対等な対決

「ぬおおっ……!」


 ボロスの体から莫大な魔力が放出された。その魔力がボクを押し出した。そのように間隔が開いた瞬間、ボロスが槍を大きく振り回した。津波のような魔力の突きとボクの斬撃が激突して相殺された。


 砕け散る氷の破片の間を横切って剣を振り回した。


「ムカつくほど丈夫だな」


「そんなオレにこんな傷を負わせる奴も珍しいぜ!」


 ボロスはボクの剣を槍で防いだ。〈暴君の座〉の力を平気で受け止めていた。


 ……いや、違う。奴の槍の柄は〈暴君の座〉の力に耐えられず破壊されていた。だがボロスの魔力が少しだが抵抗していたし、その隙に槍の修復力を魔力で極大化して壊れた部分を早く復旧して対抗しているのだった。両方ともバカみたいなほど強大な魔力があったからこそできる行為だった。


「ふぅっ!」


「ぬああっ!」


 ボクとボロスは同時に魔力を放った。強烈な衝撃波がボクたちを押し出した。だがボクもボロスも一歩も退かず、より大きな魔力で衝撃を相殺して武器を押し込んだ。


 力がほんの一瞬拮抗するようになった瞬間、左手を剣から離してボロスに直接伸ばした。神竜の氷の破片が奴に突進した。


 ――ボロス式体術〈くちばし殴り〉


 ボロスは右拳で攻撃を受けた。〈暴君の座〉の力がその拳を引き裂いた。だがダメージはそれだけだった。


「うりゃあ!」


 ボロスは左手の力だけで槍を押し込んだ。そして力に押されたボクに突きを放った。ボクは槍の直撃を避け、衝撃波と魔力を神竜の氷の破片で受け流した。隙を狙う剣閃がボロスのわき腹に向かった。


「おおっと! 無駄だぜ!」


 ボロスは信じられないスピードで槍を回転させた。突き出した槍を力で無理やり一瞬で戻すとは、とんでもない筋力と魔力だな。


 だがその程度はすでに予想したところだ。


 ――『冬天覇剣』専用技〈停砕〉


 軌跡のすべてを凍らせ粉砕する力が放たれた。


〈停砕〉や〈断界〉は刃が通って空間を凍結させるその瞬間に威力が極大化される。それを槍と剣が触れた瞬間に発動して槍を切断した。修復しようとしても槍に残留した『冬天覇剣』の力がしばらく修復を妨げるだろう。


 ――ボロス式体術〈山蹴り〉


 山を一撃で吹き飛ばしそうな蹴りを左手で止めた。左手が率いる神竜の氷の破片が壊れ、蹴りが直撃した左腕が折れた。しかしそれで蹴りの威力をすべて殺した。


 ――ジェリア式狂竜剣流『冬天世界』専用技〈神竜の羽ばたき〉


 無数の氷の刃が斬撃となって噴き出した。ボロスの魔力場と魔力の障壁が破れた。奴はまだ修復されていない槍の柄を振り回して防御したが、全部防げずに傷が累積した。


 傷自体は深くなかったが、氷に込められた神竜の力と〈暴君の座〉の権能が奴の体を鈍化させた。


「ふぅっ!!」


 折れた左腕を氷で固定し、剣を振り回し続けた。よほどの奴らにでも一撃一撃が必殺になるほどの攻勢だったが、ボロスは圧倒的な魔力と力ですべて受け止めた。だが〈暴君の座〉の権能が引き続き奴の槍の力を削った。修復されていない槍がさらに破壊されていった。


 ――ボロス式槍術〈山振り〉


 ボロスの魔力が槍の形を補強した。その槍がそのまま振り回され、津波のような魔力が殺到した。


 押されて後ろに大きく押し出されたボクを追撃するように連続突きが出た。横に疾走して避けたが、ボロスはいつの間にか回復した両手で激しい槍撃を浴びせ続けた。〈冬天世界〉の雪原に無数の穴ができ、雪山が壊れた。


 破壊の閃光がついにボクを追いかけてきた瞬間、ボクは攻撃を避けながら剣に集中していた魔力を解放した。


 ――ジェリア式狂竜剣流『冬天世界』専用技〈神竜の激怒〉


 眩しい斬撃がボロスの無数の槍撃をくぐり抜けて奴に届いた。槍撃を突破するために威力が削られたにもかかわらず依然として強力であり、ボロスは槍で防御しなければならなかった。魔力で形成された槍の柄に亀裂が生じ、奴の体が後ろに押し出された。


 おかげで槍撃が止まった隙に一直線に突撃した。


 ――ジェリア式狂竜剣流『冬天世界』専用技〈神竜の猛進・突〉


 破壊の怒涛を、発射するのではなくボクの体と剣に巻いたまま突進した。猛烈に回転する魔力と氷の突きがボロスの槍に直撃した。槍がボロスの手から弾き飛ばされた。


 しかしボロスは槍などに未練がないかのように素手で走ってきた。奴の体が巨大な魔力の壁となって殺到してきた。


 避けられない突進だったが、もちろん避ける気などない。


「はあっ!」


〈神竜の猛進〉の残りの魔力を左手に集中した。巨大な魔力の壁を一点に集中した力で突破し、そのまま奴の胴体を殴り飛ばそうとした。だがボロスの手がボクの手を正面からつかんだ。


「ちくちくすんだぜ……!」


 暴れる神竜の魔力がボロスの手のひらを破り、奴の握力がボクの左手を砕いた。それでギリギリで力のバランスが取れた瞬間、ボクとボロスは同時に足を出した。蹴りが衝突して爆発した魔力がボクたちを再び押し出した。


 間隔が開くやいなや剣を固く握り締めて魔力を集中した。ボロスも弾き飛ばされた槍を魔力で呼び込んだ。


 ――『冬天世界』専用技〈剣の吹雪〉


 大量の氷の刃がボロスを襲った。単に斬って凍りつかせるための攻撃ではなかった。刃が互いに共鳴して濃い魔力場を作り出し、それがボロスが槍に集中していた魔力を妨害した。


「激しい……な!」


 ボロスは魔力長の妨害を受けながらも槍に莫大な魔力を集中させた。それが強烈な突きで放たれる瞬間、ボクは剣に集中した魔力を一撃に込めて解放した。


 ――ボロス式槍術奥義〈三倍突き〉


 ――ジェリア式狂竜剣流『冬天世界』専用技〈神竜の激怒〉


 神竜の全身を変換した斬撃とボロスの魔力が集中した突きが激突した。


―――――


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