


ただ一言、小さくはなったソレは文字に起こせば子供特有の駄々に見えるかもしれない、だが駄々のコネ方を知らない子供が精一杯考え抜いたであったことは間違いなかった。


『お"願い"じま"ずお"願い"じま"ず』


気付けば夏音ちゃんの両親は傍に駆けてきていて夏音ちゃんを精一杯抱きしめていた。

『夏音!すまない!親失格だ!こんなにもお前を追い込んでしまって』

『夏音!ごめんなさい!貴方が不満に思ってる事くらい考えれば分かる事だったのに!』

『パパ、ママいいの?』

『あぁ!』 『えぇ!』

『こちらこそこんなに不甲斐ない親でいいのかい?』

『不甲斐なくなんてないわ!自慢のパパとママだもの、何時もは厳しいけど、ママは疲れてる日には献立がもう決まってたのに、私の食べたいものに変えてくれたり、パパは私がうっかり寝ちゃったときは毛布をかけてくれていたの知ってるんだから』

『夏音!』『今日は帰りましょう、夏音今日は何が食べたい?』

『ハンバーグ!!』

坂を下って3人とも見えなくなった。







感動的だな




『感動的であるな、なぁ法越』

『感動的だね、ねぇ優馬』

『感動的、そうよね?酔贅』

『感動的ねぇ、そう思うでしょ?追琉』

感動的な背中とバトンタッチして入場してきたのは

俺のパパ

優馬のパパ

酔贅のママ

追琉のママ

である

にこやかなのに何故か怖い

感情の寒暖差で風邪ひくかと思うたわ


『『歯を食いしばれ(なさい)』』

法パ&酔マ


『『反省しなさい(てちょうだい)』』

優パ&追マ


ゴチン👊

指⬇️導

☆頭☆

スーパー拳骨白い星々が待ってるぜ、ね










これのことか



パタ





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なぜ子供1人で出歩けているかって?それはこの住宅街は陰陽師(子持ち)しか住んでないような狭いコミュニティーで道端の尖った石などの障害は無いし、勿論危険が迫ったら身につけているアラートがなって知らせるからだあ!

ガバガバ理論だけど勘弁してくだせぇえ。


此処で唐突な一口紹介


優馬 いつもはクールだけどノリはいいし酔贅や主人公といるせいでおかしくなったりもする。

夏音ちゃんの姓が跨世なのは知ってたし、残り2人のアホ連中も知ってると思ってた。


酔贅 いつもだいたいちゃらんぽらんしているが根は真面目であり、仕事をちゃんとこなす忠犬タイプ

夏音ちゃんの姓が跨世なのは知らなかった。


法越 いつもは純粋な4歳児だがイタズラが絡むとゲス法越が出てくる、頭の回転が早いタイプ 仕事の出来はテンションによって変わる。

夏音ちゃんの姓が跨世な事は知らなかった


追琉 仕事はめちゃ有能、なんでもそつなくこなせる、ただミステリアスな大人なお姉さんを目指しているのでノリについていける人じゃないとコイツの相手は厳しい。後、最近はロールプレイが剥がれかけている。

夏音ちゃんの姓が跨世なのは知っていたしアホ二人が気づいていないことも分かっていて泳がして遊んでいた。


夏音 実は跨世学院校長の孫でありフルネームは跨世夏音である、明るく活発で誰にでも優しくできる子であり、成績も優秀

今回の件もあり自分の意見が言えるようになってきた。おねだりは上達中。


法パ 金髪で恰幅のいい大柄の男性、癖が強い痩せりゃイケメン


優パ 優しげでスタイルの良い白髪イケメン


酔マ ショートのボブ黒髪美人、何時もは割と適当だが活発


追マ 紫髪のミステリアス美人、間延びした喋り方がそれを際立たせている

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