宿敵
[状況に余裕がある人は東の庭園を支援してくれ。まだ避難できていない生徒がいる。もうすぐ包囲されるよ]
部隊員たちに連絡をした。でも間に合うかどうかはわからない。
彼らはみな戦いに臨んでいる。そちらの状況を差し置いて来いとは言えないから、当面の増員は期待できないだろう。
今はここにいる僕たちだけで戦うしかない。
「アレン。君たちの中で結界術を扱うことができる人はいるのかい?」
「結界術の成績は学年最上位の奴が二人、そして中間レベルが一人います。俺ともう一人はまったくです」
「いい。結界術成績のいい三人は庭園に結界を展開してくれ。そして非戦闘員たちを庭園の中央に集めてくれ。この庭園は構造上結界と共に座り込みをすればかなり守備しやすいから。僕と残りの二人は結界の外で魔物を撃退する。異議は?」
「ありません」
「よし。さっそく始めよう」
僕とアレン、そしてもう一人は庭園の花壇から出てきた。僕たちがまるで庭園を中心に正三角形を描くような配置に立ち、庭園を守る結界が展開された。その状態でしばらく待つと魔物が一匹二匹と現れ始めた。
奴らは明確な目的がないようだった。でもこちらを見て激しく歯を現した。
「よし。目標は持久戦だよ。力を使いすぎるな。ただ死にそうなら惜しまず生き残るように」
「かしこまりました」
そうして戦闘が始まった。
しばらくは順調だった。魔物発生ポイントとは多少距離がある場所であり、魔物が明確な意志を持ってここに来るわけでもなかったため攻勢の密度が低かった。近づく魔物も平凡な生徒レベルでも何とか相手にできる程度だった。
「はあっ!」
特性を使わず、純粋な剣術と白光技だけで魔物を討伐していった。
片方の剣で魔物の爪を防ぎ、もう片方の剣で胴体を切る。あるいは両腕を同時に切り裂いた。ある時は心臓と首を同時に攻撃した。
僕が振り回すのはフィリスノヴァを象徴する狂竜剣流の大きくて重い重剣ではなく、テリアが使うのと似た双剣だった。
これが僕の最大の変化。僕ももともとは重剣と狂竜剣流を使っていた。それがフィリスノヴァ家で許される唯一の剣術であり、あえて不満を持たないほど強かったから。
でも僕に剣術を教えてくれたテリアがこんなことを言った。
『ジェフィスの特性なら、重剣よりはもっと軽くて速い剣と剣術がいいと思うわ』
その言葉に従う義務などはなかった。でもテリアに師事している間、僕自身も感じていた。狂竜剣流は僕によく合う剣術ではないことを。
悪いことではない。そもそも狂竜剣流でも速度は重要だから。でも狂竜剣流は本来一撃の極大化を重視する剣。持続的かつ連続的な戦闘展開を追求しない。
僕は狂竜剣流を駆使しながらも、一撃を極大化するよりは速度を生かした戦闘法を追求していた。それは特性の問題を超えて、僕自身の性向によるものだろう。
テリアはまさにその点を指摘し、僕は受け入れた。その結果が武器そのものを変えることだった。
それなりに年月をかけて適応してきた武器を本当に変えようとすると、テリアも少し難色を示した。でも真剣に僕の意思に応えてくれた。この剣術は……そして双剣そのものも、師匠として彼女が僕にくれたプレゼントだ。
『この双剣は『終連剣』というものよ。剣がお互いを引き付ける力があるの。単純な能力だけど、うまく使えばなかなか興味深い戦術ができるわよ』
そしてテリアは言った。どこへでも行ける僕の俊足で、自由に戦っていってほしいと。終連剣があれば枠に縛られないと。
正直テリアが言った言葉の真意が何なのか、彼女が僕に何を望んでいるのかはまだ分からない。でも枠に縛られないという表現が妙に胸の中に残った。
僕が何を感じたかは自分自身も知らない。だけど終連剣を握っていると、まるで大きく励まされたような高揚感が湧き出た。
……僕の気分がいいからといって状況がよくなるわけではないけどね。
庭園に流れ込む魔物がどんどん増えていた。その上、少しだけど奴らの意識がこちらに向けられているのが感じられた。おそらく戦闘の騒音と魔力の揺れが奴らの注意を引いたのだろう。まだ大丈夫だけど、いつ戦況が手に余るかはわからない。
なるべく暇を見つけて非戦闘員たちを脱出させたいのだけど……。
そんな
「キャオオオオ――!」
「うぁっ!?」
突然の咆哮に皆が驚いた。
音もあまりにも大きく、何よりも恐ろしいほど魔力が込められていた。まだ姿が見えもしないのに体がびりびり震えた。もし近くからその咆哮が爆発していたら、衝撃波で体が壊れていたかもしれない。
しかし……その咆哮を聞いた瞬間、僕は別の理由で戦慄を覚えた。
初めて聞く声で、理由の分からない戦慄だった。魔物の咆哮などに個性はあまりないけど、慣れてきた魔物たちのものとは違った。それでもそれを聞いた瞬間、周辺のザコどもの存在が頭の中から消えた。そしてそれが単に強い魔力のためではないということを、頭よりも先に本能で理解した。
本能が警鐘を鳴らしていた。実はこの程度は本気を出したテリアに比べれば大したことではない。それでも僕のすべてがあの咆哮を警戒し畏敬していた。
突然、鮮やかな悟りが僕の頭に浮かんだ。
そもそもここは啓示夢で僕が死んだ場所。啓示夢では強大な魔物があった。奴を討伐し、奴の手から死を迎えること。そのように共倒れするのが僕の未来だった。
僕を殺す奴が現れたことで……この舞台は完成するのだ。
―――――
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