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 そういえば、ポケットの中に非常食のビスケットが入っていたんだった。


 これはすぐに食べ物が手に入らない時とか遭難した時とか、そういう場合に食べるために用意してあるものだけど、こうして小腹が空いた時のエネルギー補給にも使える。


 まだほかにも予備が道具袋の中に入っているし、ひとつくらい食べちゃっても問題ないよね。それに歩きながら食べるなら時間も無駄にならない。


 ゆえに僕はポケットに手を入れ、ビスケットを取り出した。それを一口かじり、よく噛みしめながら歩き続ける。


 ――うん、美味しい。


 麦の香りとほのかな甘みが口の中に広がって、ちょっとだけ元気も出てくる。まるで体の奥から力が湧き出してくるみたい。頭もスッキリとする。


 やっぱり自分でも気付かないうちにエネルギー不足が進行していたんだね。


 そのあと、僕は水筒の水を一口飲んで喉を潤し、前へと力強く足を動かし続けた。



 →126へ

https://kakuyomu.jp/works/16817330652935815684/episodes/16817330652939634158

 

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