第31話 演奏会

 音を置き去りにした超高速の突きだった。

 それも敢なく自動防御に絡め取られる。しかし、速度が防御を凌駕したのか、先程よりも青頭の体に深く迫っている。

 どうやら、自動防御が発動するタイミングを上回っているらしい。これ以上速い攻撃なら、青頭も防ぎきれないだろう。


弾薬アミュニション切替スウィッチ……』

「させるかよっ!」


 振り被った刀が袈裟に斬り下ろす。やはり防御されるが、お構いなしに乱れ打つ。斬り上げ、突き、兜割り、とにかく斬りまくるが、全て弾かれる。


「はっ、その防御システム、穴があるなっ!」


 強がりにも聞こえるセリフ。

 だが言わんとしていることは分かる。確かに穴がある。


 自動防御があるにも関わらず、青頭は何故か攻撃をしない。盾を上手く使い、攻撃する。戦いの基本だろうに。恐らく、防御中には攻撃できなかったり、攻撃すると防御が外れてしまう仕様なのだろう。

 そしてもう一つ大きな穴があった。


 弾かれた刀が石材の床にぶつかり、破片が青頭の脚に当たった。小さな礫がズボンの上から当たっただけだ。痛みはないだろう。

 振り下ろされた刀が防御に阻まれ、床にぶつかり、石を砕いただけである。カキーンという音も聞こえただろうか。そして何かがぶつかる感触があれば、視線は自ずと下に向く。何がぶつかったのだろうかと、確認する。


 その行動が自動防御の大きな穴を証明した。


『一刀墜破』


 半ば距離を取ると、握り締めた両の手を腰元に据え刀を寝かせた。半身の態勢、タメは僅かに振り抜いた。


 ギャリギャリと床が捲れ上がると、刀の勢いを乗せて礫が飛ぶ。向かった先は青頭だ。

 自動防御があるはずなのに、真正面から受け止める事はせず、背を向けた。


「うっ」


 青頭は痛そうな呻きを漏らした。

 黒い背中に灰色の瓦礫が突き刺さったのだ。


 致命傷にはなり得ないが、尖りのある無数の破片だ。ハリネズミのように背を丸めている。


「防御中は攻撃できず、意図しない攻撃、つまりは防御してくれない。見切ったぞ」

「ちっ……」


氷柱撃アイシクルショット


 掲げた手から鋭利な氷が放たれた。高い天井に衝突し、氷と石のあられが青頭に降り注ぐ。


手動防御有効化マニュアルモードオン


 タイミングはぎりぎり。薄く広がる防護壁に石や氷が落下する。

 砕けた氷塊は更に細かく氷霧と化し、石材は塵埃と化す。濃霧が2人を隔て、こちらからはこうた君の動静が見えない。


「ユウキッ!」


 フレデリカちゃんが、ボーイフレンドを心配して叫んだ。


 青頭とこうた君の実力は拮抗していると言える。コイツに参戦されると、こうた君はかなり不利になりそうだ。

 チラッと団長マティーニに目配せをすると……配下っぽい奴らに目配せした。リレー?まあ意図が伝わってるならいいけど、

 配下たちの動きはまさにシークレットサービスだった。フレデリカが容易に動き出せないフォーメーションを組んでくれた。今度スーツを着せて、グラサンを支給してみようかしら。


迅歩一文字じんぷいちもんじ


 噴煙の向こうで発せられる冷徹な囁き。その声が耳に届く前に、こうた君は青頭の前に居た。剣閃が胴体に食い込む瞬間、遅れて煙が巻き上がり、こうた君の辿った道筋が現れるほど、高速の接近だった。

 己が声も置き去りにした敵の移動に、一切の防御も間に合わず、青頭の横っ腹に刀が沈む。


「ゔぅ……ぐぁっ」


 恐怖に直面して、人は3つの行動を取る。


 固まるか逃げるか、攻撃するか。


 青頭が固まるか攻撃をしていれば、間違いなく逆の腹まで斬り込まれ、胴体は真っ二つになっていただろう。運が良いのか、生来的な本能に助けられたのか、目の前にこうた君を視認した瞬間、後方へと蹌踉めき後退った。


