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しばらく歩いていると、不意にミューリエがこちらへ振り返った。それに釣られるようにタックも即座に振り返る。
そして僕の様子を見るなりふたりは足を止め、一瞬だけ睨み合ってから満面の笑みをこちらに向けてくる。
…………。
……なんだろ、この晴れやかすぎる笑顔。ちょっと薄気味悪くて怖いんだけどッ!?
「アレス、腹が空いているのではないか? 特別にお手製の干し肉をやろう。ちょうどいい熟成具合で、美味いだけでなく筋肉や体にも良いぞ」
「アレス~、オイラが作った干しキノコ食べるか? コイツは薬効成分が含まれてるから疲れが取れるぜ~☆」
ふたりはそれぞれ自分の荷物から干し肉や干しキノコを取り出し、それを持ってこちらへにじり寄ってくる。得も言われぬ圧力。思わず僕はたじろぎ、何歩か後ずさりをしてしまった。そして目を丸くしながらふたりの顔を交互に見やる。
すると直後、ふたりは足を止めてお互いに睨み合う。
「っ! 私のマネをするな、エルフの小僧! どこかへ行け! シッシッ!」
「それはオイラのセリフだッ! そんな何の動物かも分からない怪しい干し肉なんか食べたら、アレスが腹を壊しちまうっての!」
「失礼なっ! 貴様こそそれは猛毒キノコではないのかっ?」
「違うわいっ!」
ミューリエとタックはまたしても口喧嘩を始めてしまった。仲良くしてくれたのは一時的なものだったみたい。
やれやれ、思わずため息が漏れる。三人での旅は始まったばかりなのに、最初からこんな調子じゃ先が思いやられる。これは想像以上に苦労することになるかも。根本的に解決する良い方法はないものだろうか……。
「と、とにかくひと息を入れよっか? ずっと歩きっぱなしだったし、少し休もうよ!」
慌てて僕は街道の脇に荷物を降ろし、その場にあった平べったい岩に腰をかけた。
するとミューリエとタックはお互いに『ふんっ!』と怒気をまき散らしながら顔を背け、僕と同様に近くにある岩へ座り込む。
まだ空気は不穏なままだけど、なんとかこの場は一時休戦へと誘導することが出来たかな?
――さて、次はどうしようか?
●まずはミューリエから干し肉をもらう……→70へ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652938586751
●まずはタックから干しキノコをもらう……→52へ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652938259960
●干し肉と干しキノコを同時にもらう……→95へ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652939132656
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