ジェリアvsボロス
「うむ!!」
ボロスはボクの一撃に対してさらに強力な一撃を放った。
凍らせる。止まる。壊す。それを行う時に限り絶対の力と〝権限〟をボクに与えること、それが〈暴君の座〉。この力に対抗するためには正反対の性質を持った権能でぶつかり合ったり、権能の差を克服するほど巨大な力で揉み消す方法だけだ。
そしてボロスは明らかに後者の力を持つ者だ。
「うりゃあああ!」
まるで津波のような魔力を、〈冬天世界〉の魔力と〈暴君の座〉の権能が凍らせて壊した。だがその代価としてボクの一撃も力が尽きた。
たった二度の槍撃で〈暴君の座〉の力が込められた一撃を相殺するとは。さすがとしか言えない。
しかしボロスはそれが終わりではないかのように、さらに魔力を高めた。
「はっはっはっはぁ! すげぇ能力じゃねぇか、おい!?」
魔力と共に強烈な邪毒の匂いがぷんぷんと漂った。
奴ら特製の黒騎士の魔道具の気配。ボクもあれを使って超越者の領域に足を踏み入れた者だからか、テリアが浄化してくれてからあれの気配がより鮮明に感じられた。
もちろん今のボクがその気配から感じるのは不快感だけだ。
――ジェリア式狂竜剣流『冬天世界』専用技〈神竜の猛進〉
神竜の力が混じった巨大な破壊の怒涛を放った。ボロスは巨大な魔力の突きで対抗した。
力は拮抗――いや、ボロスの方が上。それが『暴君の座』の権能を相殺することで、表向きの結果は拮抗した。
「呆れるほどのバカ力だな!」
「おう! よぉく言われたぜ!」
「ほめたんじゃないぞ!」
二回の突きと一回の斬り。全部奴の急所を狙った剣閃だったが、ボロスは三回の突きで全部打ち返した。それだけでなく、さらに加速した槍が何度もボクの急所を狙った。一部は剣で打ち払ったが、すべて剣だけで対処することはできなかったので氷の刃で受け止めた。
――『冬天世界』専用技〈冬の束縛〉
氷の刃はボロスの槍撃に耐えられず破壊された。しかし壊れた氷片が奴の槍にくっつき、猛烈な冷気と共に氷が急速に膨らんだ。あっという間に槍全体が凍りついた。
「うむ!」
ボロスは凍った槍をそのまま振り回した。彼自身の速度と力は全く衰えていない。しかし槍が発する魔力は氷に封じられた。そのため、奴はボクが押し込む刃を打ち払えず後ろに押し出された。
――『冬天覇剣』専用技〈停砕〉
剣の力を引き出して大きく振り回した。剣の間隔の中の領域全体が凍りつき、砕け散った。ボロスは素早く体を引いたが、奴の槍が半分ほど〈停砕〉の領域にかかった。氷と共に奴の槍が砕けた。
「すげぇな、おい!!」
ボロスは好戦的に笑いながら残りの槍を振り回した。その瞬間、槍が急に長くなった。いや、壊れた部分が急速に再生されたのだ。すぐに反応して剣で受け流したが、突然の現象だったせいで姿勢が崩れた。
――『冬天世界』専用技〈剣の吹雪〉
無数の氷の刃でボロスを牽制しながらバランスを取り戻した。ボロスは何の気にもせず槍を次々と振り回した。ボクは〈暴君の座〉の力が込められた蹴りで槍を弾き飛ばした後、ボロスの空っぽの胴体に向かってまっすぐ剣を突き出した。だがボロスは驚異的な速度で槍を回転させて防いだ。
固い槍だな。いや、それより……。
「その槍、修復の機能があるんだな」
「おう。オレの力に耐えられる武器が珍しいからな。すげぇ丈夫だし壊れても魔力で修復できる魔槍を選んだってことだぜ」
「悪くない選択だ、な!!」
力で槍を跳ね返そうと力を入れたが、むしろボロスの方が力でボクを押し出した。そのように隙が生じたボクに迅速の突きが迫ってきた。
――『冬天覇剣』専用技〈断界〉
剣を体の前で回転させた。刃の通った空間が完全に凍りついた。そのように断絶した空間が槍を受け止めた間、奴の側面と後方に氷の刃を作った。
「うむ!!」
――ボロス式槍術〈クマのように振り回し〉
ボロスは氷の刃が身を切るのを気にせず、槍を大きく振り回した。〈断界〉の壁が壊れた。壊れた欠片と〈クマのように振り回し〉の衝撃波がボクに降り注いだ。それ自体はボクに致命傷を与えるほどの攻撃ではなかったが、衝撃を受け止めるために防御に没頭しなければならなかった。
「これなんざで終わりかよ、おい!」
――ボロス式槍術〈たくさん突き〉
雨のように浴びせられる槍撃を剣と氷で防ぎ、いなし、受け流した。ボロスは楽しそうに笑い、浴びせる槍を一瞬止めた。だがボクはその隙に反撃を突かず、直後に莫大な魔力が圧縮された突きが放たれた。
連撃で守勢に追い込んでから強力な一撃で防御ごと壊すつもりだったらしいが――甘い。
「テリアほどの精巧さがないとは言ったが――」
隙を突かなかったのはそんな余裕がなかったからではない。次の手により適した対応をするためであるだけ。
ボロスが突きを放つ瞬間、奴が足を踏み出す所から氷の刃が生えた。それがボロスの足を貫いた。そのために奴の槍の先が一瞬揺れた。ボクはその隙を逃さずに剣で槍をギリギリと受け流した。そうしながら奴の懐に突っ込むような形になった。
最初からボクの目的はこれくらいの隙間、これくらいの間隔だった。
重剣を振り回すには短い距離だが、この程度は何の問題もない。
「貴様の力に対応するほどの技術がないとは言わなかったぞ」
腕を体にくっつけて、奴の胸に刃を押し込む。そして『冬天覇剣』の力を解放した。
――『冬天覇剣』専用技〈停砕〉
空間が凍りついて壊れ、長い傷から血があふれ出た。
―――――
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