有利な激戦

 ――『冬天』専用技〈遥かなる酷寒〉


〈極北の神殿〉の力がさらに強くなった。まるで遥かなる空越しの冷たさを呼び出したようだった。周辺が急速に凍り始めた。


『冬天』は単純に魔力で氷を作ったり冷気を生むだけの特性ではない。ジェリアの〈冬結界〉が周辺を冷気でいっぱいに満たし、それを通じて自身の技術を強化したように、『冬天』の冷たい魔力が周辺を支配するほど他の『冬天』の技の威力も強くなる。


 もちろんそれを放っておく私じゃないんだけど。


 ――紫光技特性模写『獄炎』


 ――天空流奥義〈太陽描き〉


 双剣の刃に集約された魔力を一点に集めた後、剣を力強く振り回して大きく解放した。


 紫光技で模写した『獄炎』の紫色の火炎が球体を作り出した。〈五行陣〉に到達した私が発動した〈太陽描き〉はまるで本物の太陽を持ってきたかのように巨大だった。その上、細かく砕けた斬撃をまき散らして他の魔力の発動を妨害する〈太陽描き〉の特性に『獄炎』の魔力が加わり一帯を熱く燃やした。


「困ったな。予想以上の強敵だ」


 ――『冬天』専用技〈遥かなる天の手〉


 ベルトラムは言葉とは異なり、好戦的に笑いながら魔力を展開した。『獄炎』の灼熱にもかかわらず強力な氷雪と冷気が巨大な手の形を作った。


 私が投げた〈太陽描き〉の球体と〈遥かなる天の手〉が激突した。普通の冷気と熱気なら相殺されただろうけど、魔力で構成された力はお互いに衝突しながら余波を周りに撒いた。多数のミッドレースベータが燃えたり凍りつき、アルカも余波を防ぐために防御膜を展開した。


 二つの技が衝突している間も私とベルトラムは次のために動いた。


 ――天空流〈三日月描き〉


 ――『冬天』専用技〈月暈〉


 私は空中で激突する二つの技の下を走って通過してから巨大な斬撃を放った。ベルトラムは『冬天』の氷で無数の動物の形を作り出した。


〈三日月描き〉の極限の切削力が〈月暈〉の半分以上を真っ二つにした。けれど距離が少し遠かったため、ベルトラムは斬撃を避けた。そして真っ二つになった氷の動物も形を変えて新しい動物として復活した。数多くの群れがものすごい冷気と鋭い氷の破片をまき散らして私に飛びかかった。


 氷の群れを破壊してもまた新しい形をとるだろう。


「ふん!!」


 ――天空流〈半月描き〉


 攻撃してくる〈月暈〉の魔力を強奪した。それで長く巨大な魔力の刃を形象化してベルトラムへと振り回した。ベルトラムは三枚の氷盾を重ねて斬撃を防ぎ、今度は私の周辺一帯に〈月暈〉を展開した。数多くの氷の蝶が現れた。


 ――白光技〈強奪の共振〉


 氷の蝶の群れがお互いに共鳴した。魔力を強奪する魔力場が私を圧迫した。私の魔力を奪うほどの力はなかったけれど、もう一度〈半月描き〉を使うことができなかった。その間にベルトラムが長く巨大な氷槍を作り出した。


「なめないで!」


 ――天空流〈月光蔓延〉


 超高速乱舞を前方に集中して前方の蝶々をすべて破壊した後、開いた空間を突進した。そして少し遅れて放たれた氷槍を剣でいなした。そうしながら槍に魔力を注入して干渉した。槍を完全に奪うことはできなかったけれど一時的にベルトラムの制御を乱した。


 その瞬間〈太陽描き〉が〈遥かなる天の手〉を完全に圧倒した。解放された熱気が周辺のすべてを燃やした。でもベルトラムは冷気の領域を展開し、自分自身を守ると同時に無数の氷の兵器を具現した。一つ一つがよほどの魔道具より強力な魔力と機能を持ったものだった。


 けれど、私の太陽の力はこれほどじゃないわよ。


 ――天空流奥義〈万象世界五行陣・水〉


 究極の支配力が〈太陽描き〉の魔力を吸収し始めた。


 今の私の〈太陽描き〉は強大だ。散らばった魔力を媒介に周辺を掌握する奥義である〈三十日月〉ではまともに扱えないほど。けれど〈三十日月〉の遥かなる上位互換である〈五行陣・水〉なら問題ない。


 あっという間に吸い込まれた太陽が双剣に宿った。


「それは……危ない」


 ベルトラムは氷の兵器を解放した。冷気、魔力を他の場所に誘導する力場、私の魔力に干渉して制御を崩す力、魔力を奪って弱体化させる強制力など。あらゆる種類の力が私を襲ったけれど、太陽を抱いた剣の一閃がそのすべてを一気に破壊した。同時に広がった熱気が『冬天』の力をほとんど無力化した。


 ――『冬天』専用奥義〈冬の意志を抱く槍〉


 二本の巨大な氷槍が現れた。今までとは格を異にする魔槍だった。私の双剣に宿る太陽の熱気にもかかわらず、感じられる力の流れを見れば魔力干渉も通じないだろう。


 ベルトラムは近づいてくる私を止めようとするかのように槍を放った。私は剣を振り回して対応した。太陽が凝縮された刃が槍を深く切った。けれど切断には至らなかった。


 私とベルトラムは同時に驚いた。


「私のこの槍まで切れるとは」


「すごいわね。ジェリアも〈冬天世界〉を展開しないとこの剣を止められないのに」


 左手の剣の太陽を解放した。圧倒的な灼熱が氷槍の一つを破壊し、もう一つの力を弱めた。奥義級の魔槍であるだけに自由な変換が不可能なのか、破片が他の形で再び蘇ることはなかった。


「ふむ!」


 ――『冬天』専用技〈遥かなる天の牢獄〉


 巨大な氷の牢獄が形成された。単純に物理的に閉じ込めるだけでなく、強力な魔力場が閉じ込められた者の魔力を抑制し牢獄を破壊しようとする力をさらに弱化させる特殊な牢獄だった。牢獄越しから一つ残った〈冬の意志を抱く槍〉が私を照準するのが見えた。


 この牢獄でも私の太陽を防ぐことはできない。けれど牢獄を早く破壊して奥義急の魔槍に対応するためには、残った右手の太陽を解放しなきゃならない。おそらく太陽を消耗させるのが目的だろう。


 その程度の狙いなど壊せるわ。


―――――


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