ループサマーバケーション
七星北斗(化物)
プロローグ ループサマーバケーション
夏休みが終わらない?
何で?
昨日は、八月三十一日だった筈。
それは、夏休み最終日。
必死で、宿題を終わらせた地獄の日。
で、今日は、七月二十一日。
つまり、夏休みの始まりを意味しているわけで。
スマホの日付表記、テレビの天気予報、カレンダー等々。
結論、今日は、七月二十一日。
寝ぼけているのかな……寝よ。
『寝るな~』
あー、来ちゃったよ。
「いくら夏休みが『今日から』始まったからって、いつまで寝てるつもりなの?」
コイツは、隣の家に住む幼馴染み、
「いくら家が隣同士だからって、窓から入ってくるなよ。それに俺、下着ですけど」
「愚問だな愚弟。そんなものは見慣れておるわ」
「俺の方が恥ずかしいんだよ」
「私は恥ずかしくない」
「お前は、着替えの時くらいカーテン閉めろよ。マジで」
「お前ではない、花苗だ。昔みたいにカナちゃんと呼んでも良いぞ」
駄目だ、コイツと話していると疲れる。
「それに
はい、はい。男として見られてないわけね。
「一応、確認だけど。今日は、何月何日?」
「寝ぼけてるのか?今日は、七月二十一日だぞ」
うん、知ってた。
まさかの集団催眠?なわけないか。
「私と遊ぶ約束だろ」
「午後から部活なんだよ。寝かせて」
「部活?あれ……でも……何か忘れているような……なんだろ?」
花苗は、何かを考えるような顔をしていた。
変な奴だな。俺も変なことを言っている自覚はあるが。
「なら午前中遊ぼうよ。部活動ついて行っていい?」
甘えたねだるような目つきで、すり寄ってくる。
こうなってしまったものはしょうがない。覆水盆に返らずとは言うしな。
「わかったよ。午前中だけな。部活動にはついてくるなよ」
「了解しましたぜ」
大袈裟なリアクションで敬礼をすると、棚のゲームソフトを漁り始めた。
「んっ」
そう言って、俺にソフトを見せてきた。
「OK」
ゲームのタイトルは、ゾンビ狩り。タイトルから予想できると思うが、オープンワールドでゾンビを殺すゲーム。ちなみに協力プレイに対応している。
「死ね、死ね」
コイツは、花の女子高生とは思えんな。スカートで胡座かくのは止めろ。
でも、こんなんだけど、頭いいんだよな。
「じゃ、そろそろ部活行ってくるわ」
「んー」
手をヒラヒラと振り、窓から帰っていった。
俺は、弓道部で巻き藁を射る練習を三時間程して、早めに切り上げ帰ることにした。
終わらない夏休みに、違和感を感じているのだ。
このことについて、電話を友達やクラスメイトたちにかけたが、何の疑問も感じていないようだ。
俺がおかしいのだろうか?
……もう寝よ。
ループサマーバケーション 七星北斗(化物) @sitiseihokuto
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