 その行動が命を助けた。動物的本能が肉体を生かすことに成功したのだ。

 横腹に入り込む刀の間合いから遠ざかるように逃げた。正中線まで切り傷が残ったが、すぐさま引いたことで、内臓に至るものではなかった様子。闘志に衰えはない。


 しかし傷は深い。痛そうに左脇腹を抑えながら、防護壁を前面に展開した。攻撃する余裕がないのだから、防御に専念する。仕方のない当然の流れだが、明らかに形成は傾いた。


手動防御マニュアルモードで俺の攻撃を防ぎ切るのは無理だろ?自動じゃなきゃ、魔法で防ぐのと変わらない!」


 挑発とも取れる問いかけに、青頭の心境は如何ばかりか。霧で表情を見られないのが悔やまれる。

 そこからはこうた君の一方的な攻撃だった。

 魔法で天井を穿ち、刀で地面を抉り、突き、薙ぎ、斬り、乱雑な攻撃が精緻に青頭へと襲い掛かった。防戦一方?いや、押されている。手動になると自動よりも反応速度が遅れている。正面を防げば頭上の守りがなく、頭上を守れば正面から飛んでくる瓦礫を防げない。

 どうやら、あの防護壁はある程度の範囲しかカバーできないようで、全身をくまなく防御してくれるわけではないようだ。


「ユウキッ!私も……」


 自動防御の鼻が明かされ、ちょうど、その言葉も実現した。鼻先が斬り落とされたのだ。

 その光景に居ても立っても居られず、フレデリカが救援に向かおうとするが、優秀なシークレットサービスが行く手を阻む。


「どいてよ!」

「ダメだ」

「このままじゃユウキが危ないのよ!」

「ダメだ」


 だめ駄目ダーメ。お前は大人しくしてろ。身悶えしてろよ、これが恋ってやつなんだぞ?あんまり甘やかすと、ダメ男になっちゃうぞ?


「お前が悪いんだぞ……『両断!』」


「どい……ユウキッ!」


 横腹から血を流し鼻を抑え、片膝を付く青頭。目の前に敵がいるというのに、銃を向けようともしない。明らかな劣勢だった。諦めたのだろう。


 こうた君は大上段に構えると刀を振り下ろした。


 ピコン!

『プロメテウスの名により能力の使用を禁じる』


「ファイアーボール!」


 …………あーあ。警護失敗だよ。

 ん?つーかもともと警護じゃないか。俺の指示が悪かったのか?

 フレデリカの前で壁になっていたエージェント1名が、焼身自殺中のように火だるまになって吹っ飛んだ。行き着く先は、こうた君。


「はっ!?うぉ……」


 青頭に触れる寸前、飛来するに気付きバックステップで躱した。数秒前までは舞台俳優ぐらい堂々としてたのに、咄嗟の事でダサい声を出しながら避けやがった。


 つまり青頭に止めを刺せなかった。


「お前!クソッ……標様、申し訳ありません」

「止めなさいよっ!放して!」

「……ちっ」


 今さら拘束しても遅いって。


 生き残ったか。まあいいよ、他にも殺し方はあるし。こうた君にどうしても殺してー!って思ってた訳じゃないし。


 ていうか、プロメテウスって誰だよ――――。


「声、聞こえた?」

「声?両断!というやつですか?」

「チャウチャウ。犬じゃないよ。プロメテウスだよ」

「チャ……プロメテウスですか?いや聞こえませんでした」


 団長マティーニはポカンとしている。族長夫妻も、イケメソも、バイも……。


「ディキ、聞こえたか?」

「いえ、得には。何かございましたか?」


 脳みそに直接語りかけてくる系のアレか。我が神がくれたアレ、啓示だろう。天啓、預言、そんなやつ。

 ていうことは?プロメテウスさんは神っつーことだ。こんな小規模の戦いに介入してくるたあ、どういう了見だい。


「ん?」


 こうた君が胡乱げな目で首を傾げた。朧げな焦点でこちらを見ているわけじゃない。たぶんMENUE画面を見てるんだろう。


「…………使用不可?」


 俺も首を傾げて猿真似をしてみる。使用不可ってどういう意味や。


「ちっ……」


 今度は青頭が舌打ちをした。痛すぎて、ではないな。卑猥な指運びで空中を弄り倒しているから、コイツもMENUEに振り回されてるんだろう。


 MENUE画面に何があるのか。俺も開けるし、見てみよーっと。


「MENUE画面カモン!」


 ピコン!

