奥義の激突
ロベルとジェフィスはよくやってくれた。
出力の強さはともかく、駆使できる能力の種類なら〈虚実反転〉で事実上無限の万能になったロベル。そして速さだけは誰にも負けないジェフィス。この二人が一緒なら、ラスボス化したトリアを相手にも死なずに生き残ることができる。
そのような二人だからこのような危険な役割も立派にやり遂げられると信じていたし、その信頼通りにやり遂げてくれた。
次は私とアルカの番だ。
【――――!!】
私たちがくぼみに飛び込んだ瞬間、トリアは上から近づいてくるのに気づいた。くぼみの中を瞬時に溶かして蒸発させた炎風の方向を急いで変えて上に発散したのだ。
けれど、その程度は当然備えておいた。
――アルカ式天空流奥義〈貪食の太陽〉
アルカが発したのは『万魔掌握』の力を抱いた〈太陽描き〉。本来なら巨大な魔力の塊とそれが発する魔力の嵐という形で発散されたはずだが、アルカはそれを圧縮して小さなボールの大きさに集中させた。
アルカの魔力とトリアの魔力が激しくぶつかってお互いを相殺した。でもアルカの〈貪食の太陽〉はトリアの魔力を吸収して燃やし続け、力を維持した。
それでもトリアの圧倒的な魔力が結局〈貪食の太陽〉を消したけれど、その時はすでに十分に突破可能な穴ができた後だった。
「お姉様!」
アルカは自分の魔力に〈貪食の太陽〉が吸収した魔力の一部を加えて私に伝えてくれた。
アルカのきれいな魔力とトリアの汚染された魔力。浄化神剣の絶対的な浄化魔力と邪毒の剣の神的な邪毒。そのすべてを〈五行陣・金〉の力でつづり、私が放つことのできる究極の一撃を。
――テリア式天空流終結奥義〈真 太極〉
X字に交差した双剣の中央で極限の力が生まれた。
ジェリアの時は突きとして放ったそれを、今度は斬撃の交差点で圧縮増幅した全力の斬りで解放する。
トリアは大きな力を放出した直後であるにもかかわらず、すぐに反応した。
――トリア式極拳流奥義〈二紋融陳〉
トリアの手のひらを中心に『獄炎』と『天風』の魔力の模様が一つずつ描かれた。二つの模様が共鳴して圧縮され、トリアの手のひらに宿った。
トリアは私の双剣の交差点をその手のひらでつかんだ。
「くっ……はああぁぁぁああッ!!」
【―――――!!】
〈真 太極〉と〈二紋融陳〉が正面衝突し激しい魔力の嵐が起きた。余波だけで全身が裂けるような激痛と共に傷が急速に増えた。それはトリアの方も同じだったけれど、私たちは二人とも手を引くつもりは全くなかった。
「たかが……これくらいで!」
正気のトリアの〈二紋融陳〉ははるかに精度と完成度が高い。暴走して不安定になった奥義なんかに負けるわけにはいかないわよ。
そんな気持ちで全身全霊で押し通したけれど、正直手に余るものだった。完成度は劣っても、単純な魔力量が圧倒的だったから。
でも魔力量の大きさがすべてを決めるわけではない。
「はああぁぁぁあああ――!!」
腕に魔力を注ぐと同時に、〈五行陣・金〉が維持していた〈真 太極〉のバランスを意図的に崩した。
制御を失って暴走する〈真 太極〉の魔力が〈二紋融陳〉に食い込んだ瞬間、魔力の方向性だけを固定して精一杯放出した。〈真 太極〉の維持に〈五行陣・金〉のすべての権能を集中する必要がなくなっただけに、暴走する魔力を一方の方向に集中させる程度の調節が可能になったのだ。
そうして〈二紋融陳〉の手のひらを押し出した直後。魔力を発散しながら剣を力いっぱい振り回した。
解放された魔力は大地を切り裂くような勢いの斬撃となって大地に巨大な谷を刻んだ。そしてその威力を一番先に受け取ったトリアは――。
【―――……!】
……思ったより元気だった。
直接激突した腕は二つに割れ、頬と胴体にも大きな剣像が彫られた。けれどそれだけ。大きなダメージではあったけれど、ラスボス化した今の彼女には致命傷になるほどではない。
それでもダメージはダメージ。怒ったトリアが反対側の手を振った。
「お姉様!」
割り込んできたアルカが二剣でトリアの拳を防いだ。けれど彼女の力では威力をすべて殺すことができず、ぶつかった私まで彼女と一緒に遠くへ飛ばされた。
私はアルカを後ろから抱きしめたまま倒れないように着地したけれど、直後に足の力が抜けて倒れそうになった。
「お姉様!? 大丈……目から血が!」
「大丈夫……よ」
目から涙のように溢れる血を手の甲で拭いて、アルカが怪我をしていないかだけ早く確認した。〈真 太極〉と〈二紋融陳〉の衝突の余波がアルカにもダメージを与えたけど、それ以上の傷はないようだった。
「お姉様、本当に大丈夫なんですか?」
「……大丈夫じゃなくても大丈夫でなきゃならないの。心配しないで、一時的な頭痛くらいだから」
〈真 太極〉は〈五行陣・金〉を限界まで絞り出してやっと具現可能な奥義。その上、無理な変形まで加えるために限界を越えてしまった。少なくともしばらくの間は〈五行陣・金〉を再び使うことはできないだろう。
でも戦えないわけではない。
「油断しないで。トリアがいつ飛びかかるか分からな……」
言う途中固まった。
穴から飛び出したトリアがそのまま突撃してくるところだった。でも彼女は急に固まってしまうかと思いきや、私たちの方ではない方向を振り返った。
巨大な魔力の反応が連鎖的に爆発する方向……まさか!?
「追いかけましょう!」
「えっ!?」
トリアと私は同時に跳躍した。トリアは魔力反応が感じられる方に、私は彼女を追いかける方向に。アルカとロベルとジェフィスも急いで私の後を追った。
今のトリアに理性はないだろう。だけど暴走する彼女にもたった一つ、明確な本能の方針が一つある。
それは何でも『融合』で食べ、より大きく強い存在になること。
私が最初から村を消したのも彼女の無分別な吸収を遮断するためだった。物が吹き飛ばされた土地だけなら、トリアもあえて吸収しようとしないから。
でもあんな
―――――
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