第五章
一、花舞う宴の席で、予期せぬ遭遇。
天界。
その日は、
名の通り、
"
天界にある
他にも百鳥大仙や百獣大仙が召集されており、余興に奇鳥や仙獣たちを歌わせ舞わせたので、その庭園はより賑やかで美しいものになるのだった。
これは宴会の度に見られる光景で、
「
可愛らしい幼女の姿をした花の精のひとりが、腕を前で囲い、深くお辞儀をしながら
こんな幼い姿をしているが、
「わかりました。では、よろしく頼みます」
衣は白を基調としているが、袖や裾は赤い線の模様が入っており、帯も白いがその上に紫色の細い飾り紐を垂らしている。
髪の毛を括っている小さな冠は金色だが、決して派手ではなく、むしろ彼の華やかさが、いつも以上に増して見えた。
琥珀色の瞳の端の辺りに紅色の化粧が入っており、
「あら、
「
十八歳くらいの少女の姿をした美しい仙女が、気さくに声をかけてきた。
彼女は
花も酒も天界で行われる色んな宴で必要とされ、故に、神仙たちと知り合う機会も非常に多いため、ふたりを知らない者はほどんどいないだろう。
「そうそう、さっき、
「いえ。でもおふたりは、昔からあまり良い関係ではなかったと記憶してますが、」
噂では昔、
それからは、仙女を文字って
ただどの噂も、別に
いずれにせよ、どれも噂であり真実かどうかは怪しい。
ただひとつ言えることは、ふたりは昔からの知り合いではあるが、仲良しではないということ。
「これから
「······うーん。私は、あんまりそういう話は得意ではなくて、」
「ふふ。聞き耳たててればいいのよ。噂好きの神仙たちが勝手におしゃべりしてくれるわ。じゃあ、また後で逢いましょう」
ひらひらと手を振って、
この庭園は広く、何か所にも渡って席が設けられていた。その席を回って歩くのだ。
去って行く彼女とは反対方向へと
邸の方へと進む間に、何人もの神仙たちと言葉を交わし、その度に
そんな中、邸の少し手前の辺りで、人波が途切れる場所があった。ふと、足が止まる。
その場所だけに誰も近寄ろうしない理由が、すぐに解った。そこにいたのは、先程、退席されられたと言っていた月神である
血のように赤い瞳をした、幼子がいた。
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