 ふむ、いつも通りだ。装備一覧、所持品一覧、ステータスにスキル。普通じゃん。

 とりあえず装備一覧をタップしてみる。


 使用不可。

『現在使用できません』


 見りゃ分かるっつーの。

 無愛想な声で繰り返す必要はありません!やる気ないなら出てくんなよ。お呼びじゃにゃーの!まったく、本社にクレームつけてやろう。


 本社は(株)プロメテウスってとこだろ。


 能力を止めたのか。タイミング的には青頭が死ぬ寸前だった。そんなに大事なんかい。

 なら何で降臨しないんだろうな。下界の民など捻り潰してくれるわ!的なノリでやってくれりゃあ良いじゃんよ。そしたら俺が神降ろしでぶっ殺すのにさあ。


 出張るまでもない?下界など穢らわしい?それとも、出てこれない?さてどーれだ。


「ちっ、おいアンタ!手を貸してくれ!」


 青頭の黒目が狙いをつけたのは、俺の純真な瞳だ。手を貸してくれ?あり得ないぜ。お前らが殺り合うのが見たいんだよ。3Pは望んでねえよ。


「断る」

「能力が使えなくなったんだよ!」

「知ってる」

「だったら……」

「バカかお前は」

「はあ?」


 バカなのかお前は!?奴隷が偉そうな口を利くんじゃねえよ。ゆりかちゃんの前でこうた君を殺せれば良し。フレデリカちゃんの前で殺されるも良し。お前は軍鶏、闘牛、ベタ、闘犬、カワイイけど戦えないなら要らないペットなのよ。

 仲間にでもなったつもりかよ。

 大バカ野郎が。


 あ……気合が足りないのか。もっとこう、背水の陣的な、アイツの為に!的な燃える情熱が足りないから助けを求めているのか。

 な~んだ、それならそうと早く言えよー。

 やる気ないなら、やる気を出させるってのにさー。


「やっぱ、力貸すわ。5秒だけ待ってくれる?」

「5秒?」


 よーいどん!


瞬間移動テレポート


 やってきたのは御魔森おまもり。どんよりと暗い豚と犬と鳥たちは、葬式の真っ最中だった。ちっ、腹が減るじゃねえか。炭火焼きか?串に刺してビールを用意しとけよ。そういうところ、社会に出たらグチグチ言われるんだぞ?


『影渡り』


 気が利かない魔物たちをまとめて王都に運びたいので、影に沈めた。燃え盛る死骸は地上に残してっと、能力の扱いは簡単だ。密かに練習していたのは内緒な!努力をひけらかすのは性に合わないんでね。


 瞬間移動テレポートは俺だけが移動する魔法で、影渡りは影を移動する能力だ。ディキたちは魔法で上手いことやってるらしいが、超絶難しい上に、ミスったら死ぬらしい。それを、チートで簡単にしたのが影渡りの能力。

 御伽衆頭目のディキからこの能力について事前に講習を受けていた。自動車教習所に通うみたいなもんで、運転するには交通法規や技術が必要だからな。


 で、聞かされたルールは1つだけ。簡単でめっちゃ重要なルールだ。


 それは、常に移動し続ける事。


 暗部がよく使う影とは、出入り口に過ぎない。入り込んだ先に広がっているのは、地上と裏表にある地下の影である。

 先程のルールにも繋がるのだが、地上の影が消えると、地下の影も消えるので影の中にいる人も消えて、死ぬ。何かの拍子に、地上の影が消えてしまって、チ~ン。そうならないために、常に移動する必要があるらしい。

