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僕の力がアンデッドに対して有効かどうか分からないし、事件に関わったとしてもきっとミューリエやタックに負担をかけてしまうだけ。それは百も承知だ。
だけど……。
…………。
「どうしたのだ、アレス?」
「えっ? ……あ……いや……」
不意にミューリエに声をかけられ、僕はアタフタしてしまった。自分だけの世界に入って深く考え込んでしまっていたらしい。
ダメだダメだ、少しは周りの状況にも意識を残しておかないと。こんなんじゃ、いざという時に判断が遅れる。余裕がなさ過ぎだ。
でもこれは簡単に決めていい選択じゃないような気がするのも確かだし、だからこそしっかり考えないといけない。
あぁ、複数のことが同時に出来たらいいのに。つくづく自分の不甲斐なさを痛感する。
「アレスよ、やはり村のことが気になるのか?」
「うん……。だけど僕には何も出来そうにないでしょ? それなのに関わっちゃってもいいのかなって」
「何を遠慮する必要がある? 私はアレスの選択に任せると言ったのだ。求められるならば協力だって惜しまない。それが仲間だろう?」
「オイラにもどんどん頼ってくれていいぜ~♪」
ポンと僕の肩を叩くミューリエとその横でクスクスと微笑んでいるタック。ふたりの温かな心が強く僕に伝わってくる。
嬉しくて僕は思わず泣きそうになってしまう。
「その代わり、逆の立場になった時はアレスが私を助けてくれ。良いな?」
「うんっ! もちろんだよっ!!」
僕は大きく首を縦に振りながら即答した。僕に出来ることなんて限られてるかもだけど、その時が来たなら全てをなげうって協力をする。絶対に!
あぁ……やっぱり仲間っていいな……。こんなに素敵な出会いを与えてくださった神様には感謝をしてもしきれない。
「それでアレスはどうしたいのだ?」
「僕、この村を放って先へ進みたくない。だって村の中にアンデッドが出るなんて、ただごとじゃないもん。困ってる人もたくさんいるだろうし。だから何かがしたい」
「そうか、分かった。ならば私もアレスのために力を貸そう」
「ありがとう、ミューリエ!」
僕はミューリエと視線を合わせ、手を握って感謝の気持ちを伝えた。そのあと、僕はタックに顔を向ける。
「タックはそれでいい?」
「もちろん! オイラもアレスに協力するぜ~☆」
「うんっ、タックもありがとう!」
そう言いながら微笑みかけると、タックは指で鼻のあたりを擦りながら照れくさそうにしている。
「よっしゃ、それじゃオイラは宿を確保してくる」
「僕は村長様に詳しい事情を聞いてくるよ。ミューリエは僕と一緒に来てくれる?」
「承知した!」
こうして僕はミューリエとともに村長様の家へ向かうことにした。
タックには宿で部屋を確保したあと、さらに情報を集めてもらうことをお願いする。
→64へ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652938463260
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