終わりに向けた戦い
最大の加速で正面――ではなく、奴の側面へと移動した。
巨大な拳と魔力の衝撃波が奴の正面を襲ったが、僕は奴のわき腹の方に剣を振り回していた。硬い皮膚が刃を弾いた。奴が僕の方に振り向いて拳を振り上げた。
それが欲しかったよ。
小さく跳躍し、奴の太ももを踏んでさらに大きく跳躍した。奴の体に刻まれた浅くて長い傷が見えた。血は止んだが、傷自体はあまり癒えていない状態だった。
体はすごく硬いのと違って、再生力は劣るみたいだね。
空中で魔力の足場を踏んで再び飛び上がった。目標は奴の肩。近づくやいなや〈月光の竜牙〉を傷に放った。斬撃が傷をもっと深くした。
「グオオオ!」
奴がまた拳を振り回した。奴の肩を蹴飛ばして身を飛ばして避けた。着地するやいなや前に突進すると、着地した地点に宿敵の奴の拳が放たれた。しかし奴の足の方に近づこうとした瞬間、奴のもう一方の腕が僕を狙った。
避ける暇がない。これは仕方なく防御しないと。
「うっ!」
剣を立て、剣身を起点に魔力のシールドを展開した。拳に殴られることだけは防いだが、剣とシールドごと後ろに飛ばされてしまった。しかも巨大な邪毒の魔弾数発が僕の周りに現れた。
早く魔力の足場を作って……。
「ジェフィス様!!」
突然二つの人影が乱入した。アレンと彼の友人だった。彼らが展開した魔力のシールドが魔弾を防いだ。
しかし、彼らの力ですべてを防御するには魔弾が強すぎた。
パリンッとシールドが割れた。アレンと友人は慌てて新しいシールドを展開しようとしたが、そんな時間はなかった。
残りの魔弾は三つ。彼らの助けを待つ必要はもうない。
――ジェフィス式剣術〈八頭竜の牙〉
残った魔弾を全部相殺し、一部の斬撃は宿敵の奴に放たれた。奴は怪力と魔力で巨大な拳圧を爆発させた。僕は未練なくアレンと友人の腕をつかんで後退した。
魔弾を避けるやいなや僕の口から出たのは小言だった。
「急にどうして来たのかよ!? 下手すると君たちまで危険になるんだよ!」
「手伝いに来ました。ザコどもの勢いが減ったんですよ。そしてジェフィス様があいつに負けたらどうせ俺たちみんな危ないです」
ちらっと後ろを見ると、確かに彼らの言う通りザコの数も勢いも弱かった。あれくらいなら結界班の三人だけでも防げるだろう。そして僕がこいつに負けたら皆が危険になるということも間違いではない。
邪魔に来たわけでもないし、喧嘩している余裕はない。
「先頭は僕が引き受ける。それだけ肝に銘じるように」
「承知しております」
僕は前方に突進し、アレンと友人は後ろから魔弾と魔力の斬撃を放った。でも宿敵の奴は彼らの攻撃を気にせず僕だけを見ていた。奴の固い肉体と表面の魔力がアレンと友人の攻撃を完全に無効にした。
しかし、アレンたちはそれを確認するやいなや方針を変えた。宿敵の奴が歩こうとした瞬間、アレンたちの魔弾がその地点の地を爆発で吹き飛ばしたのだ。奴の足が穴に落ち、奴がバランスを崩した。
ナイスサポート。
足に力をいっぱい込めて大きく跳躍した。宿敵の奴の拳がギリギリに下をかすめた。僕はその拳の風圧さえも踏んでさらに高く飛び上がった。そして左の剣に魔力を最大出力で集中して鋭い刃を重ね、そのまま投げた。剣が奴の肩の傷に正確に刺さった。
「カァアアー!」
二発の魔弾が現れた。いや、魔弾というより魔力砲に近い規模だった。でも僕は魔力の足場を踏んで走り回りながら魔弾を避け、奴の肩に刺さった剣の取っ手を打った。刃がさらに深く刺さった。
しかし直後、巨大な拳が僕を狙って放たれた。
「くっ!?」
その拳自体はギリギリ避けた。しかし周辺で引き続き生成された魔弾が僕の動きを制限し、避けるところがない状態で再び拳が放たれた。
「はああっ!」
渾身の力を尽くした一撃でその拳の軌道を外した。しかし『加速』の力でその場を離れるよりも、奴の巨大な手が僕を捕まえる方が早かった。恐ろしい握力が僕の体を締め付け始めた。
「ぐあっ……!」
「ジェフィス様!」
アレンたちはすぐに駆けつけた。剣を振り回して魔弾を撃ちながら。しかし、宿敵の奴はじっと立って僕を締め付けているだけだった。そのような状態ではさっきのように地を掘るのも効果がなく、彼らの直接攻撃は依然として宿敵の奴には通じない。
でもアレンたちが射程内に入ってきた瞬間、宿敵の奴の視線が突然彼らの方を向いた。
「二人とも、避け……!」
声を絞り出して警告を投げかけた。でもアレンたちが反応するよりも宿敵の奴の奇襲が早かった。巨大な手から放たれた魔力砲が彼らを襲ったのだ。
爆音が鳴り、アレンたちが飛ばされた。防御を試みた様子はあったけど、彼らの力ではまともに防げなかった。
ちっ、だからこちらに来るのはあまり望まなかったのに……!
「うぐぐぐっ……!」
必死に体に力を入れたが、奴の手はびくともしなかった。むしろますます強くなる握力が体を強く締め付けてきた。このまま潰そうとする思惑でもあるのか。
その時、突然後ろから白い魔力の鎖が飛んできた。鎖は奴の指に絡まり、少しずつ奴の指をほぐした。
後ろを見ると、全身から血を流しながらも魔力の鎖を握っているアレンたちが見えた。
「俺たちも騎士科です。足を引っ張りに来たわけではありません……!」
宿敵の奴はもう一方の手で鎖を握ろうとした。しかしアレンたちが他の鎖でその手を妨害した。
「ぐああああ!」
その間、全力で奴の手を押し出した。鎖の助けのおかげで少しだが奴の手中が開いた。その瞬間、魔力で自分自身を押して、まるで発射するかのように奴の手中から抜け出した。
体がずきずきする。今回は本当にどこか一箇所折れたみたいだけど。しかし魔力がまだ残っていれば、骨ではなく魔力で支えることができる。
アレンたちのことが心配だけど、見に行く余裕さえない。宿敵の奴は相変わらず健在で、逃してしまった僕を捕まえようと今すぐにでも飛びかかる態勢だったから。
難しい戦いがさらに厳しくなった。それは否定できない。
でも……勝てる道は見えた。
―――――
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