 大原則として長時間影の中にいないこと。

 例外時は瞬間移動で場所を変え続けること。光の速さに勝てるなら走ってもいいらしい。アメコミのヒーローではないので瞬間移動戦法を採用すると宣誓した。


 ルールの理解が深まったところで、この有用性については未だ知識不足だった。もちろん有能なディキは手取り足取り教えてくれた。


 影の中は地上から不可知。攻撃も不可。逆に影側から地上の情報は筒抜けだし、パンツも見放題、痴漢し放題。カンチョウをすることだってできる。ケツ穴破壊作戦を完璧に遂行したいなら、影の中に潜る技術が必須だろう。

 そしてそして、地上とは違う特殊な法則があって、それがめっちゃ便利らしい。


 例えば、俺が俺の影に潜るとする。

 その影は消えるのか?これが消えないのだ。地上には影が残り、本人が移動すると影も移動するらしい。めっちゃ不自然な現象で、諜報には不向きだが、影が消えることはないので、動き回ったりする必要はない。


 そして大きな利点がある。


 影の中でも他人の影というのは最強の盾であり、要領無制限の入れ物という点だ。


 地下では絶対不可侵領域となり、敵がその影の中に入るには地上からのみ。

 地下に潜って、あっちへの影へ移動しようと考えるとする。そこで唯一立ち入れないのが他人の影だ。ただし地上の影なら入り放題なので、気を付けないと、緊急時にばったり不法侵入者と鉢合わせなんてこともあり得るそうだ。俺の場合は、常に暗部が入っているので問題無い。


 問題は大有りだが、鉢合わせるという問題はないそうだ。

 いや、問題しかない。俺が嬢にヒーヒー言わされてる場面も、便所でいきんでる場面も見られているのだから、ビッグプロブレムなのだか、モーマンタイだそうだ。

 ……まあ、いっか。


 そして影には容量が無い。言うなれば四次◯ポケットで、何でも入る。そして、本人が移動すると影も移動するのだ。

 つまり、富士山を自分の影に沈めて、四国に持っていくことだって、理論上は可能なのだ。魔力が許すならな。


 ということで、魔物を沈めて瞬間移動すれば?あら不思議。軍団を一瞬で引き連れる大将軍になれるって寸法よ。

 まあ、魔力は結構使うけどね。神よ、魔力の多い体にしてくれて感謝します。


「っと、ここじゃあ狭いな」


 城の中と言っても、数十匹の魔物を出すには手狭な場所だ。どっか広々としたところないかなー。見栄えが重要だから、派手な場所がいいよなー。


「バイタ」

「バイアでございます標様」

「ポーク軍団を全員収納できる部屋ある?」

「ポーク……正殿前の広場は如何でしょう。仲間たちもそこに居ります」

「仲間?ああ、魔族のね。ふむ、外でいいか」


 演劇は反響音とか照明とかそういうのにこだわるって聞いたことがある。たぶん情熱〇陸あたりの知識だ。キラキラした大ホールの1つや2つあると思ったけど、ポーク軍団を収容できる場所はないか。出来れば部屋の中が良かったなー。


『影渡り』


 ホール全体に黒いシミが広がる。この能力を操作する時、食器用洗剤のCMをイメージしている。指先をちょんと浸けると油がパッと逃げていく、アレだ。

 CMと違うのは、人間が飲み込まれるとこだろうか。


「なっ、これは!?」

「『浮遊せフロー……間に合わな……』」


 そんなに慌てんなよ。別に殺そうって訳じゃなしに。まったく、勘違いが酷い奴らだぜ。


 さてやって来ました王城入口。正門を抜けると、整えられた花壇やら低木やらが、いい感じに飾り付けてあって、めっちゃ広い。

 外国から賓客を招くには、このぐらいのビッグさが必要なんだろう。ナメられちゃあイケないからな。

 にしても無駄に広い。税金の無駄。現代日本なら何と言われるのだろうか。皇居は一般開放されてるから、お上りさんの観光客たちも、ほえーとかすげーとか言いながら、感動という名の税の再配分を受けられる。ここは違うだろうな。だって、後ろにある正門はむっちゃ堅牢で、騎士が完全武装で立ってるんだもん。近寄ったら斬る!って顔に書いてあるもん。


 あ、見つかった。


「き、貴様!いつの間に!」

「緊急呼集を……」


 ビィィィィ!


