六、俺に教えてくれる?
ばらばらになっている者が多く、どれが誰のものかまではさすがに解らず、ただそうやって集めた骸を並べてみれば、その数は九十九人分あった。
赤く染まってしまったその手と道袍を洗う余裕もなく、
(まさか······でも、あの子は、)
真っ青になっている
道袍や左手に巻いている包帯は、新しいものを調達するのが良いだろう。
「大丈夫? 顔色が悪い。あとは俺に任せて、あなたは休んでいて?」
「私は、大丈夫です。それよりも、この惨劇を起こした者に、心当たりがあります」
どういうこと? と
「あの日、天界で。私の配下であった九十九人の花の精が殺された件と、関係があるかもしれません」
あの夢の断片を共有した
「あなたを追放した神サマのこと?」
はい、と
夢の中で見たのは、折り重なった無残な骸の山と血で染まった
女の姿をした神を殴り、感情のまま罵った
しかし女の神は追放はされず、ただ位を落としただけだった。あれだけの事を起こしておいて、その程度で済んだ理由があるはず。
それに、天界で殺生は禁じられている。虐殺は大罪だ。
すべて
「彼女は確かに首謀者ですが、その実行者ではないのです」
「ゆっくりでいいよ。安心して? 俺は、あなたの傍にいるから」
桶の上に腰掛けた
俯いたままの
「彼に初めて会ったのは、
「どういうこと?」
「その幼子は、
そして事件の後、彼が行方知れずとなってから、地上では恐ろしい
それに運悪く出会ってしまったせいで殺されたり、喰われた人間や仙人、精霊は、数えきれないほどだったと聞く。
もはや災厄に等しい存在。
天界の者たちは、いつしか彼の事を"
「天界はその
「そんな奴がどうして、」
「災禍の鬼の狙いは、私でしょう。わざわざこの村を選び、骸を九十九体用意して、あの日を再現したつもりなのです。あの日、殺せなかった私を、殺すために」
どうしてそんなことをしてまで、
「
なぜ、月神は
ひとつ間違えば自身がどうなるか解らない、そんな危険な賭けに出たのか。
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