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「いちっ、にぃっ、いちっ、にぃっ!」


 何もしないで過ごすのは時間が勿体ないから、僕は剣の素振りをしてタックの帰りを待つことにした。


 あまり無理をするのは良くないけど、この態度なら問題はない。それに第1の試練の洞窟を出発したあと、ようやくこうして走り込み以外の鍛練もさせてもらえるようになったわけだしね。


 ちなみに相変わらずミューリエは剣の技を教えてくれない。でも自己鍛錬を続けていれば、いつか教えてくれる時がきっと来る。それを信じて頑張るだけだ。


 せめて自分の身を守れるくらいにはならないとね……。


「ふむ、アレスもいくらか筋力がついてきたようだな。だいぶ動きも良くなった」


「ホント? それじゃ、そろそろ技を――」


「バカもの。まだ初心者レベルにも達していない。あくまでも『出会った頃と比べれば』の話だ。まだまだ先は長いと思え」


 淡々としていて遠慮会釈もないミューリエの言葉。でもそれはなんとなく想定していたことなのであまりガッカリはしない。今はひたすらに努力を積み重ねていこう。


 僕は気合いを入れ直し、素振りを続ける。



 →106へ

https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652939353822

 

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