 もっさりもさもさ、胸ぐらで手を弄び、首に掛かっていた銀の笛を引っ張り出した。使い勝手が悪そうだ。でっかい音が響くと、あとに続くのは静謐だった。

 アレだ、嵐の前の荒〇静香だ。こうなりゃあイナバウアーでもして、海老反り謝罪でもしようかしら。許してチョンマゲってな。


 ザッザッザッ――――。


 来ましたよ、騎士の軍団が。俺を殺そうと隊列を組んで走ってきたよ。


 じゃあ、俺も召喚しようかね。アンタらみたく派手じゃないけど、それなりに強い奴隷がいるんだよ。


『カモン!MY SLAVE』


 でっけえダークホールから出てきたのは、さっき収納した奴らだ。ポーク軍団、モブ転生者数名、青頭、こうた君、そして魔族の連中。


 あれ?さっきバイタは仲間がいるって言ってなかったっけ?そういや、どこにもいないな。


「ぜんたーーーーーい止まれっ!」


 ザッザッ!

 完璧な団体行動だ。でも、遠くね?俺を殺りに来たんじゃないのか?まさか、ポークたちにビビったとか?


「標様に〜敬礼っ!」


 左胸に手を当て、首だけを真下に向けた。

 コイツらは今、俺に敬礼をしているようだ。標様って言ってたし、俺だよな。俺以外に標様っていないはずだから、俺だと思う。


 もしかしてチミたち……。


「騎士は予め制圧しております。どうぞお寛ぎください」


 おいバイタ〜、そういうのはナイスよー。やるじゃないかー、やればできるじゃないかー。有象無象を予めシバいていてくれるのは助かるぜ。

 前戯が長いと、俺の息子が保たないからなー。エクスカリバーが血を吸ったヒルみたいに項垂れちまうからなー。ナイスゥゥ!カチコチで楽しめるぜ!


 サムズアップで労をねぎらったら、小さめのガッツポーズをしていた。


 …………ドヤ顔し過ぎだバカ。長い長い凝視すんな!部下に自慢すんなよ、顔引き攣らせてるだろうが。私達が場を整えたんですけどねーとか思われてるぞ!口だけの上司が部下の功績を奪ってどうすんだよ!

 はあ。調子乗りだったとは、今度から褒めんとこ。


「何が起きているんだ……」

「うぎゃっ」

「ジェームズッ!おのれぇ!この剣の錆に……」


 おっと、門番が旅立ちました。いい日であれ。


 つーか影って最強じゃね?死角から沈めて死ぬまで放置。それか、影を消して存在を消滅させる。死の感触が堪らないんだぁぁというド変態は、影の中で殺人を楽しめばいい。


 影、最強じゃん。

 そして、うちの暗部優秀すぎ。


 ショーを邪魔する者は消えましたね。では始めましょうか。こうた君と、青頭のやる気スイッチをオンにしましょうか。


「団長!ゆりかちゃんとフレデリカを!」

「――――はっ」


 通じた?

 いや通じてないな。キョロキョロしなくていいよ。ちゃんと言うから。いや違う!お前が殺ろうとすんな。


「ポークたちが苗床を欲しがってただろ。くれてやれ」

「恐れながら、死人でなければ……」

「分かってねーなあ、セックスはただの子作りじゃないんだよ、コミュニケーションなんだよ。仲間を殺されたポークたちと語らってもらおうじゃないの。被害者と加害者の和解の場だよ」

「なるほど。畏まりまし……」


「おい、ふざけてんのか?」

「聞き捨てならないな」


 ほおほお、2人揃ってどうしたい?とは言わないさ。

 やる気出してくれた?スイッチオン!?それならおっちゃん、嬉しいよ。


「フレデリカに」

「友梨佳に」


「手を出すなっ!」


 息ぴったり、フィルハーモ〇ー交響〇団かな?汚ねえ音色だこと。

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