『隠された島の主人』との会談
「選別? 一緒は私一人だということ?」
【いや、そこの竜人は
「断るとしたら?」
【それなら貴方は何も聞けないでしょ】
「脅迫してるの? あんたこそ私をここまで呼んでおいて何もなしに終われば惜しいじゃない?」
わざと挑発的に言った。すると『隠された島の主人』が冷笑する気配が感じられた。
【邪毒神を相手に挑発を仕掛ける気概だけは褒めるよ。でもこの会談が失敗に終わった時、誰の損害になるのかは自分でよく考えた方がいいよ】
あの堂々とした態度は挑発や虚勢じゃないだろう。むしろそれ自体が一種のデモだ。
結局、私が先にため息をついた。
「ロベル、トリア。退いてほしいわ。あいつとの対話は私とイシリンだけ参加しなきゃならないようね」
「大丈夫ですか?」
「話を聞くには要求事項を聞いてあげなきゃならないようだからね。そして邪毒神の分身が危害を加えるために来たのなら、貴方たちがいようがなかろうが何の意味もないわよ」
一瞬の降臨だけでピエリの完全分身を取り除き、本体にまで被害を与えた奴なら、ロベルとトリアの同席かどうかは全然構わない。手振りを一回、いや呼気一回で吹き飛ばせるから。
結局二人と信者たちが退き、私とイシリンだけが『隠された島の主人』の前に立った。
【楽に座って】
するとあいつはまるで手本を見せるかのように先に椅子に座った。私は邪毒神が人のように椅子に座ることに奇妙な気分を感じながら向かいに座った。
「それで? 分身体で直接会話するために私を呼んだの?」
【そうだよ。情報をあげたくてね】
「露骨すぎる好意は逆に疑わしいものよ。ましてやその相手が邪毒神ならなおさら。私があんたの情報を信じる理由は何があるの?」
【そんな無駄なことをいちいち問い詰める気なんてないよ。信じようが信じまいが勝手にしなさい。私はただ話をするだけで、判断は自分でしろってことだよ】
するとあいつは本当に勝手に話を始めた……という展開に進む直前、私が先に質問を一つしようとした。
「ちょっと待って。一つ聞きたいの」
【私が答えてあげられることならいくらでも】
「あんた、『バルセイ』って何か知ってるよね?」
【それこの前も聞いた質問だね。それよりこの前は敬語を使ったのに、今度はタメ口なの?】
「邪毒神を尊重する必要はないじゃない?」
どういうわけか奴は私の話を聞いて爆笑した。
【アハハハ! 堂々としてていいね! 本当にいいよ!】
そんなに愉快なのだろうか。……というか、妙に笑いが長い。そんなに面白い発言ではなかったと思うんだけど。しかし私をあざ笑っているような感じではなかったし……何か嬉しそうな気配がした。わけがわからない。
しばらく笑った後になってようやく、あいつは再び話し始めた。
【ごめんごめん。嬉しくてつい】
「嬉しいなんて、何が?」
【貴方がとても堂々としていて自信があるように見えるからね。『バルセイ』では全然そうじゃなかったじゃない?】
あからさまに言っちゃったね、こいつ。
私の質問の答えでもあったけれど、それ以前に驚いた。『バルセイ』での私と違うことが嬉しいなんて、邪毒神がなぜそんな感情を私に抱くのか不思議に思った。しかも『バルセイ』での私の姿というのは……。
【『バルセイ』の貴方は長い間迫害されてたせいで自信がなかったじゃない? 表向きは人を操りながら黒幕のように振る舞ったけれど、いつも劣等感があったから。今の貴方にはそんな姿が感じられなくて本当にいいよ】
思わず眉をひそめた。まるで私のことを心配してくれるような言葉が気に入らなかった。邪毒神のくせに。
「あんたの正体は何? どうしてそんなことを知っているの? どうしてテリアをそんなに好意的に思ってくれるの?」
今回はイシリンの質問だった。彼女も『隠された島の主人』の態度を奇妙に感じたのか、そっと眉をひそめていた。
『隠された島の主人』はしばらく考えるようにじっとして、しばらくして口を開いた。
【■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■】
……え?
確かに何か言っていたけれど、何を言っているのか全く聞こえなかった。まるで聞き取れないように変調された怪音性のようだった。隣を見ると、イシリンも私と同じような感じを受けたようだった。
【……やっぱりダメかな。悪いけど、これは私も仕方ないよ。まだ許可されていない情報はこの世界が遮断しちゃう】
「世界にそんな働きがあるというのは初耳なのに。まぁ、それはともかく……何を言おうとしたの? それも教えられないの?」
【私の正体を堂々と言ってみた。どうせ世界が止めそうだったから】
何よこの世界。ネタバレ防止プログラムでもあるの?
……心の中の冗談はこの辺にしておいて。
「じゃあ結局テリアを好意的に思う理由も言えないってこと?」
【そうだと見るべきよね。理由を説明すること自体が■が■な■かに■■■……このクソ世界め、いい加減にしなさいよ!】
奴はいきなり虚空に向かって怒った。世界が雷でも落とせば面白いと思ってしばらく見守ったけれど、当然のことながら何も起きなかった。
しばらくして、奴は一度の咳払いで雰囲気を戻した。
【とにかく、さっきのように私が答えてあげたくてもできない場合があるよ。そのことは了解を得たいね】
「本当に隠したり騙したりしたいのなら、そんなダサい芝居をする必要はないでしょ。それは信じてあげる」
【ありがとう。じゃあそろそろ本論を始めようと思うのだけど】
奴は両肘をテーブルの上に乗せ、指を組んだ手をあごに当てた。その動作があまりにも人間的で思わず眉をひそめた。まぁ、今さらの感想かもしれないけど。
それよりも、奴の出した質問の方が少し気になった。
【貴方は自分が情報的に優位にあると思う? 『バルセイ』のストーリーを知っているという点でね】
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